エヴァシリーズで最後の使徒として登場した「渚カヲル」。
カヲルもまたTV版・旧劇・新劇場版、それぞれで登場の仕方や立ち位置が大きく変わっていました。
本記事では、渚カヲルの正体に迫ります。
さらにテレビ版と漫画版、旧劇と新劇場版での違いについても紹介します。
本作品の人物相関図は「シン・エヴァンゲリオン劇場版の人物相関図!登場人物・キャラクターの一覧を解説」の記事をご覧ください。
渚カヲル(なぎさ かをる)とは
渚カヲルは使徒戦での精神崩壊で戦線から外されたアスカに代わるエヴァ弐号機パイロットとして派遣される形で登場しました。
アスカの詳細に関しては「アスカのTV・旧劇と新劇場版の違い | シンジやマリとの関係」の記事を参照ください。
渚カヲルのプロフィール
渚カヲルはゼーレの少年であり、プロフィールは「誕生日がセカンドインパクトの日(2000年9月13日)と同じ」ということ以外、全て抹消されています。
旧作での渚カヲルの名前の由来
旧作でのカヲルの苗字である“渚”はテレビ版24話のサブタイトル「最後のシ者」から取られています。
“シ”と”者”を1つの漢字として「渚(なぎさ)」とされたわけですね。
旧作では“第17使徒タブリス”としてゼーレから送られてきたカヲルは最後の使徒という位置づけもされていましたが、それ以上に「最後にして使徒もヒト型を手に入れた」という事実も判明していました。
ヒト型ゆえに単に使徒ではなく「シ者」という扱われ方でもあったのです。
渚カヲルの声は声優「石田彰さん」が担当
渚カヲルの声を担当している声優さんは「ピアレスガーベラ」に所属している石田彰さんです。
子供の頃に『機動戦士ガンダム』を観たことがキッカケで声優への憧れを抱いた石田さんは中学生の頃に演劇部に入部し、その後も養成所時代から声優業を開始されました。
テレビアニメでは1990年に放送された『機動警察パトレイバー』の整備員役でデビューを果たしました。
石田彰さんの代表作(キャラクター)は、以下のとおりです。
- 『最遊記シリーズ』猪八戒役
- 『機動戦士ガンダムSEED』アスラン役
- 『スレイヤーズ』ゼロス役
- 『Dr.STONE』氷月役
渚カヲルの正体 | 碇ゲンドウと同一人物
旧作では美少年である点や”最後の使徒”という設定ばかりが目立ち過ぎたものの『シンエヴァ』で「渚カヲルの正体が“碇ゲンドウと同一人物“」であることが判明しました。
渚カヲルは己の優しさを捨てた碇ゲンドウだった
カヲルがゲンドウと同一人物と言われても今いちシックリ来ない人も多かったと思います。
これには新劇場版でゲンドウの中にある“心”が両極端に分離した結果とも言われています。
文章だけでは少し解りにくいかもしれませんが「碇ゲンドウが捨てた“優しさ”の存在」こそがカヲルとなっていたのです。
『エヴァQ』で最後までシンジに優しく接してくれたカヲルを振り返ると、その答えにも合点がいきます。
本編ではカヲルとゲンドウが接する場面はなかったものの、シンジが眠り続けていた空白の14年間で深い接触を果たしていたはずです。
さらに『シンエヴァ』で見られた“カヲルとゲンドウの共通点“により、2人が同一人物であったことが確定されたのです。
渚カヲルと碇ゲンドウの共通点
先に紹介した渚カヲルと碇ゲンドウの共通点について挙げていきます。
まず『シンエヴァ』でゲンドウの2つの好きな物が「知識」と「ピアノ」と判明します。
まず『エヴァQ』でシンジの壊れたS-DAT(ウォークマン)を修理してくれた時に、カヲルの口から「知識」の言葉が出ていました。
「ピアノ」においても『エヴァQ』でシンジを誘って一緒に弾いていました。
さらにマイナス宇宙の中でシンジを待っていたゲンドウの乗るエヴァ第13号機が『エヴァ破』での「カヲルと同じポーズ」をしていたのです。
同一人物でもカヲルの方がオリジナルだった理由
同一人物と聞いて”クローン”と浮かべたファンも多かったと思いますが、その表現の仕方には少し違和感も残ります。
確かにそのように捉えた方が分かり易い面もありますが、もしもカヲルとゲンドウがどちらかのクローンであるなら、綾波レイや式波アスカのように全く同じ容姿でなければいけません。
これにはカヲルが複数回にも渡るループを繰り返す中で書き連ねてきた「生命の書」が大きく関係していると思います。
シンジ達と違い、カヲルは自身の記憶を残したまま別の世界線へループすることが可能である一方で、ゲンドウもまた旧作から新劇場版の世界線に変わってからも、自身の願いを叶えるための”人類補完計画”を進めていました。
まるでゲンドウもまた記憶を残したままループしてきたように見えた点から考えると、旧作やそれ以前の世界線でゲンドウが捨てた”優しさ”からカヲルという存在が生まれたものの、世界線が変わる中で死亡したゲンドウに代わってカヲルが「オリジナルの座についた」と思われます。
そのため、新劇場版では「記憶を残したままループしてきたカヲルこそがオリジナル」であること、そして「ゲンドウはカヲルの残した記憶から誕生してきた副産物」に過ぎなかったのではないでしょうか?
空白の14年間でゲンドウの空いた座をカヲルが渚司令として引き継いだ
『シンエヴァ』終盤でいきなり“渚司令”として、加持リョウジと一緒に登場したカヲルに驚いた視聴者も多かったと思います。
この場面にも重要な要素が多く隠されていましたが、ファンたちが真っ先に抱いた疑問とは「カヲルはどの組織の司令になったのか?」だと思います。
これにはネルフやゼーレと考察したファンも多かったと思いますが、最も高い可能性として挙げられるのは「カヲルはヴィレの司令官」となっていたのではないでしょうか?
ヴィレの司令となったのには「ゲンドウやゼーレとの目的の違い」や「真の目的のために加持と合致した」そして「シンジ達チルドレンの救出と魂の解放」を果たすためだったはずです。
(加持との関係性や真の目的については、また後の項目で説明します)
その後には何故ネルフ本部で司令として居座っていたのかにも疑問が湧いてきます。
これには『エヴァ破』で流れた次回予告での映像およびナレーションに重大なヒントが隠されています。
ニアサードを阻止した後にネルフそのものが破棄された上、ゲンドウと冬月も一時的にネルフ本部から遠い場所へと移動していました。
予告映像の中に、まるで長旅に出たような装いでゲンドウ達が何かを発見する場面も流されていましたが、この間にカヲルが渚司令となった上で自身の作戦も開始していたものと思われます。
『シンエヴァ』ラスト場面で綾波レイと一緒にいたカヲルはゲンドウだった
『シンエヴァ』ラスト場面では、シンジやマリとは向かい側のホームで、カヲルとレイがいました。
この2人もエヴァの呪縛から解放されて大人の姿に成長していましたが、シンジ達との大きな違いもあります。
ホームに立っていたカヲルとレイは実は「ゲンドウとユイ」だったと思われます。
カヲルに代わりシンジが遂行した”魂の解放”により、ゲンドウとユイもまたループから解放されたことで「自分たちの戻るべき世界へ戻ってきた後の姿」だったのではないでしょうか?
カヲルとゲンドウが同一人物であると同時に、綾波レイもまた”ユイのクローン体”である上、新劇場版ではユイの旧姓も「綾波ユイ」に変更されていましたからね。
綾波レイの詳細に関しては「綾波レイの正体は使徒?シンジとゲンドウとの関係性」の記事を参照ください。
渚カヲルの真の目的 | 加持リョウジ達との関係性
旧作から始まり『エヴァQ』までの作品では接点や会う機会がなかった加持リョウジとの意外な接点や関わりがあった点も『シンエヴァ』の大きな魅力でした。
これには空白の14年間でカヲルが真の目的のために遂行した作戦や行動も大きく関わっていたはずです。
カヲルの真の目的は自身のループから抜け出すこと
記憶を残しながらループすることが可能だったカヲルは、新劇場版になると「シンジの幸せ」という台詞を何度も言っていました。
しかし、この幸せや救出は真の目的を果たすための通過点にすぎなかったことが『シンエヴァ』での加持との場面で明かされました。
カヲルの真の目的とは「シンジ達を救うことで自分もループから抜け出したかった」のです。
碇シンジの詳細に関しては「【エヴァ】碇シンジのTV・旧劇と新劇場版の違い | レイやカヲルとの関係」の記事を参照ください。
渚司令としてチルドレン達を集めたのもシンジを救うため
真の目的を遂げるために、まずはシンジ救出を実行すべく、他のチルドレン達も招集しなければなりません。
『エヴァ破』で流れた予告では渚司令となったカヲルが「運命を仕組まれた子供達(4人)」を招集している場面もありましたが、ここで集めた4人とはマリ・アスカ・レイ(仮称)、そして加持だったと思います。
本来なら4人目はシンジと言いたいところですが、空白の14年間で凍結されたエヴァ初号機がシンジを取り込んだまま宇宙へと射出されてしまっていた上、カヲルがこの4人を集めた時期では『エヴァQ』冒頭場面での救出作戦を、まだ実行できる段階にまで進められていない状況だったはずです。
さらに、この場面でカヲルの前に立つ4人の人影にも大きな違和感がありました。
それは「4人のうち、1人だけが異様に高身長だったこと」そして「高身長の人影と他3人の身長差が”子供と大人”程の差もあった」という点です。
おそらく、この4人を招集した時には幽閉されたネルフ関係者たちもカヲルの手で解放されており、ミサトをリーダーとしてヴィレも結成されていたと思います。
カヲルも死亡した加持の意志を引き継いでいた
自ら司令となってヴィレ結成まで達成できたのも空しく、シンジ救出の前にゼーレにより2度目のサードインパクトも起こされてしまったはずです。
『シンエヴァ』で1つの回想シーンとして流されたリリスに大勢の死体となった頭蓋骨が降り続ける場面こそが、まさにサードインパクトが起こされた時だったのではないでしょうか?
何としてでもサードを止めるために犠牲となって死亡した加持の意志も引き継いだ上で、カヲルもまた本格的に動き出し始め、そこから『エヴァQ』でのシンジとの再会や触れ合いに繋がっていった可能性が高いと思います。
ちなみにカヲルがヴンダーに乗らずネルフ本部に残っていたのには、フォースインパクト発動を企むゲンドウの動きを監視するためだったのでしょう。
加持リョウジの詳細に関しては「加持リョウジは誰に殺された?TV・旧劇と新劇の違いやミサトとの関係・息子について」の記事を参照ください。
渚カヲルのTV・旧劇と新劇の違い
最後には渚カヲルにおける、TV・旧劇と新劇の違いも簡単に紹介してみます。
TV版ではシンジに希望と絶望を与える存在として登場した
先に紹介した通り、カヲルは最後の使徒として登場したものの、一時期は絶望しかけていたシンジの希望になってくれた存在です。
TV版が本放送中だった時期では、初めてシンジに対してストレートに「好き」と言ってくれたことにより、シンジを完全に立ち直らせてくれる展開に期待した視聴者も多かったと思います。
しかし、後半パートで最後の使徒であることが判明した途端、シンジをまたしても絶望の淵へと叩き落としてしまったのです。
シンジにとっては敵同士とされただけでもつらかっのに関わらず、カヲルの方から「僕を殺してくれ」などとお願いし、それを遂行させてしまったわけです。
新劇場版ではロンギヌスとカシウス、2本の槍がそれぞれ”希望”と”絶望”という形で対をなしていましたが、旧作の終盤ではカヲルが1人でシンジの希望と絶望を担っていた印象も大きかったですよね。
旧劇場版ではリリスと同化した形で登場した
TV版で自ら懇願し、シンジに殺させることで死亡したカヲルですが、その続きとなる旧劇場版ではリリスと同化した姿どシンジの前に現れました。
実際にリリスとの同化を果たしたのは綾波レイ(3人目)でしたが、巨大化した彼女からカヲルの姿へと変わっていったのです。
レイの時にはただ悲鳴を上げていたシンジもカヲルに変わった途端、一時的に安心していましたが、この場面だけでもカヲルがどれほどシンジから求められていたかが解りますよね。
新劇場版では「世界や物語のループ説」を判明させることに貢献した
旧作とは違い、新劇場版ではマリやアスカよりも早い段階で初登場を果たしました。
『エヴァ序』のラスト場面で目醒めた時、カヲルの周りには複数もの棺桶が並べられていました。
その後に言った”シンジに対する意味深な台詞”がキッカケで、エヴァという作品における「世界や物語のループ説」を匂わせた結果、そのループ説が真実であったことも『シンエヴァ』で判明させてくれたのです。
さらに月面に置かれていた棺桶の個数を見る限り、カヲルは何度もループと計画の失敗を繰り返してきたはずです。
そのため、1つの作品だけでも壮大だった旧作や新劇場版の物語も、実際にはカヲルが複数回にわたって繰り返してきたループのほんの一部に過ぎなかったことが解りますね。
まとめ
今回は渚カヲルの正体や目的に迫ってみました。
特にカヲルの場合は新劇場版では更なる謎に包まれていた印象も強く、カヲルの正体や目的を追求するためには”空白の14年間”にも迫る必要があったわけですね。
本来は空白の14年間でのカヲルの行動もアニメ本編で見られることが1番望ましいことですが、旧作からエヴァに触れてきた世代のファンにとってはカヲルのおかげで「エヴァ特有の考察」をできる機会を持たせてもらえたようにも感じられます。
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