『さよなら私のクラマー』の主人公たちが通う蕨南青高校は架空の高校ですが、実は舞台となった地域があるのはご存じですか。
そして舞台となった地域が『さよなら私のクラマー』を応援するため、有志で「蕨さよクラ応援団」が結成され、市全体で盛り上げようという雰囲気になっています。
今回は、舞台になった地域についてと『さよなら私のクラマー』に描かれている「ひとりぼっち」の存在について、解説していこうと思います。
目次
さよなら私のクラマーの舞台は埼玉県蕨市
『さよなら私のクラマー』に登場する高校は、以下が挙げられます。
- 蕨青南高校
- 久乃木学園高校
- 浦和邦成高校
- 栄泉船橋高校
- 興蓮館高校
どの高校も架空の高校ですが、蕨駅が描かれていたり浦和邦成高校など聞きなれた地名があり、舞台が埼玉県であることがわかります。
蕨市は、埼玉県にある小さな市で注目されることはほとんどありませんでした。
そのため、『さよなら私のクラマー』をきっかけに、蕨市も女子サッカー界も盛り上げていこうとなった姿勢があります。
主人公・恩田希の声を担当される島袋美由利さんが市役所に表敬訪問した内容も大々的に記事があげられており、市も積極的に協力していくことがわかります。
聖地化していきたいと頼高英雄市長も『さよなら私のクラマー』に期待しており、女子サッカーももっと注目されるものにしたいという想いがあるようです。
蕨青南高校のモチーフは埼玉県立蕨高等学校の可能性が高い
蕨青南高校自体は架空の高校ですが、以下3点から蕨高等学校をモチーフにされているのではないかと考えられます。
- 背景に蕨市の描写がある
- サッカー部があり女子が入部している
- 蕨高等学校の目指す学校像がキャラクターを表している
順を追って考察していきます。
背景に蕨市の描写がある
まず劇中で最寄り駅として蕨駅が描かれており、実際のアクセスでも一番近い蕨高等学校ではないかと考えられます。
サッカー部があり女子が入部している
蕨高等学校の公式サイトのサッカー部員数を見てみると、1名ですが女子選手がいます。
男子サッカー部ではなくサッカー部と記載されているところから男女兼用のサッカー部にはなりますが、女子もサッカー部に入部できるということがわかります。
女子も入部できるという点からも、モチーフにされているのではないかと推察できるでしょう。
蕨高等学校の目指す学校像がキャラクターを表している
蕨高等学校の目指す学校像として以下が挙げられています。
『生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校』
―グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる―
アニメの蕨青南高校には、個性的な選手が多く視点も広くリーダーにふさわしい選手が何人もいます。
キャプテンは田勢ですが「ワラビーズ」のチーム全体が主人公といえるほど、選手全員が成長し主体的になっていく姿はまさにリーダーの素質があるのではないかと感じます。
アニメと共通する点
作中の蕨青南高校は「ワラビーズ」という女子サッカーチームがあり、弱小高校だと描かれています。
3年生もやめてしまって人数も少なく、指導する監督もやる気がないというお遊び程度の部活のようなイメージがついています。
サッカーとしてのスキルアップや上を目指したいと考えていた場合、おそらく選択肢からは除外されるであろう1回戦負けのチームです。
そんな中に全国3位を獲った曽志崎や、その彼女が認めている才能を持った周防、そして男子のサッカーに混ざって練習を続けていた恩田たちが入部したことにより「ワラビーズ」の士気やスキルレベルは一気に上がります。
また元日本代表の能見選手がコーチとして赴任されることで、さらに弱小高校「ワラビーズ」は成長していくことになります。
選手が抱える過去が起因となった「ひとりぼっち」とは
『さよなら私のクラマー』では、ひとりぼっちになったという描写が数多くあります。
ひとりぼっちとは一体どういう状態かというと、以下2点が原因で孤立してしまったのではないかと考察しています。
- 1つの問題によって試合に出られないという環境面
- 周りに同じ熱意をもった仲間がいない人間関係の面
サッカーを仲間とやる場所がない状態になっていることは変わらず、悔しいけれども1人ではどうにもできないという状況でした。
ひとりぼっちだった選手たちが高校にあがってどのように変わったか
今回は過去ひとりぼっちになってしまった原因と問題について解説し、そしてひとりぼっちだった選手たちが高校にあがってどのように変わったのかについて考察していこうと思います。
説明する選手は以下の4名です。
- 恩田希
- 周防すみれ
- 井藤春名
- 田勢恵梨子
これから1人ずつ説明していきます。
恩田 希
恩田の中学校には女子サッカー部がなく男子サッカー部しかありませんでした。
そのため男子サッカー部に所属し練習はしていましたが、試合に参加することはできません。
チームメイトとも仲が良かったのですが女子部員は恩田1人だったため、まわりの男子の体格がよくなり、どんどん自分が置いていかれるような焦燥感に襲われます。
いっしょにプレーしてくれる女子がおらず、試合にも出ることができなかった恩田は中学時代はひとりぼっちのまま終わってしまいました。
女子サッカー部を作ろうとしていましたが人が集まらないまま終わってしまったため、環境面でひとりぼっちになっていたといえるでしょう。
そんな恩田が蕨南青高校に入部するきっかけになったのは中学時代の監督の存在です。
彼女自身は女子サッカー部に入るつもりはなかったですが、監督の「お前が女子サッカー界を変えろ」という後押しにより恩田は女子サッカー部のある高校に入学しました。
監督が才能を見抜き後押ししたことがきっかけで、彼女は仲間たちと出会いようやく念願の試合にも出場することができます。
周防 すみれ
周防は中学時代、恩田とは違い女子サッカー部に所属していました。
チームメイトとの意識の違いによって意思疎通ができておらずチーム内で孤立し、フォローしてもらえないという歪みが発生。
そんなひとりぼっちの状態のまま、中学時代を終えました。
周防の場合は恩田とは違い試合をする環境はありましたが、仲間との関係言わば人間関係の面でひとりぼっちになっていたといえます。
仲間とはうまく連携ができていなかった周防ですが、ライバルである曽志崎には才能を見抜かれており、同じチームでプレーしようと声をかけられます。
曽志崎からの誘いのおかげで周防は高校でも女子サッカー部のある高校に入り、同じ志を持った仲間たちと出会うことになったとか。
ひとりぼっちだった彼女はおそらく初めて同じ熱意を持った仲間たちとサッカーをプレーすることができます。
井藤 春名
井藤は中学時代、佃と久谷と同じクラブに所属していました。
サッカーセンスやスキルが高かった井藤ですが、フィジカルが弱いという部分が目立ちます。
クラブの監督がフィジカルを優先する人で、井藤のような”詩人”というポジションは存在しないとほとんど起用されることはありませんでした。
使ってもらえる機会がなかった井藤はチームの中でも浮いた存在になってしまい、大した活躍もできないまま中学時代を終えることになりました。
井藤は恩田と似ており、サッカーのセンスがあったにも関わらず試合に出ることもできないという環境面でひとりぼっちになっていたといえます。
そんな井藤を見かねた佃がクラブを一緒に抜け、久乃木学園に入学することをすすめます。
これがきっかけで無名だった井藤は、久乃木学園では天才だと評価され試合でもどんどん投入されることに。
試合にも出ることができず代表メンバーに選ばれることもなかった井藤ですが、佃と監督によってようやく自分の居場所を見つけられたのだと思います。
田勢 恵梨子
田勢は他3名より1つ年上ですが、1年のころ浦和邦成高校と試合をしました。
やる気のない監督のせいか大敗してしまい、それをきっかけに3年生の選手は引退を待たずして退部してしまいます。
なにも指示をしてくれない監督で3年生もやめてしまったことから、チーム全体の熱意もなくなってしまい、田勢ひとりだけが試合に本気で挑んでいたとう事態に。
ワラビーズでひとり熱意を持っていたため、周りとの熱意が合わず悔し涙を流しながら1人ゴールにボールを蹴りつけます。
また1年生が入ってきたことでギリギリ試合ができる人数になったと田勢がいったところをみるとまだまだ諦めたくない様子。
おそらく3年生がやめてしまって以降は選手の人数が足りなくなり、試合すらできなくなったと考えられます。
田勢は監督含む人間関係の面でまずひとりぼっちとなり、その後試合に出ることもできない状態になったため環境面でもひとりぼっちになってしまったといえるでしょう。
2年でキャプテンとなった田勢ですが、恩田らが入部したことや元日本代表の能見コーチが赴任してきたことがきっかけで大きく変化します。
自分以上に熱意を持った後輩や真剣に指導してくれるコーチが現れ、ひとり真剣に試合に挑んでいた田勢がようやく熱意の溢れた仲間といっしょにプレーできるようになったと感じます。
まとめ
高校に入学し女子サッカー部に入部したことにより、簡単にまとめると以下2点の変化がありました。
- 自分の能力を評価してくれる場所がある
- 同じ熱意を持った仲間と出会え、本気でプレーすることができる
彼女たちは才能があったにも関わらず、ひとりの力ではどうすることもできないもどかしい状況でした。
しかし、熱意や才能を持った選手が集まったことにより女子サッカー全体を変えるような波を起こしているように感じます。
筆者の母校でも女子サッカー部はなく、いまだに全体の数は少ないため女子がサッカー選手を目指せる環境は少ないと感じます。
また体格が小さい等のフィジカルの面で活躍の機会も与えられず、泣く泣く夢を諦めてしまった人もいるかもしれません。
『さよなら私のクラマー』をきっかけに学生や学校などで女子サッカーに目指す人や興味を持つ人が増え、女子サッカー界が注目されて盛り上がればと思います。
もし、こんなことも共通しているよという部分がありましたらコメント頂けますと幸いです。
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