この9巻では、仁坂の中学生時代を描いた過去編をメインとしながら、彼が“男を好き”になった理由や原因が描かれました。
目次
本当の初恋の相手は兄(遥一)の友人だった
仁坂は本編よりも前の時系列からイケメンでモテモテの中学生であり、既に同級生の美少女(桜木佐和子)と恋人同士として付き合っていました。しかし、桜木の部屋に招待された上「”初めて”の相手になってほしい」と性行為を迫られた瞬間、仁坂はあまりの不快感を抱きながら、その場で嘔吐してしまいます。
それが原因でプライドの高い桜木の方から自分たちの関係を絶ってくれたのも束の間…兄(遥一)が自宅に連れてきた男友達と映画がキッカケで“恋人関係”となってしまうのです。
男同士による恋は、兄の友人から熱いキスを交わしてきたために始まります。仁坂は、桜木よりも男性と一緒にいることの方に心地よさを感じるようになり、付き合いが始まってからは何度も彼の自宅へ遊びに行くようになります。
こうした経緯や出来事もあり、仁坂にとって本当の初恋の相手とは桜木ではなく、兄の友人だったと言えます。
しかし、彼との関係も長くは続かず、この男性は自分に届いてきた政府通知に浮かれ、その相手との恋愛や結婚の方を選んでしまったため、仁坂はこの時点で捨てられたことになりますね。
根島と出会った時点から想いを抱き始めていた
根島と仁坂の出会いは中学時代に通っていた塾であることはストーリー初期から明かされていたものの、この時の出会いから仁坂は既に“根島への想い”を抱き始めていたのです。
仁坂が上級生に絡まれているところを目撃した根島は、2人には何も言わぬまま警察に通報してしまったことでこの場はひとまず大事にならずにおさまります。
根島のあまりにも常識外れな行動力に呆れながらも、ここから友達同士としての付き合いが始まり一緒にいるうちに、仁坂の中にある「根島を好きだ」という気持ちが決定的なものとなっていたのです。
【10巻のネタバレ】根島との決別を宣言した美咲
(恋と嘘第10巻 ムサヲ/講談社)
完全に決裂したと思われた根島と仁坂の友情でしたが、義姉(真理恵)の危機や父親(騎士)からの助言のおかげで、ひとまず仲直りできました。しかし、その後には美咲からの決別が待っていました。
美咲からの決別と柊から語られる真実とは
仁坂と仲直りできた後、根島は風邪症状による高熱で倒れ、数日間にも渡り欠席を続けます。
そんな状況の中、美咲がお見舞いに来てくれましたが、この時の本当の目的は「根島との決別」を宣言することでした。美咲から政府通知に関する“ある取引”をしたことを話し、それを成立させるには「根島くんが邪魔」とまで言い放ってきます。
美咲「…なので、私のことはもう考えなくて大丈夫です」
そこまで告げてから美咲は帰ってしまいますが、どうしても放っておけない根島は柊と待ち合わせして、その真実を問いただそうします。しかし何故かスーパーでの買い物につき合わされ、完全に柊のペースとなってしまいます。
そんな中で意味深な台詞を呟きます。
柊「私が話さなければ、美咲は“あんな取引”しなくて済んだのに…」
買い物が済んでスーパーから出た後に、柊の口から「美咲が“普通とは違う政府通知”に選ばれたこと」を教えられますが、それこそが後に判明する「特殊政府通知」のことです。さらに、柊の口から美咲は「今でも根島を大好きなことは絶対に本当」と告げてきたのです。
ちなみに、美咲が根島と決別した時に告げていた”欲しいもの”とは「根島を好きでいて良い“権利”」でした。
【11巻のネタバレ】ついに明かされた美咲の過去と家族関係とは
(恋と嘘第11巻 ムサヲ/講談社)
前巻での柊の台詞から美咲や政府通知に関する真実に近づきましたが、この11巻で「美咲の過去や複雑な家族関係」も、ついに判明しました。
美咲が背負う過去と家族関係とは
これまではかなり曖昧とされてきた「美咲の過去や家族関係」が、本人の過去の回想シーンにより明かされます。
美咲の両親は政府通知を拒否し、お互いに愛し合う中で結婚したものの、その関係は長くは続かず”父親の浮気”や”母親の不倫”により、美咲がまだ小学5年生だった頃に離婚していました。
自分の意思で父親と一緒に暮らす道を選んだ美咲ですが、中学生になると厚労省の姉川が訪れてきては「特殊政府通知」を渡されたのです。これこそが、柊が前巻で言っていた「美咲が”普通とは違う政府通知”」のことであり、通常の政府通知とは違って拒否する自由もあるため、本来ならば無理して受ける必要のないものでした。
しかし、これより前に柊から「根島が16歳を迎える前に死んでしまうこと」を告げられたため、美咲は自分の恋や人生をも捨てる覚悟を決めて根島を救うために、その特殊政府通知を受けていたのです。
美咲の複雑な過去や根島の持つ遺伝子の詳細は「【恋と嘘】高崎美咲の政府通知は根島由佳吏？死亡説や最後の結末を考察」の記事を参照ください。
莉々奈も特殊政府通知の真実に迫り始める
莉々奈もまた、以前に美咲から言われた言葉を忘れられず、根島たちには内緒の形で行動を始めます。
美咲「根島くんを助けて…」
莉々奈はこの時の台詞の意味が分からなかったものの、柊の協力も得て関係者以外は立ち入り禁止とされている厚労省の資料室へと忍び込み、その中で衝撃的な物を発見してしまいます。
美咲とは違い、通常の政府通知しか届けられていない莉々奈にとって”特殊政府通知”とは単なる都市伝説でしかありませんでした。
しかし実際にそれに関する資料が置かれていた上、美咲と根島の氏名が記載された書類を見たがために強い衝撃を受けてしまったのです。
【12巻(美咲編)のネタバレ】命がけの愛と覚悟で結ばれた
(恋と嘘第12巻(美咲編) ムサヲ/講談社)
最終章に入った段階から根島と美咲にはこれまで以上に重い試練が襲いかかりますが、これを乗り越えた2人は本当の意味で結ばれました。
根島は”自分の秘密”を莉々奈から知らされた
冷たい雨が降る夜にびしょ濡れ状態の柊、そして少し遅れてきた形で莉々奈も根島の自宅に訪れます。
2人を部屋に入れてタオルを貸して休ませた根島は、柊から根島の体内に宿っていた「顕現性致死遺伝子」のことを聞かされます。
あまりのショックで動けなくなる根島ですが、この後に莉々奈の曾祖母のための「莉々奈との事前結納」が待ち受けていたのです。
事前結納を放棄した根島が美咲を助けた
莉々奈との事前結納が緊急な形で決まってしまい、一度は莉々奈の曾祖母も交えて互いの家族が集まりますが、その会場に2人きりでいる中で数日間にも渡って帰宅していない美咲の行方に気づきます。
莉々奈が気づいた美咲の行方はかつて皆で行ったキャンプ場でした。そして、莉々奈から押された根島は自分達の事前結納すら放棄して、すぐに向かいます。
莉々奈の直感は当たり、美咲はキャンプ場の高い崖の上から飛び降り自殺を図ろうとしていました。間一髪で助けようとした根島も一緒に川の中に落ちてしまう結果となりますが、2人とも死なずに済みました。
根島からの”賭け”で美咲の恋が嘘でないことが判明した
自殺未遂まで起こした美咲を叱った後に自分のことで謝罪した根島から、かつて自分達が出会ったばかりの頃に共有していた”消しゴム”を出しながら「賭け」を提案してきます。
この消しゴムを出しながら、改めて自分の想いを告げた根島と涙を流しながら応えた美咲…
根島「命をかけて、君と一緒にいさせてください」
美咲は根島に自分の起こしてきた行動を知られた時点で、もしも根島から除去したはずの遺伝子が再発した場合には、もう治療すら受けられないことを悟る一方、根島の方は「再発しない可能性」に賭けていたのです。
そして翌朝になると一緒に朝焼けの見える場所へ移動して、美咲は根島からの想いと覚悟を受け止めました。
屋上で2人きりの結婚式を挙げた
美咲と根島が本当の恋を誓い合ってから最終話になると、2年後の卒業式を迎えていました。
そして卒業式が終了した直後、屋上で「2人きりの結婚式」を挙げます。誓いのキスを交わす中で、根島から美咲の薬指に“結婚指輪”をはめてくれました。
これは、やっと本当に結ばれた美咲と根島の恋が嘘ではなく“永遠の愛”に変わった瞬間でもありますね。
本当に結婚した後は子宝にも恵まれた
(恋と嘘第12巻(美咲編) ムサヲ/講談社)
本編のストーリーは屋上での結婚式で終わりましたが、その次の見開きページでは数年後の記念写真が数枚も貼られているコルクボードが描かれています。
これらの写真の中で、数年後には本当に結婚した上、美咲と根島の間にはかわいい子供まで授かり、本当に幸せに生き続けていることが判明しました。
【12巻(莉々奈編)のネタバレ】大勢に祝福される中で結ばれた
(恋と嘘第12巻(莉々奈編) ムサヲ/講談社)
莉々奈は最終話にして、根島由佳吏からの正式なプロポーズを受けて結ばれました。
しかし、その結ばれ方や結末は「美咲編」とはかなり違っていました。
ストーリー分岐はキャンプ場の場面から
根島が柊から自分の体内に宿っていた遺伝子のことを聞かされた場面や、莉々奈から押される形で事前結納を放棄してまで美咲を助けるためにキャンプ場へ駆けつける展開までは「美咲編」と共通しています。
本格的なストーリー分岐は根島がキャンプ場にたどり着いた後からになります。
美咲のことを心配しながら捜す中でも根島の脳裏には莉々奈の顔が浮かぶ中で、いつしか自分の本当に好きな人が美咲から莉々奈に変わっていたことに気づきます。
そして高い崖から飛び降りようとしていた美咲を助けた時も、川に落ちることなく、何とか引っ張って引き上げました。
美咲への決別を経てからプロポーズした
崖から引き上げて助けた美咲に対して、根島から今の本当の気持ちを打ち明けます。
根島「莉々奈が好きで、どうしても莉々奈と一緒にいたいんだ…ごめん」
根島がここまで来れたのは莉々奈がいてくれたおかげであり、柊から自分の遺伝子による真実を知らされても取り乱さずにいられたのは、莉々奈がその場で自分の分まで怒って泣いてくれたからです。
そして、美咲の気持ちにはもう応えられないことをハッキリ告げます。美咲も涙を流しながらも必死に堪えながら根島のことを吹っ切れようとしていました。
美咲「良かった！根島くんが私を選んでくれなくて…」
美咲にとっては根島から決別を宣言された辛さと同時に、根島が政府通知を守ることにより今後も命の安全が保たれることが嬉しかったのです。翌日に帰ってきて美咲を自宅まで送った根島は、すぐ莉々奈に会いに行って無事に助けてきた報告の直後にプロポーズをします。
根島「僕と結婚してくれますか？」
莉々奈「もう、とっくに…ずっと前から出会った時から、由佳吏は“特別”よ」
根島からの正式なプロポーズに対して、莉々奈も嬉し涙を流しながら応えました。お互いに優しく抱きしめ合い、この2人がやっと本当の意味で結ばれたのです。
結婚式を経て、2人の子宝に恵まれた
(恋と嘘第12巻(莉々奈編) ムサヲ/講談社)
最終話(第50話)では、卒業式をも飛び越して“5年後の未来”にまで飛んでいました。
美咲編とは違って教会で結婚式が開かれた中、根島と莉々奈は両家の家族や友人たちの前で“指輪の交換”と誓いのキスを交わし合います。
根島「絶対、幸せにするから…」
莉々奈「私も、絶対あなたを幸せにしてみせるわ！」
お互いに幸せにすることを約束し、指切りをしました。
そして数年後も根島が遺伝子によって死亡することはなく、それどころか莉々奈との間には“2人の子宝”にも恵まれたのです。
美咲や仁坂の将来も判明した
莉々奈編では、美咲編の方では曖昧とされてきた「美咲と仁坂の将来」についても判明しました。
美咲と仁坂、そして坂本も根島と莉々奈の結婚式に出席して2人を祝福していました。美咲たちの交わす会話の中で「5年後の自分たち」について語られます。
高校生の頃からファッションモデルもこなしていた仁坂はそのままプロデビューして、今では専属マネージャーまでついています。
そして、美咲に届いていた政府通知の相手こそが「仁坂のマネージャーを務めている男性」だったのです。
この男性は仁坂からも”いい奴”と好評価されており、美咲もまた自分の相手として選ばれたマネージャーとは、それなりに上手くやっているようです。
まとめ
今回は『恋と嘘』の2つの最終章(12巻)も含める形で、ネタバレ紹介をしてみました。
政府通知という独特なシステムにより恋と嘘に翻弄させられ続けた美咲と莉々奈、そして根島たちですが、こうした辛い試練を乗り越えたからこそ、最終話にして幸せを掴めたようにも感じられます。
最終章だけを2ルート分けによって結末を迎えた漫画はかなり珍しいですが、美咲も莉々奈もこれまで根島のために頑張ってきたわけですから、根島と結ばれて幸せになる権利は両者ともにあるはずですよね。
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