『終末のワルキューレ』は月刊コミックゼノンで連載中の漫画作品で、2021年にアニメ化されNetflixで独占先行配信となり、BS11でも2021年10月より放送されていました。
この記事では、天下無双の剣士・佐々木小次郎のかっこいいところや強さや技などを解説します。
※表記上で区別するため、アニメ作品の登場人物については佐々木小次郎、歴史上の人物について語る際は「佐々木小次郎」と記述いたします。
目次
佐々木小次郎とは
佐々木小次郎は、人類の代表として第3戦で海神ポセイドンと死闘を演じた剣士です。
史実の「佐々木小次郎」は謎の多い人物ですが、『終末のワルキューレ』の佐々木小次郎は宮本武蔵と巌流島で決闘した後に死亡し、天界で更なる剣の道を求めて修行に明け暮れていたとされています。
このため、人類側の闘士が全盛期の姿で登場するラグナロクにおいてイケメンだった佐々木小次郎は、かなり年齢を重ねた老人剣士として登場しました。
佐々木小次郎は「今が小次郎の全盛期」だと語り、現在において人類最強の剣士となり人類を滅ぼそうとする神々との戦いの舞台に立ちます。
佐々木小次郎は史上最強の敗者(ルーザー)と呼ばれ、その生涯において一勝の勝ち星もあげられなかった剣士です。
佐々木小次郎のプロフィール
生国 | 越前国・豊前国・周防国など諸説あり |
愛刀 | 物干し竿(備前長船長光) |
奥義① | 燕返し |
奥義② | 千手無双→萬手無双 |
奥義③ | 双燕斬虎万刃撩乱(そうえんざんこばんじんりょうらん) |
「佐々木小次郎」は吉川英治先生の小説『宮本武蔵』をはじめ、井上雄彦先生の漫画『バガボンド』やPCゲーム『Fate/Stay night』などにも登場し、フィクションの世界ではおおむね美形の剣士として描かれる存在です。
通説では宮本武蔵との慶長17年(1612年)4月13日に行われた巌流島の決戦で死亡したとされていて、それまでの来歴については様々な伝承があり研究されています。
享年なども不明で、巌流島の戦いの際には実は老齢だったのではないかという説もあり、『終末のワルキューレ』の老人の姿というのはあながち間違いではないのかもしれません。
『Fate/Stay night』の佐々木小次郎については【Fate/stay night】アサシンの正体は?真名や強さ・声優情報を紹介で紹介しています。
佐々木小次郎の歴史
『終末のワルキューレ』の佐々木小次郎の過去の歴史は、越前国(現在の福井県周辺)の剣豪、中条流富田勢源の弟子とされている説が採用されています。
佐々木小次郎は、道場の練習への遅刻や試合になるとあっさりと負けを認めていたことから、ダメ剣士のレッテルを貼られていました。
しかし、剣術の試合に負けることで自分に何が足りないのかを考え、頭の中でイメージトレーニングをくり返しながら修行を行い、いつしか富田勢源を越えた実力を身に着けた佐々木小次郎。
武者修行に旅立った佐々木小次郎は、剣聖と呼ばれた上泉伊勢守信綱(かみいずみ・いせのかみ・のぶつな)や様々な剣豪との戦いを経て、さらに成長します。
佐々木小次郎の剣技はラグナロクの戦いの中でもさらに磨かれていき、宮本武蔵をして天下無双と言わしめる剣士となりました。
佐々木小次郎の声優は山路和弘さん
ごごナマ間もなくです!
直前の山路をお届けします。
(スタッフ) pic.twitter.com/8MGQLQps5J— 山路和弘 (@yama_G_108) March 1, 2021
佐々木小次郎は、劇団青年座に所属するベテラン声優であり役者・山路和弘さんが担当しています。
洋画の吹き替えでジェイソン・ステイサムの担当役が多いほか、最近のアニメ作品では『ドラゴンクエスト・ダイの大冒険(2020)』に登場するポップの師匠、マトリフ役などを担当。
悪役からアクションヒーローまでこなす演技力の高さは、舞台俳優や役者としてのキャリアゆえなのでしょう。
老齢となった佐々木小次郎のシブめのカッコよさを山路和弘さんの声の魅力が引き上げています。
佐々木小次郎の強さ・剣技・刀
佐々木小次郎の強さは、ラグナロクでの第3戦の最中においても進化していきました。
生前に編み出した秘剣「燕返し」は海神ポセイドンには通用せず、佐々木小次郎は窮地に追い込まれていきましたが、戦いの中で新たな技を編み出します。
愛刀『物干し竿』
「佐々木小次郎」といえば物干し竿と呼ばれる日本刀「備前長船長光」がトレードマークとなっていて、刀身の長さについては諸説あり3尺あまりであったと伝承されています。
一尺は現代の長さに換算するとおよそ30センチなので、おおむね90センチから1メートルぐらいの刀身です。
佐々木小次郎のパートナーとなった戦乙女フリストは、神器錬成によって備前長船長光に姿を変え、佐々木小次郎と共に登場しました。
最強剣技開眼①「千手無双→萬手無双」
幾多の剣士との戦いやイメージトレーニングによって、佐々木小次郎は千手無双という剣の奥義に到達していました。
千手無双は相手の動きなどの少ない情報から、次にどんな攻撃が来るのかを事前に察知する境地に達することで、最速の先読みにより回避する剣技です。
しかし、ポセイドンのトライデントによる槍術に破られ、追い詰められた佐々木小次郎は仲間の声援によって、千手無双を進化させた萬手無双を開眼します。
萬手無双は相手だけではなく、空気の流れや地面の振動などの森羅万象すべての動きを読む剣技となりました。
最強剣技開眼②「二天岩流奥義・双燕斬虎万刃繚乱」
戦乙女フリストによって神器錬成された佐々木小次郎の愛刀は、海神ポセイドンによってへし折られてしまい、劣勢に立たされます。
幾多のライバルたちの思いを背負った佐々木小次郎は神器再錬させ、折れた備前長船長光を変化させて「二天岩流」に開眼しました。
「二天岩流」とはライバルたちとのイメージトレーニングによってその剣技を自分のものとしたもので、自らの流派「岩流」に宮本武蔵の「二天一流」や他の剣豪たちの技を盛り込んだ最強剣技です。
佐々木小次郎が扱う神器錬成とワルキューレ
物干し竿は「備前長船長光Xフリスト」として神器錬成され、ポセイドンとの激しい戦いで破損しました。
一度は戦闘続行が絶望視されましたが、フリスト固有の能力と佐々木小次郎によって神器再錬され、備前長船長光は太刀「震える者」と脇差「轟かす者」の2つに分裂します。
作中のブリュンヒルデの解説と神器再錬の描写によると、右手に持った太刀の冷静な「震える者」と左手にした脇差の激高しやすい「轟かす者」に区別できます。
フリストは性質の変化が髪型の分け目で区別でき、8話「あふれる愛」では左分け目が「震える者」で右分け目が「震える者」となっていました。
戦乙女フリストは二重人格?
戦乙女13姉妹の次女フリストが2つの神名と性質を持っているのは、北欧神話の伝承がベースになっている事に起因するもので、『終末のワルキューレ』のご都合主義な展開ということではありません。
元々フリストには「震える者」と「轟かす者」の2つの性質が同居していました。
ブリュンヒルデによると2つの性質を有する唯一のワルキューレだったことが幸いして、神器再錬の結果をもたらした事が語られています。
この場面の原作漫画のブリュンヒルデの顔芸やセリフは、アニメオリジナルで改変されているので、原作とアニメを比較してみるのも面白いでしょう。
「神殺しの13人」に佐々木小次郎が選ばれた理由
佐々木小次郎が戦いの舞台へと登る際にMCのヘイムダル(画像左)も語っていた通り、鞍馬山の天狗の弟子である源義経や、剣聖と呼ばれて新陰流開祖の上泉伊勢守信綱などを神殺しの13人(エインヘリャル)候補にしても良かったはずです。
また、佐々木小次郎に勝利した宮本武蔵が選ばれなかったことに、宮本伊織(みやもといおり)も異を唱えていて、現代にも伝わる兵法書「五輪の書」を書いた宮本武蔵こそふさわしいとブリュンヒルデの選択を非難しています。
なぜ宮本武蔵より佐々木小次郎が選ばれた?
佐々木小次郎が神殺しの13人に選ばれた理由とは何だったのでしょうか?
その理由は、佐々木小次郎が一度も勝利せずに終わった剣の道に対して、死後400年以上も研鑽を積んでいたことにあります。
宮本武蔵は佐々木小次郎が闘技場で抜刀した際の姿を見て、佐々木小次郎がどれだけの修業の果てに今の境地へと至ったのかを察し、その姿勢から最強を目指す剣士として認めました。
生前に負け続けながら飽くなき研鑽の果てに、天下無双の境地に達した佐々木小次郎の姿は宮本武蔵の心を打ちます。
他の剣豪たちはどう思ったのか
天界では佐々木小次郎の生前のライバルや、宮本武蔵に打倒された剣豪たちも第3戦の行方を見守っていました。
宝蔵院流槍術の宝蔵院胤舜や、足利将軍家剣術師範の吉岡清十郎などもいましたが、宮本武蔵と同様に佐々木小次郎の努力や戦う姿を認めて佐々木小次郎に声援を送っています。
その声援は佐々木小次郎に勝利をもたらす引き金となりました。
佐々木小次郎の対戦相手と結果をネタバレ
佐々木小次郎の対戦相手は天界最恐と呼ばれるオリュンポス12神の一人、海神ポセイドンです。
圧倒的な実力差のあるポセイドンと対峙した佐々木小次郎は、試合直後に千手無双による対戦予測イメージのなかで、ポセイドンによって18回も殺されています。
神代表は「海神ポセイドン」
ポセイドンは、かつてオリュンポス12神が13神だった頃に兄アダマスを殺した神殺しの神で、海を統べる海神として知られ「最怒神」や「大海の暴君」などの異名を持ちます。2回戦に登場したゼウスの兄でもあります。
ポセイドンの実力は神々の中でも有数で、兄殺しの罪も誰にも文句を言わせないほど強者として他者を見下す圧力がありました。
所持している神器は三叉槍(トライデント)と呼ばれる三又の槍で、怒れる波濤(アムピトリテ)や、荒海に降る神雷(キオネ・テュロ・デーメテール)や、四十日四十夜の大洪水(メドゥーサ・アロペ・デーメテール)といった必殺技を持っています。
天下無双の初勝利
ポセイドンによって物干し竿を折られた佐々木小次郎は、神器再臨を行って剣技「二天岩流」を開眼します。
「二天岩流」でもポセイドンの攻撃を凌ぎきれなかった佐々木小次郎は、かつてのライバルたちに後押しされながら「萬手無双」を発動してポセイドンの間合いに到達します。
そして、「奥義・双燕斬虎万刃繚乱」を放ち、ポセイドンを撃破した佐々木小次郎。
それは自分を育ててくれたライバルたちへの感謝とリスペクトに満ちた斬撃で、誰もが認める天下無双の剣士が、人類として神々に対して初勝利をつかんだ瞬間でした。
佐々木小次郎のかっこいいシーン・名言
佐々木小次郎のかっこよさは、「史上最強の敗者」という二つ名を返上して、初勝利をつかむ過程にあります。
目先のライバルとの勝負の勝敗には目もくれずに、自分自身の強さだけを追い続ける姿勢が佐々木小次郎の魅力なのでしょう。
それは作中の佐々木小次郎のセリフに現れています。
「ただ・・・負け続ける旅に出ようと思います」
10話「最強の敗者」で語られ、師匠である富田勢源に認められて紹介されそうになった士官の道を断った際に出た言葉です。
勝つための技術を求めるのではなく、ただ己の技を磨くためだけに出たセリフは、佐々木小次郎という剣士の高潔さと剣の道を求める求道者としての覚悟が垣間見えます。
旅立った佐々木小次郎は勝負に負け続けた人生を送りましたが、ポセイドンとの戦いによって初勝利を得ることで、天下無双の頂へと向かう己との勝負に勝利しました。
「勝つってなあ・・・なかなかいい気分だねえ」
12話「そしてラグナロクはつづく」でポセイドンに勝利した後に、安堵した佐々木小次郎が放ったセリフです。
孤高の存在だったポセイドンを破ったのは、仲間たちや幾多の剣豪たちとの死闘によって得た経験と研鑽によるものでした。
これまで、勝負の勝敗には拘らなかった佐々木小次郎が、人類の勝利のために戦って人々の賞賛を得た瞬間に漏らした一言には、万感の思いが篭っています。
まとめ
佐々木小次郎のかっこよさを一言で言うと、負け続けの人生を送りながらも、己をひたすら鍛え続けて死後になっても自分との戦いに勝利した心のあり方です。
常にベストの自分を求め続けた佐々木小次郎の思いは、死後400年以上たったラグナロクの戦いで開花しています。
その勝利を後押ししていくのは、闘技場に集まったかつてのライバルたちで、彼らへの感謝と尊敬が勝利をつかむ熱い展開が見どころでした。
史上最強の敗者が天下無双の勝者となる過程は、ファンの心に何かを残していくのでしょう。
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