目次
悲しくてもボロボロでも、どん底にいても、弾かなきゃダメなの。そうやって私達は、生きてゆく人種なの。
どうしてピアノをやめてしまったのか、その理由をかをりに話したとき、かをりが言った言葉です。
「甘ったれんな!」と公生を蹴飛ばしました。
弾けなくても弾け!手が動かないなら足で弾け!指が足りないなら鼻も使え!なんて、もう無茶苦茶です。
でもかをりはどうしてもあの人を感動させる、あのピアノが弾ける公生に戻ってきてほしかったんですね。
それにこの言葉はかをりが自分に言っているようにも聞こえます。
どんなにつらくてもどん底にいても、今頑張らなければいけない、その思いを最後まで突き通せるように、自分へのエールのように聞こえてきます。
かをりも自分自身に不安があったんだね
やっぱり、君でよかった! 届くかな。 届くといいな。 有馬公生くん、君が好きです。好きです!好きです!!
かをりのお父さんからかをりの手紙を受け取った公生ですが、ずっと読むことができず冬が過ぎ、かをりと出会った春になってようやく封を切りました。
かをりからの手紙には、公生へのあふれるばかりの思いが書き綴られていました。
この手紙をかをりはどんな思いで書いたのだろう・・・『四月は君の嘘』のファンも初めて読む方も、かをりの切ない思いに涙せずにいられません。
かをりもみんなと同じように、あのコンクールを見ていました。
そこで公生の演奏を聴き、たった一音で憧れの存在となったのです。
同じ中学になって声をかけることもできず、中学でも入退院を繰り返していたかをり。
自分が長くないと知り、後悔を天国に持ち込まないためにやりたいことをすべてやると決めました。
そのやりたいことの中で、絶対にやりたいこと、絶対に果たしたいことが、公生との演奏でした。
読経橋から飛び込んで気持ちかった、電車と本気で競争して勝てると思った、音楽室から見た月がおまんじゅうみたいでおいしそうだったなんて、かをりらしい手紙です。
手紙には、たった1つの嘘も書かれています。
宮園かをりが渡亮太を好きという嘘をつきました これがかをりのたった1つの嘘です。
手紙の最後に、このかをりの告白が書かれています。いつものように「君」と言わず「友人A君」でもなく、「有馬康生君。」と呼び、「君が好きです。好きです。好きです。」と書いてありました。
好きです。を3回言ったのは、かをりが公生を好きになった瞬間が3回あったからだよ。全てのかをりの想いを手紙で伝えたんだね
宮園かをりが劇中で有馬公生と伴奏したヴァイオリンの曲
作品の中にはたくさんの音楽が流れます。
コンクールでもさまざまなピアノ、ヴァイオリン曲が演奏されていますが、その中で、有馬公生と宮園かをりが伴奏した曲を紹介します。
宮園かをりと有馬公生は2人で演奏してこそ絵になるよね
サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチョーソ」抜粋
サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチョーソ」抜粋は、カミーユ・サン=サーンスというフランスの作曲家が作曲しました。ヴァイオリンと管弦楽のための協奏的作品ですが、ピアノ伴奏版としても知られています。
サン=サーンスの作品の中で最も人気がある曲です。
かをりが友人Aである公生を勝手に自分の伴奏者にして、コンクールに引きずり出した時の曲ですね。
公生は途中でまた自分のピアノの音が聞こえなくなってしまい演奏を途中でやめてしまいました。
そこでかをりも演奏をやめ、「アゲイン」と告げます。
このなんとも印象的な場面で弾いていたのが、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチョーソ」抜粋です。
結局、現実の世界で公正とかをりが舞台に立ち一緒に演奏したのはこれが最後。
公生がもう1度ピアニストへの道を踏み出した、そしてかをりと心通わせた感動的な1曲です。
2人で伴奏するにあたって記念の曲だね
クライスラー「愛の悲しみ」
藤和音楽コンクールで2次予選通過できなかった公生とかをり。
しかしガラコンサートの招待を受け、公生は華やかな曲がいいと考えますが、かをりはクライスラーの愛の悲しみを選択します。
クライスラーは、ヴァイオリニストであり、たくさんの曲を生み出した作曲家です。
クライスラーの作品の中では、「愛の喜び」とともに、有名な曲です。
愛の悲しみといっても、愛破れて悲しむというより、悲しい恋を連想させるような曲。
ロマンチックすぎず、でもところどころに悲しみや辛さなどが垣間見える、心にしみこむようです。
有馬公生と宮園かをりの意見が丁度いい感じにミックスしているね
クライスラー「愛の悲しみ」+ラフマニノフ「愛の悲しみ」
ラフマニノフ編曲の愛の悲しみ ピアノ独奏曲に、クライスラーのオリジナルでヴァイオリンの愛の悲しみをが合体させたものです。
本来はかをりと一緒に演奏するはずだった曲ですが、かをりは来ることができず公生1人で、クライスラーの愛の悲しみを弾きます。
愛の悲しみは亡き母が大好きだった曲です。
以前かをりが公生の家に行った際、本棚に入っていた楽譜がこの曲でした。
公生は母の呪縛から逃れるために、亡くなった母の気持ちと向き合うことが必要です。
ちょっと荒療治で本当に乱暴だな・・・と思いますが、残された時間が少ないかをりにとって、この曲は弾かせなければならない曲だったのだと思います。
有馬公生のお母さんの大好きだった曲を弾くことで向き合うことを決めたんだよね
コメント