風立ちぬのヒロイン「里見菜穂子(さとみなおこ)」に関しては多くの謎がありますよね。
- 黒川邸での結婚式で急に髪が伸びたように見える。
- 物語終盤で山へ帰ったのはなぜ?本当に二郎のためを思ってのことだったのか?
- 結局どういった死に様だったのか。
今回はそれぞれの謎について考察してみたいと思います。
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目次
里見菜穂子の髪型が急に変わるのはなぜ?
作中、菜穂子は少女から大人の女性へと時の経過とともにその姿を変えていきます。
その中でも最も印象に残っているであろう場面が、二郎との結婚式での菜穂子だと思います。
風立ちぬのこのシーンで、菜穂子の顔色や髪の色、来ている晴れ着の色が鮮やに変わるのが1番好きなシーンでした。 pic.twitter.com/1RFfFcsRFj
— 太田 旭紀 Ota Akinori (@suberizaru) 2016年10月11日
とても美しいこのシーンですが、多くの視聴者がこう思ったと思います。
なんか髪が急に伸びてない?
結婚式直前の菜穂子がこちら。
明らかに長さが違いますよね。
なぜこんなに長さが変わったんだろう・・・。
髪をストレートにしたら伸びた
菜穂子ってちょっと髪の毛先にパーマかかってますよね。
しかし結婚式ではストレートに近くなっています。
髪をストレートにした過程でちょっと長くなったのかもしれません。
それにしてもちょっと長くなりすぎな気もしますが・・・笑
エクステ(入れ毛)を付けた
今で言うエクステのようなものを付けて長くした可能性はあるでしょうか。
そう考えたとき、そもそもウィッグとかカツラっていつの時代から登場したのだろう?
と疑問になったので調べてみました。
どうやらウィッグの文化が入ってきたのは西洋文化が日本に入り始めた明治からのようですので、風立ちぬの時代には十分存在していると見てよさそうです。
また、結婚式が決まると、黒川夫人がこう言って菜穂子を連れて部屋を出ていきます。
「女には女の支度があります。」(黒川夫人)
出典 風立ちぬ
ここで黒川夫人が化粧や着付けと合わせて髪も長く綺麗に見えるよう整えてくれたのだと思います。
ラストシーンで里見菜穂子が山へ帰る理由
物語のラストで菜穂子は黒川邸の離れを抜け出して、山へ帰っていきます。
この点に関して、なぜ山へ帰るのか疑問を持っている方が少なからずいるようなので考察していってみたいと思います。
二郎に弱っていく姿を見せたくなかったから
物語上では、黒川夫人によって理由が名言されていますね。
「追ってはいけません」(黒川夫人)
「美しいところだけを好きな人に見てもらったのね」(黒川夫人)
菜穂子は結核が治らないことを悟って二郎の元へやってきていますから、確かにこの考え方は筋が通ります。
しかし一方、あそこまで二郎を愛している菜穂子が二郎と共に生きられる時間を捨ててしまう選択をするだろうか?
そういったストーリーにしたかった制作側の何らかの意図があったのではないか?
そう考えました。
演出上その方が映えるから
菜穂子が最後の瞬間まで二郎と共にいることを選んだ場合、菜穂子の最後の瞬間を描かないわけにはいかなくなります。
そうした場合あるあるなのが
「あなた、私幸せだったわ」
「逝かないでくれ、菜穂子!」
のようなテンプレート的な展開。
(まあここまで極端にはならないと思いますが)
宮崎駿監督としては菜穂子の死は間接的に描写することで視聴者に
「もしかして菜穂子死んだの・・・?」
と”想像”させたかった。
そして最後に夢の中で「生きて!」と言う菜穂子を登場させることで、そこで初めて菜穂子が死んだことを確信させたかった。
(だから菜穂子には姿をくらまして欲しかった。)
こういった演出によりラストシーンの感動を高めかったというのが本当の理由だと思います。
宮崎駿監督が菜穂子に感情移入していたから
これは余談なのですが、宮崎駿監督はよく制作を進めるうちにキャラクターに感情移入してしまってキャラクターが死ぬ設定を取りやめにすると言い出すそうです。(もののけ姫のエボシなどがそうだった)
今作も同様で、菜穂子に感情移入してしまって菜穂子を死なせることを嫌がり始めたので鈴木プロデューサーが説得したという逸話があります。
こうした背景からも、宮崎駿監督自身、菜穂子の死を直接描写することに抵抗があったのかもしれません。
里見菜穂子の死因は結核ではなく自殺だと思う3つの理由
菜穂子が出て行った日、飛行機のテスト飛行を見ている二郎が何かを感じて遠くを見つめます。
このシーンによって菜穂子の死は間接的に描写され、直接的に描かれることはありませんでした。
そのためどのようにして亡くなったかは作中では分かりません。
個人的な見解ですが、菜穂子の最終的な死因は結核ではなく自殺だと思っています。
① しっかりとした足取りで歩いている
菜穂子が家から出て行った際、道路を歩いている菜穂子をかよが目撃しますが、しっかりとした足取りで歩いているんですよね。
風立ちぬ 素朴な疑問。菜穂子が病院に、帰るシーン、二郎の妹は駅からバスで来た、二郎も駅にはバスを使っていた。その道を歩いて駅まで行ったの?結核の末期なのに??
— osiokiyo (@osiokiyo_3) 2013年7月21日
冒頭でも述べましたが、菜穂子はこの日の日中に亡くなります。
その日中に結核で亡くなる人がこんなにしっかり歩くだろうか?
(また、宮崎駿監督がそんな点にこだわらずに描くだろうか?)
と思ってしまいます。
② 離れの近くや病院で死を迎えたら二郎には伝わる
サナトリウムへ帰ったのだろうと考えるのが妥当ではありますが、その場合どうあっても夫である二郎へは菜穂子の死が伝わりますよね。
そして菜穂子の亡骸に対面した二郎が悲しむであろうことは想像にたやすいです。
菜穂子は二郎に亡骸が見つからないところを死に場所に選ぶ必要があった。
③ 結核による寿命ギリギリまでは待てなかった
菜穂子は結核による寿命ギリギリまで待つわけには行かなかったのだと思います。
なぜなら、二郎に確実に見つからずに死を迎えるためには、抜け出して道中で力尽きる。なんてことがあってはならないんです。
しかも病院へ行っても二郎には伝わる。
そう考えた時に最も確実な方法が、まだ元気のあるうちにだれにも見つからない場所を探し、自ら命を絶つこと。
このことから、菜穂子の死因は結核ではなく自殺と考えるのが自然だと思いました。
まとめ
今回の考察記事の結論をまとめると
- 結婚式で菜穂子の髪が伸びていたのは黒川夫人が付け毛をしてくれた
- 菜穂子が山へ帰る理由は制作側の演出上の都合もあった
- 菜穂子の死因は結核による寿命ではなく自殺
でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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