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奇想天外な発想をする
公生と初めて出会ったシーンで、ぞうの滑り台の上でピアニカを弾いているかをり。
周りの子供たちは「おねーちゃん、ハトこないよ」といっています。
どうやらピアニカの音でハトを集めようとしたみたいです。
裸足で滑り台の上に立ってピアニカを吹くなんて、かなり変わった中学生で奇想天外です。
公生をコンクールに引っ張り出すために、昼食の校内放送でコンクールの課題曲を流したり、授業中、教科書を開いたらサン=サーンス(コンクールの課題曲)の楽譜が張り付けられてたり。
家に帰ると、公生の部屋にもサン=サーンスの楽譜が張り付けられています。
公生の部屋だけでなく、お隣さんの椿の家の窓にまで・・・。
もちろんこれも、かをりの作戦。
公生をコンクールに出すため、椿も取り込んでいたのです。
この作品でかをりは小さな1つの嘘をつきますが、この嘘がポイントになった発想もほかの人だったら考えつかないかも・・・と思います。
かをりがついたきれいで切なくて、絶対に忘れることができない嘘も奇想天外な発想といえるでしょう。
これじゃ全く考えが読めないよね
喧嘩上等で自分のやりたいことを貫き通す
『四月は君の嘘』の紹介でかをりは、傍若無人、喧嘩上等と書かれています。
かをりは自由奔放でいつも楽しそうで、その性格がヴァイオリンの音色にも出ています。
まっすぐな考え方を持っているかをりですから、曲がったことをいう人がいれば違うとはっきり意見できるでしょうし、喧嘩になってもそれが間違っていない喧嘩なら、まっすぐに戦いそうです。
自分がやりたいこと、その最も頂点にある「一番やりたいこと」「絶対に成し遂げたいこと」が「公生をピアノの舞台にあげる」ことだったと思います。
そのためには、どんな横やりが入ろうとどんなに嫌がられようとやり遂げる、そんな強い信念を持っているのがかをりです。
すごく強引そうに見えるけどなぜか周りは納得しているんだよね
宮園かをりの名言
『四月は君の嘘』の主人公である有馬公生も作品の中でたくさんの名言を残していますが、宮園かをりも読んでいる人の気持ちを揺さぶる、美しい名言をたくさん聞かせてくれます。
お願いします 私の伴奏をしてください 私を ちょっぴり支えてください くじけそうになる私を── 支えてください
どうしてもコンクールへ一緒に出てほしかったかをりは、コンクール当日まであきらめていませんでした。
学校中を探し回り、やっと屋上で公生を見つけます。
かかと落としを食らわせたかをりに公生は「伴奏なんてやらない 僕はピアノが弾けないんだ」といいます。
お母さんがいない、ピアノの音が聞こえなくなる、1人ぼっちになってしまう・・・怖がる公生にかをりがいいます。
「私がいるじゃん」
自分のピアノの音が聞こえないこと、練習していないこと、何もかも知っているし満足できる演奏にならなくても聴いてくれる人がいるなら私は全力で弾くと伝えます。
そして、かをりはぼろぼろと大粒の涙をこぼしながら、言ったのです。
「お願いします 私の伴奏をしてください 私を ちょっぴり支えてください くじけそうになる私を── 支えてください」
かをりは幼いころ、公生が初めて出たコンクールでの演奏を聴いていました。そこで彼女は感動し、ヴァイオリンを始めたのです。
いつか公生と一緒にコンクールに出たいという目標をもって、ひたむきにヴァイオリンを練習してきました。
でも、病気になり命の期限が迫っていることを知り、自分の夢を果たしたいなら今すぐにでも!公生と一緒にコンサートに出なければならなかったのです。
この時のかをりの気持ちを考えると、本当に切なくなります。
一生に1度になるかもしれない公生との夢の舞台。
かをりはどんなにうれしかったか、心がギュッと苦しくなりますね。
やっぱり自分の病気の状態に押しつぶされそうになっていたんだね
君は君だよ。『君らしく』なんて曖昧なものじゃない。何やったって変わったってカンケーない。君はどうせ君だよ。
ピアノの練習を続けている公生ですが、コンクール中、演奏の途中でまた音が聞こえなくなるかもしれないという不安や、ブランクがあり本当に曲を自分のものにできているのか?と自問自答します。
食事をとるのも忘れるくらいピアノに没頭していたため、体育の時間に倒れてしまいます。
かをりが保健室に駆け付け、一緒に帰るとき、公生はトラウマになっているクロネコの話をしました。
自分の手に傷をつけた黒猫のチェルシーをお母さんが捨てに行ったこと、それを止めればよかった、やめてといえばよかったと後悔しています。
するとかをりが言ったのです。
「君は君だよ。『君らしく』なんて曖昧なものじゃない。何やったって変わったってカンケーない。君はどうせ君だよ。」
バッハやショパンみたいにあんな髪型がはやった時代に生きているわけじゃない、自分は自分、今の自分ができる精いっぱいの演奏をすればいいと言ってくれたのです。
頭の固い公生にとって自由なかをりの言葉は欠かせないね
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