髭男が新曲イエスタデイをリリースしました! 今回も素晴らしくも切ない楽曲で何度もリピートしてしまってますが、聞けば聞くほど映画ハローワールドの主人公の気持ちとリンクしてます。 実際に映画ハローワールドも観て劇場でイエスタデイを聞いてきているのでその経験を踏まえて歌詞を徹底考察していきます。
Official髭男dism・イエスタデイの歌詞の意味を徹底考察
歌詞の意味と映画ハローワールドとの共通点
映画ハローワールドは主人公・堅書直実が『少年時代と大人時代(未来から来た)』で2人いることが特徴です。
そして2人で協力してヒロイン・一行瑠璃が事故死する運命を回避していくんです。 しかし最終的には、未来の堅書直実はなんと、この時代の一行瑠璃をさらっていくんですよね。
(自分の時代では一行瑠璃は脳死しているためです) 過去の自分が不幸になったっていいという考えですよね。
この前提で歌詞を見ていくととてもリンクしていることが分かります。
例えばこの歌詞。
何度失ったって取り返してみせるよ
雨上がり虹がかかった空みたいな
君の笑みを
出典:Official髭男dism イエスタデイ
主人公の堅書直実がヒロイン一行瑠璃を何度失っても事故死という未来から救ってみせると決意している描写そのものです。 さらに映画では主人公直実が一行瑠璃の初めてみせる笑顔に惚れてしまう描写が印象的なんですよね。
ここも歌詞と映画がとてもリンクしているなと感じます。
『雨上がり虹がかかった空みたいな君の笑み』なんて・・・なんて美しい笑顔の表現の仕方なんでしょうね・・・。
個人的に歌詞全体の中でもとても好きな部分で、主人公のどうしてもヒロインの笑顔を取り戻したい気持ちが伝わってきます。
例えばその代償に誰かの表情を
曇らせてしまったっていい
悪者は僕だけでいい
出典:Official髭男dism イエスタデイ
こちらは堅書直実(大人)の心情にリンクします。
堅書直実(大人)は過去の少年時代の自分からヒロインを奪って未来に連れて行くんです。
ヒロインを救えて、またあの笑顔が見られるなら悪者にでもなってやるという覚悟。それを表現した歌詞だと思います。 実際にヒロインを奪われた少年時代の堅書直実は泣き崩れます。
(そしてまた立ち上がって今度は自分が未来へとヒロインを取り戻しにいきます)
本当はいつでも誰もと
思いやりあっていたい
でもそんな悠長な理想論は
ここで捨てなくちゃな
出典:Official髭男dism イエスタデイ
でも本当の堅書直実というのは、引っ込み思案で気が弱いけど、誰にでも優しくしてしまう性格なんです。 それは少年時代の堅書直実を見ていれば分かります。 とてもピュアで平和な心を持った少年なんですよね。 でも君を救うためならそんな理想論さえも捨てるという・・・変わってしまった大人時代の堅書直実の考え。 そこにとてもリンクしています。
遥か先で
君へ
狙いを定めた恐怖を
どれだけ僕ははらい切れるんだろう?
出典:Official髭男dism イエスタデイ
一行瑠璃が事故死を回避した後のこと。
死ぬ歴史は確定しているため、歴史修正プログラムが辻褄を合わせようと一行瑠璃を消しにきます。 それを主人公の堅書直美が何度も撃退して守ろうとする描写があるんです。
『恐怖=歴史修正プログラム』それをはらい切れるのか不安な心情の主人公とリンクします。
半信半疑で
世間体
気にしてばっかのイエスタデイ
ポケットの中で怯えた
この手は
まだ忘れられないまま
出典:Official髭男dism イエスタデイ
こちらはまだ弱気で世間体ばかり気にして自分のことを言えなかった少年時代の堅書直美視点ですね。
少年・堅書直実は自分の気持ちを周りに主張できない自分にコンプレックスを感じていて、だからこそ自分の気持ちを恐れずに周りに主張できるヒロイン一行瑠璃に惹かれるんですよね。
こうして見てみても、少年と大人両方の主人公にも感情移入できるように歌詞が作られているのだなと感じますね。
「何度傷ついたって仕方ないよ」と言って
うつむいて君が溢した儚くなまぬるい涙
ただの一粒だって
僕を不甲斐なさで溺れさせて
理性を奪うには十分すぎた
出典:Official髭男dism イエスタデイ
ここの歌詞ですが、ヒロインの一行瑠璃が泣くという場面は作中には登場しないんです。
ただ、落胆するヒロインを堅書直実(少年)が励まそうと奮闘するシーンはあってそこにとてもリンクしている気がしました。 ヒロインが大切にしていた祖父の形見である古本を学校の古本市に出すために運ぶシーンがあるんです。読んでくれる人の手に渡った方が本も幸せだろうと形見を手放す決心をしたヒロイン。
しかしこの古本は学校のボヤ騒ぎで燃えてしまいます。
いつも毅然とした姿しか見せなかったヒロインが茫然自失として、初めて激しく落ち込んでいるところを見せます。 それを見た少年・堅書直実はこうなることを教えてくれなかった『未来の自分』を責めます。
『未来から来たならこうなることは分かっていたはずなのになんで言わなかったんだ!回避できたはずだ』と、しかしヒロインの事故死を避けるという目的のためには余計な過去改変は起こすべきじゃないと大人・堅書直実は言います。
しかし何もできない自分が不甲斐なかった少年・堅書直実は行動します。 夜を徹して焼けたのと同じ古本を再生して集めるんですね。 ヒロイン・一行瑠璃はこれがきっかけとなって主人公に想いを寄せ始めます。
この場面を連想しながら歌詞を聞くと『何度傷ついたって仕方ないよ』は、大きな目的のためにはヒロインが何度も傷つくのも見守るしかない、仕方ないんだという大人・堅書直実を表していて。
『君が溢した涙』は落ち込んだヒロインを比喩表現している、そしてそんな様子を傍観するしかできないなんて、不甲斐なさでいてもたってもいられなかった少年・堅書直実。 こういった構図で捉えるととても感情移入できるなと感じました。
バイバイ
イエスタデイ
ごめんね 名残惜しいけど行くよ
いつかの憧れと違う僕でも
ただ1人だけ 君だけ
守るための強さを
何よりも望んでいた
この手に今
出典:Official髭男dism イエスタデイ
物語の後半で、主人公の少年・堅書直実は自分が暮らしてきた過去の時代を離れて、今度は未来にヒロインを救いにいくんですよね。
ここは主人公・堅書直実が『過去』と『過去の自分』と決定的に決別するという決心も暗に描かれています。 だからバイバイ・イエスタデイ。 イエスタデイは過去のあらゆるしがらみを示しているのだと思います。
そして映画でここから主人公は一気に変わります。 物語冒頭ではとても頼りなかった主人公が、初めて自分の意思で『ヒロインを救いに行こう!そのためには命の危険があったって構わない』と身を投げ出すんです。
そしてこの瞬間、実際に主人公には新しい力がその手に宿って、ヒロインを救うことができます。
言うなれば、物語の転換点『主人公の覚醒』が現れているCメロですね。 歌としても映画としてもとても熱い場面です。
アイラブユーさえ 風に
飛ばされそうな時でも
不器用ながら繋いだ
この手はもう
決して離さずに
虹の先へ
出典:Official髭男dism イエスタデイ
『手』という単語は、この曲の中で三回も登場します。
主人公の堅書直実は『神の手』という特殊な力を駆使してヒロインを救いますし、映画でも『手』は印象的に扱われているんですよね。 ヒロインの手を引いて走る場面もあったり。
(ちなみに主人公の右のの青いのが『神の手』)
そしてラストのエンディングでは無事にヒロイン・一行瑠璃と手を繋いで一緒にいることができるんですよね。
『不器用ながら繋いだ この手はもう 決して離さずに 虹の先へ』これは【虹の先=未来】とも捉えることができ、これから2人はもう離れずに自由な未来を歩いていく、という映画と歌のラストがピッタリ一致する形で幕を閉じています。
全体を通してもう素晴らしいとしか言えない出来! 聞いているだけで映画の感動が蘇ってくる楽曲です。
髭男は映画に合わせて歌詞制作したことを公言
調べたところ、髭男は映画『ハローワールド』の登場人物の心情を表現した曲であることを明言していました。
Official髭男dismのコメント 色んなアーティストが音作りに取り組む映画という点が魅力的でしたし、『HELLO WORLD』の世界観が一瞬で好きになりました。 人を想う心の強さや、その裏側に潜む苦悩のさまを、美しいメロディに乗せて表現することを大切にしました。
映画の登場人物にめっちゃリンクする歌詞だと感じてたのでやっぱりか!という感じですね。 藤原さんは過去にもアニメ『シュタゲ』を意識してPretenderの歌詞を作っていたりもするので、アニメ好きみたいですね。 シュタゲのストーリーに関しては「髭男Pretenderはシュタゲを意識した曲?ジャケットと歌詞の意味を考察」を合わせて読んでみてください。
まとめ
髭男の『イエスタデイ』の歌詞の意味を、映画『ハローワールド』との共通点を中心に考察してきました。
藤原さんも公言していましたが、映画としっかりとリンクした歌詞となっていて、髭男もハローワールドも大好きな身としては歓喜ですね。
個人的に好きな歌詞はやはり『雨上がり虹がかかった空みたいな君の笑みを』ですね。
こんな美しい表現思いつきますかね・・・藤原さんの歌詞は毎度素晴らしすぎる。 髭男のレパートリーの広さをまた1つ実感した曲となりました。 最後まで考察にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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