『わたしの幸せな結婚』は、顎木あくみにより作品です。
小説版の他に漫画版も出版されており、累計発行部数は700万部を突破しています。
朗読劇や映画化もされており、2023年の7月からテレビアニメ版が放送されました。
作風としては、和風シンデレラといった感じで注目を集めています。
本作は、特殊な「異能」を持つ名家に生まれながらも力を受け継がなかった斎森美世(さいもり みよ)が主人公の物語です。
美世は異能を持たないことで異母妹の香耶から虐げられ、冷たい仕打ちを受けていました。
ですが、あるとき清霞と出会うことで、美世の人生は少しずつ変化し、幸せを獲得していきます。
この記事では、『わたしの幸せの結婚』のあらすじをネタバレありで紹介していきます。
『わたしの幸せな結婚』とは
あらすじを紹介
名家に生まれた主人公の美世は、実母が亡くなってしまった後、異能を持たないがために継母と異母妹にいじめられて育ちました。
あるとき、美世は突然「久堂家」への嫁入りを命じられます。
その相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞。
清霞には、今まで婚約者候補が三日と持たずに逃げ出すほどの悪評がありました。
帰る場所を失った美世は、切り捨てられるのを覚悟しながら久堂家の門を叩きます。
すると、目の前に現れたのは色素の薄い男でした。
その清霞は、婚約者の候補が数多もいるのが納得できるほどの美貌でした。
最初はきつい態度で当たられた美世。
実家にはもう戻れなかったため、毎日食事を作ることになりました。
そして、少しずつ清霞と心を通わせていきます。
『わたしの幸せな結婚』魅力は？
『わたしの幸せの結婚』は、ファンタジーと恋愛が組み合わさった真新しい作品です！
時代背景としては明治から大正時代と、当時のロマンも感じられます。
この作品は和風のシンデレラストーリーと言われるほど、最初から主人公の美世へのいびりが酷いです。
虐げられる美世に対して、思わず応援したくなることでしょう。
恋愛要素がたくさん詰まった作品ですが、それだけではありません。
異能を巡っての事件や陰謀が作中で出てくるため、美世と清霞の関係にドキドキするだけでなく、サスペンス的要素でもドキドキ、ハラハラとさせてくれるところがあります。
2023年7月現在では、漫画版は4巻まで出ており、今後も期待できそうですね！
『わたしの幸せな結婚』一巻ネタバレ
美世の生い立ちと久堂家との縁談
美世の父は異能者としての血を保つため当時の恋人と別れ、同じく異能者の家系である薄刃澄美と政略結婚しました。
しかし、生まれてきた美世に異能の才はなく、母が病気で亡くなってから父は昔の恋人・香乃子と再婚。
香乃子が産んだ香耶は、幼いながらも異能の才を現します。
異能の使えない美世は義母と才色兼備な香耶に蔑まれ、虐げられていました。
あるとき、縁談の話が姉妹のもとへ舞い込みます。
その相手は美世を気に掛けてくれた幼馴染の辰石幸次。
しかし、縁談の話が持ちかけられたのは妹の香耶でした。
心が許せる唯一の相手といえる幸次を奪われ、失意のどん底に落ちていた美世。
そこへ、悪評の多い久堂家との結婚を命じられます。
実家を追い出されて帰れなくなった美世は、その久堂家へと向かうのでした。
美世と清霞の出会い
漫画版の2話からは、久堂家について明らかになります。
久堂家は異能者の家系の中でも名家であり、清霞は軍で少佐を務めるほどのエリートです。
名家である久堂家には今まで何人もの嫁候補が現れましたが、それぞれ思惑を持っており、清霞は相手を警戒するようになったのです。
そんな清霞に朝食を作った美世は、彼に食べさせようとします。
しかし、清霞はその様子を見て食事に毒を混ぜたのではと勘違いし、互いの気持ちはすれ違います。
美世を警戒する清霞。
ここでふと、使用人のように過ごす姿や名家らしからぬ身なりと態度を見て、これまでの嫁たちとは異なる雰囲気を美世から感じ取ります。
翌朝、ふたたび朝食を運ぶ美世。
清霞は味が美味しいと言って褒めると、料理を褒められたのは初めてだとして美世は涙を流しました。
その様子から、今まで名家らしい暮らしをできなかったのだと思い、清霞は彼女の事情を調べることにしました。
デートをする美世と清霞
ある日、美世は清霞に誘われて一緒に町へ出かけることになります。
最初は清霞の職場へ出向き、それからさまざまな店を見て回ります。
美世のはしゃぐ姿を初めて見た清霞は、好きなだけ楽しんでいいと言葉をかけ、着物を買ってあげたいと思うようになりました。
その晩、清霞は美世に櫛を贈ります。
遠慮しがちに受け取った美世の笑顔が愛おしいと思い、清霞は心に芽吹いた美世への特別な感情に気付くのでした。
異能取り巻く怪しい影
美世と清霞の話が中心になっていますが、別の場所では思惑を持った者が動いていました。
美世の実母は人心に干渉する薄刃家の人間です。
辰石家はその血が欲しかったため、久堂家から美世を奪い取ろうと画策していました。
また、清霞の周りには烏型の式が飛ぶようになり、彼を監視していました。
『わたしの幸せな結婚』二巻ネタバレ
美世は香耶・幸次と出会う
櫛のお礼として髪紐を編もうとした美世は、久堂家の使用人・ゆり江と材料の買い出しに出かけました。
そのとき、香耶と幸次に出会います。
美世の身なりを見た香耶は、久堂家に捨てられたと思って彼女を罵倒します。
ゆり江は、美世こそが清霞の妻になる女性だと香耶に伝えましたが、美世の心はかつての陰鬱としたものになり、婚約者に相応しくないのではと思い込むようになります。
清霞は美世に特別な感情を抱く
美世が出かけている間、清霞は斎森家にいました。
美世との婚約を申し出ることを伝え、さらには美世にしてきた仕打ちの謝罪を要求したのです。
謝罪がないのであれば婚約は無かったことになり、斎森家は慌てます。
異能の家系として久堂家よりも格の低い斎森家は、時間が欲しいと返事をしました。
香耶との一件で塞ぎ込んだ美世。
清霞はどうすれば良いかわからず、けれども彼女を大切にしたいという気持ちを抱くようになりました。
美世は見違えるほど美しくなる
髪紐の礼に美世へ着物を渡した清霞。
実は、その着物はデートのときに美世のためにと作っていたものでした。
美世は久堂家に来てからよく笑うようになり、健康状態も良くなって美しくなっていきました。
このとき、香耶は辰石家に言われて久堂家に式を飛ばします。
すると、式を通じて見えてきたのは、仲睦まじそうにしている美世と清霞の姿でした。
美世よりも上でいたい香耶は、美世と自分の立場を入れ替えたいと主張。
美世が誘拐されてしまう
屯所への差し入れをしていた美世はその帰り道、何者かにさらわれてしまいます。
ゆり江からそのことを知った清霞のもとへ、辰石家の幸次が美世を助けて欲しいと現れます。
幸次は父から香耶との計画を聞き、父の本音を知りました。
父が美世のことを見て見ぬふりしていたのは、薄刃の血を獲得するためでした。
幸次は父たちを止められないと語り、清霞のもとに来て助けを求めたのです。
清霞は静かに怒り、辰石家の門を焼き払って中へ入ります。
そして、美世の救出劇が始まります。
『わたしの幸せな結婚』三巻ネタバレ
美世の前に継母と香耶が現れる
連れ去られた美世が目を覚ますと、蔵の中に閉じ込められていました。
そこへ継母と香耶が現れると、継母は美世を蹴り、香耶は清霞との婚約を破棄するよう迫ります。
清霞のことを諦めれば楽になる。
美世はそう考えますが、彼女の頭には楽しかった久堂家での記憶が浮かんできます。
諦められなかった美世は、自分こそが清霞の婚約者だと宣言しました。
その言葉に激怒した継母が美世の首を絞め、美世は意識が薄れていきます。
気絶する寸前に見たのは、清霞が助けに来た光景でした。
美世と清霞は正式に婚約を交わす
目を覚ました美世は、気絶した後に斎森家が全焼したことを聞かされます。
その跡地へ赴き、思い出の詰まった家に別れを告げて過去の出来事と決別した美世。
ついに清霞と婚約を交わします。
二か月後にパーティーをすることになった美世は、清霞の姉・久堂葉月から立派な淑女になるためのレッスンを受けます。
やる気満々の美世でしたが、その顔色は日に日に悪くなっていくのでした。
裏で「オクツキの霊」を使った作戦が進む
ある屋敷でのことです。
美しい青年は陛下と呼ばれている老人になにやら許可を貰いに行きます。
許可が下りると、部下を呼びつけてオクツキの霊を使役した作戦を決行し、「あの異能は潰すのだ」と言い放ちました。
清霞は三巻の終盤、上司の大海渡征に呼ばれて「オクツキ」と呼ばれる異能者の墓が荒らされる事件の報告を受けます。
異能者は死後に成仏できず暴走してしまうことがあります。
その暴走をオクツキという禁域で封じていました。
清霞と大海渡、辰石家の新当主・一志の三人は帝の子・尭人に会い、オクツキの話題になります。
そこで封が破られた旨の話を聞き、不穏な事件が起こることを予期しました。
『わたしの幸せな結婚』四巻ネタバレ
謎の青年が現れる
日を追うごとに顔色が悪くなる美世ですが、本人の性格もあり周囲には相談していませんでした。
それでも悪夢を見続け、さらには幻覚も見るようになりました。
町で葉月のレッスンを実践しようと歩き回っていたところ、寝不足がたたって倒れかけてしまいます。
このとき、倒れそうだった美世を支えたのは青年でした。
その青年は、お礼を言って去っていく美世に意味深な視線を送るのでした。
清霞のもとに鶴木新が派遣される
あるとき、宮内省から鶴木新という町で美世を助けた青年が派遣されます。
彼は貿易会社を営む一族の御曹司で、オクツキ事件の霊を回収したいため協力してほしいという指令を持ってきました。
その笑顔はうさんくささがあり、清霞は不信感を抱きます。
清霞が美世の悪夢を何とかするため、まずは薄刃家についての調査を始めました。
薄刃家は未だ謎が多く、保有する異能などは不明でした。
調査を進めると、鶴木澄美という名前が報告書に載っているのを見つけます。
これは美世の母・薄刃澄美と同じ名前でした。
疑惑が沸き上がり、鶴木家についてさらに調査を開始しました。
鶴木は美世と久堂家の関係を乱す言動をする
鶴木が久堂家にやって来ると、顔色の悪い美世を心配します。
それと同時に、そんなになるまで放置した久堂家の者たちを強く批判。
美世は反論するものの、鶴木の「婚約者をあのようにはしない」という発言に清霞は痛いところを突かれたと思うのでした。
オクツキの調査など多忙だった清霞が久しぶりに帰ってくると、美世は最初この家に来たときのようにやつれていました。
このとき、清霞は婚約者なのに美世から頼ってもらえない自分に腹を立てていました。
二人は互いを思いやろうとすることですれ違い、振出しに戻ってしまったかのような感覚を覚えます。
一方、清霞は美世の母と鶴木家の間に何らかの関係があることを掴みました。
どういう目的で美世を狙っているのかについては現時点で不明ですが、清霞は鶴木家に対して警戒を強めました。
まとめ
この記事では、『わたしの幸せの結婚』のあらすじについて紹介してきました。
美世は名家に生まれて特別な異能を期待されていました。
しかし、実際には何の異能も持ち合わせておらず、母の死をきっかけに父は再婚。
継母と香耶に虐げられてきました。
そこへ美世に久堂家との縁談が持ち上がります。
当初は悪評ばかりで、相手の清霞に切り捨てられることを覚悟していた美世。
ですが、清霞といるうちに二人の関係は親しいものとなり、香耶たちとの騒動を通じて正式に婚約することになります。
しだいに関係が縮まる描写が素晴らしい本作。
異能という他の恋愛系漫画にない要素が、ストーリーと密接に絡み合っています。
四巻の時点では、鶴木という青年が現れ、さらなる波乱があると予想されます。
タイトル的にはハッピーエンドを迎えるのではないかと考えられますが、二人の関係以外にもハラハラとする展開が続くでしょう。
和風のシンデレラストーリーというだけあり、今後も期待できそうです。
この記事では書ききれない魅力がまだ詰まっているため、ぜひ漫画版・小説版の方も読んでみてください。
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