映画「ルパン三世 ルパンvs複製人間」には数々の名言があります。
しかしその中でもイチオシでかっこいい台詞が
「実際、クラシックだよ。お前ってやつは」
ですね。
今回はこの名言について、またそれに関連してルパンの夢とは何なのかについて考察していこうと思います。
映画ルパン三世 ルパンvs複製人間の名言「実際クラシックだよ」
実際クラシックだよのセリフは前後のセリフも含めると、こんなやり取りです。
次元「行くな、ルパン!」
ルパン「俺は、夢、盗まれたからな。取り返しに行かにゃ」
次元「夢ってのは女のことか?」
ルパン「実際クラシックだよ、お前ってやつぁ」
出典 ルパンvs複製人間
めちゃくちゃカッコイイですよね(笑)
ルパンが一瞬次元にキョトンとした後にニヤっと笑って言う表情もまたいいです。
しかしこのセリフ、かなり抽象的で一見しただけではその真の意味を捉えづらいと思います。
このセリフを理解するには、まずはルパンの言う夢とは何なのかについて知る必要があります。
作中の伏線から順に考察していこうと思います。
ルパンの夢とは?
ルパンの夢とはなんなのか。
一番簡単に思いつくのは「夢=女=不二子」ですよね。
しかし個人的にはこの線は違うのではないかと思っています。
次元の「夢ってのは女のことか?」の問いかけについて、ルパンはキョトンとしていますよね。
これは次元の問いかけが、ルパンには心底考えもしなかった問いかけだったということです。
そうなるとルパンの心の中で思い描いていた夢は全く違うものだったことが読み取れます。
では女ではないとしたらルパンの夢とは何なのでしょうか。
【伏線1】ルパンは夢を見ない
作中ではもう1つ「夢」というキーワードが出てくるシーンがあります。
マモーがルパンの頭の中を覗くシーンです。
覗いた結果、ルパンの頭の中は表層意識にしかイメージが存在しておらず、深層意識には何もありませんでした。
マモー「なんということだ! ルパンは夢を見ない! 空間! 虚無! それは白痴の、あるいは神の意識に他ならない!」
出典 ルパンvs複製人間
この事から分かるように、ルパンは普段から夢というものを見ていません。
物語の中で「夢」というキーワードを2つ登場させておいて、これらが関連していないということはまずあり得ません。
そのためこのシーンは実は非常に重要な伏線になっているんですね。
これが1つヒントになります。
【伏線2】ルパンはクローンかもしれない
自分よりもルパンの方が神に近いかもしれないという嫉妬にかられたマモーは、少しでもルパンに精神的ダメージを与えようとこんなセリフを吐きます。
「たわむれに作った君のコピーはどうしたのかね?処刑されたのはあるいはオリジナルのほうだったかもしれない」
「バッキャロー、俺は俺だ、ルパン三世だぞ!」
出典 ルパンvs複製人間
マモーの言葉に対して、ルパンは怒りで言葉を返していますね。
このセリフはルパンにとってとても大切なものを奪いました。
だからルパンは怒ったのです。
「バッキャロー、俺は俺だ、ルパン三世だぞ!」と・・・。
この時ルパンは自分はクローンかもしれないという認識を植え付けられ、そして逆に「自分はルパン三世である」というアイデンティティ(自己認識)を奪われたのです。
ルパンの夢は「ルパン三世であること」
つまりルパンにとって、マモーに盗まれた夢とは「我こそはルパン三世である」というアイデンティティ(自己認識)でした。
※アイデンティティ≒プライド(自尊心)と言い換えてもいいかもしれません
ルパンにとって夢とは見るものではなく、既に叶っているものだったのです。
だからルパンは夢(深層意識)を見ない。
今(表層意識)だけを全力で謳歌している。
次元との会話の中では盗まれたという発言をしていましたね。
この記事上では「奪われた」という表現を使いましたが、ルパンにとっては「奪われる=盗まれる」なのだと思います。
怪盗ですからね。
そして盗まれたものは盗み返す。
それが怪盗としてのルパンの意地ということではないでしょうか。
クラシックだよのセリフの意味
ルパンにとっての夢がなんなのかが分かりましたね。
それではセリフ全体の考察に入りたいと思いますが、その前にそもそもクラシックとはどんな意味なのでしょうか。
一流の、最高水準の、典雅な、高尚な、古典的な、(文化的・歴史的に)由緒のある
出典 weblio英和辞書
クラシックと聞いて日本人が一番はじめに思い浮かぶのがクラシック音楽だと思いますが、あれは元々こういった意味が元になっているのです。
そして今回ルパンは「古典的な」というニュアンスで使っていると解釈するのが一番近いと思います。
これらの考察を元にセリフを言い換えてみると
次元「行くな、ルパン!」
ルパン「俺は、ルパン三世であるっていう自尊心を盗まれたからな。取り返しに行かにゃ」
次元「夢ってのは女のことか?」
ルパン「ホント古典的なやつだよ、お前ってやつぁ」
こんな感じになりますね。
ルパンは自分の存在証明そのものの話をしていたのに、次元は女のことか?と問いかけます。
そんな次元の単純とも純粋とも言える問いかけに、クラシックなやつだよ、お前は。と苦笑したのでしょう。
(ちょっと次元への称賛半分・からかい半分という気がしますね。)
しかしこうして直接的な表現してしまうと、なんともカッコよさがありませんね(笑)
やはり原文のあの皆まで言わない感じが、次元とルパンの関係を表現していてとってもカッコイイと思ってしまいます。
ルパンvs複製人間のタイトルに込められた裏の意味
これまで「クラシックだよ」のセリフについて考察してきましたが、この考察からタイトルの裏の意味まで読み取れます。
ルパンvs複製人間
これは一見「ルパン 対 複製人間のマモー」と受け取ることもできますが、
それだったら極論ですが「ルパンvsマモー」でもいいですよね。
個人的な考察ですが、この作品のタイトルには、ルパンが自分は複製人間なのではないかという恐れと戦う物語だという意味も込められているのではないかと思います。
誰しもが、自分はこの世界で唯一の存在である。
そう信じたいし、それを信じるために生きているのかもしれません。
余談ですが、エンディングのルパン音頭でも「おれはルパンだぞ~♪」と歌っています。
これはこの作品が「ルパンはルパンである」ことがテーマだということを暗に示していますね。
こうして考察してみると、この作品は実は非常に深く、そして一貫したメッセージが込められているのだと思えてきます。
まとめ
まとめると、
- ルパンの夢とは「自分はルパン三世である」というアイデンティティであり、既に叶っているもの(だからルパンは夢を見ない)
- クラシックなやつだよの意味は「古典的なやつだよ」というニュアンス
- ルパンvs複製人間というタイトルはルパンの自分との戦いの意味も込められている
でした!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
コメント
今日(10月9日(土)24:55~)ルパン三世 PART6 (シーズン1 エピソード1 #0 EPISODE 0 -時代-)が放送されました。
たまたま起きていてテレビをつけていたところ懐かしいと思いつい見てしまいました。
AIで管理されたドローンやプラスチック製の銃を使う警察が登場し時代の変化にうんざりする次元とルパン一味、また銭型との関係性が描かれた作品のように思いました。
作中ではルパンが次元に対し「やっぱり変わんねーな、お前はクラシックだよ」という言葉が出てきたことからこちらのHPに辿り着きました。
こちらのHPで書かれている考察と解釈がとても面白く読ませていただきました。
そして勝手ながら労力が必要になるとは思いますが、是非、ルパン三世 PART6の(EPISODE 0 -時代-)についても書いて欲しいと思い今回コメントを投稿しました。
ところで私は41歳なのですがサイト運営者は25歳と書いてあり驚きました。
ルパンもまた時代を超えて愛される「クラシック」なのかもなととしみじみと感じた秋の夜長でした。
クラシックなやつだよ、お前は
コレでググってました
クローンの原理を知っていてアイデンティティを盗まれたというのは無理があるよなと当時から思ってました
記憶は遺伝子でコピー出来ないから
実際に(設定上)マモーには回路が埋め込まれていて制御されていたわけだし、フジコの体だけ量産できたらそれでよくね?と考えたりしてましたね
色々と考えさせられるいい作品だと思います