『エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジの父親として登場した碇ゲンドウ。
本記事では碇ゲンドウにおけるTVや旧劇場版、そして新劇場版での違いを始め、真の目的やその果てに迎えた結末について解説。
また、多くのファンたちから考察されている「渚カヲルがゲンドウのクローン」とされている理由についても迫ります。
本作品の人物相関図は「シン・エヴァンゲリオン劇場版の人物相関図!登場人物・キャラクターの一覧を解説」の記事をご覧ください。
目次
碇ゲンドウ(いかり げんどう)とは
碇ゲンドウはシンジの父親であると同時に、エヴァシリーズを所有する特務機関ネルフの総司令でもあります。
碇ゲンドウのプロフィール | ネルフ総司令と人類補完委員会を兼ねる
年齢 | 48歳 |
誕生日 | 4月29日 |
旧姓 | 六分儀(旧作のみ) |
所属と地位 | 特務機関ネルフの最高司令官 人類補完委員会のメンバー E計画の発案者 |
ゲンドウはネルフの最高司令官としてエヴァを使って使徒を殲滅し続ける一方で、キール議長率いる“人類補完委員会”のメンバーとして「人類補完計画」を極秘裏に進めてきました。
さらに本編よりも15年前(西暦2000年)のセカンドインパクトもゲンドウとゼーレの計画により起こされたものです。
その辺は新劇場版でも『エヴァ破』までは共通していましたが、完全に新たな物語が展開される『エヴァQ』からは自分の部下たち(ミサトやリツコ)と敵対関係になるなど、大きな変化も見せ始めました。
(旧作と新劇場版での違いについては、後の項目で説明します)
葛城ミサトの詳細に関しては「葛城ミサトは最後に死亡する?加持との関係 | 子供時代やTV・旧劇と新劇の違い」の記事を参照ください。
碇ゲンドウの声は声優「立木文彦さん」が担当
碇ゲンドウの声を担当している声優さんは「大沢事務所」に所属する立木文彦さんです。
立木さんは東京映像芸術学院で多数の舞台出演を経験後、親友と共に始めたデュオグループが声優音楽事務所の目に止まったことがキッカケでライブステージに立つと同時に、声優としての活動も始めています。
声優としては1982年に放送された『戦闘メカ ザブングル』のゴッチ役でデビューを果たされました。
立木さんの代表作(キャラクター)は、以下のとおりです。
- 『ルパン三世-ヘミングウェイ・ペーパーの謎-』マッシュ役
- 『GUNGRAVE(ガングレイヴ)』九頭文治役
- 『銀魂』長谷川泰三役・ナレーション
- 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』高坂大介役
碇ゲンドウのTV・旧劇と新劇場版の違い
ゲンドウも旧作(TVや旧劇)から新劇場版にかけて大きな変化を見せました。
ここでは、その辺の違いについて解説していきます。
新劇場版ではTVよりも”父親らしさ”を見せた
旧作の時も少ないながらも息子(シンジ)に対して父親らしさを見せてきたゲンドウでしたが…
新劇場版では、その“父親らしさ”を更に見せるようになっていました。
TV版と新劇場版で共通して描かれた”碇ユイのお墓参り参り”やサハクィエル(新劇場版では”第8の使徒”)からの落下攻撃を食い止めた後にシンジを褒めた場面は元より、新劇場版では新たな場面や追加要素もありました。
特に『エヴァ破』で一時的にエヴァ搭乗を辞めたシンジに対して「願望」について教える場面に加えて『シンエヴァ』の終盤では初めて「自分の息子(シンジ)と向き合った上で話し合うこと」も実行しました。
また、綾波レイが企画した食事会の誘いを始めは断りながらも、レイから妻(ユイ)の姿を見たことで応じた上に途中までは会場(レイの部屋)まで向かっていたのです。
ただ、レイが設定した日や時期があまりにも悪く、もしもアスカ搭乗によるエヴァ3号機起動実験よりも数日早く実行できていたなら…
『シンエヴァ』よりも早い時期にシンジと和解できたかもしれませんね。
綾波レイの詳細に関しては「綾波レイの正体は使徒?シンジやゲンドウとの関係」の記事を参照ください。
新劇場版では人間から”神に等しい存在”へ進化した
ゲンドウにおける最も大きな変化とは、やはり“神に等しい存在”へ進化した点でしょう。
この進化は『エヴァ破』で加持リョウジから届けられた”ネブカドネザルの鍵”の力を使ったことで実現しました。
シンジが起こしたニアサードから14年後の世界を描いた『エヴァQ』からは、これまでの眼鏡からゴーグルに変わり「リリンの王」とまで呼ばれるようになりました。
そして『シンエヴァ』後半で赤木リツコの狙撃で頭部を撃たれて破損しても死なないどころか、内部からこぼれ落ちた脳を自分で拾い集めていたのです。
この時点でゲンドウもまた、これまでのエヴァ搭乗者たちとはまた違う形で既に「人間を捨てた力」を獲得していたわけです。
加持リョウジの詳細に関しては「加持リョウジは誰に殺された?TV・旧劇と新劇の違いやミサトとの関係・息子について」の記事を参照ください。
漫画版やTV・旧劇場版でのゲンドウの進化とは
旧作でも、ゲンドウは第1使徒アダムを自身の体内に取り入れたことで「人間を捨てた存在」となりました。
アニメの方では24話(ビデオ版の方)で、加持リョウジから回収した第1使徒アダムを既に吸収しており、右手の平には目玉が浮き出していました。
そして旧劇場版でゼーレが差し向けた戦自たちの襲撃でネルフ職員たちが次々と殺される中で辿り着いたターミナルドグマにて“レイやリリスとの融合”を果たそうとしたのです。
また、漫画版の方ではゲンドウの進化が更に詳しく、そして分かりやすく描かれました。
これらの要素はアニメ版では描かれなかった場面を追加して描かれており「ゲンドウ自らがアダムを自分の口に入れた場面」や「使徒と同じATフィールドを展開して戦自たちからの銃弾を防ぐ場面」があたります。
碇ゲンドウの正体 | 渚カヲルを自分のクローンにした理由
渚カヲルの正体が「碇ゲンドウのクローン説」であることを多くのファンから語られていますが、その説が最も有力である理由について迫ります。
カヲルを使って”父親の愛”を補完していた
『エヴァQ』でゲンドウはシンジに対して「カヲルと共にエヴァ第13号機に乗ること」を命じ、それまでもシンジをカヲルと一緒に過ごさせていました。
また、シンジに本当に欠けていたのは「父親(ゲンドウ)からの愛」であり、カヲルはゲンドウが与えられなかった愛を補う形でシンジに対して優しく接してくれていたのです。
劇中で見られたカヲルの優しさは彼自身のもつ性格であると同時に遺伝子を提供したゲンドウの思惑通りでもあり、ゲンドウにとってはカヲルもまたシンジと同じく「都合のいい奴」だったのでしょう。
渚カヲルの詳細に関しては「渚カヲルの正体は使徒?ゲンドウ?目的やTV・旧劇と新劇の違いも解説」の記事を参照ください。
ゲンドウとカヲルの共通点はピアノ
カヲルがゲンドウのクローン体である考察に対して「ピアノ」という共通点も挙げられます。
ゲンドウは『シンエヴァ』の中で、シンジに対して自分の好きなものとして「本(知識)」と「ピアノ」と言っていました。
『エヴァQ』でのカヲルもシンジとピアノの連動も行う中でお互いに打ち解けていましたが…
本心ではゲンドウ自身がシンジと一緒にピアノを弾きたい願望も抱いていたかもしれませんね。
最終的にはゲンドウもカヲルもお役御免となった
ゲンドウとカヲルの共通点として「司令」もありましたが『シンエヴァ』終盤で、シンジがゲンドウやカヲルの力も借りずに自立したため、2人ともお役御免のような立ち位置とされました。
そのため渚司令も「少し寂しいけど、それもいいね」と言いながら納得した上でシンジの前から去って行ったのです。
ゲンドウの真の目的 | 人類補完計画と妻(碇ユイ)との再会
ゲンドウの真の目的は「自分の妻(碇ユイ)との再会」であること、そして目的の達成には「人類の補完が必要」である点も旧作と新劇場版で共通しています。
ゲンドウのゼーレとは違う人類補完計画とは
ゲンドウは秘密結社ゼーレと共に人類補完計画を進めてきましたが、彼らの間で「目指すべき結果」において“大きな食い違い”が生じていました。
ゼーレにとっての補完とは「地球の完全なる浄化」であり、人間も含めた全ての生物を滅亡させた上で「新たな生命体を宿すこと」にありました。
旧劇場版で実行されたのはゼーレが目指していた補完の方であり、冬月や伊吹マヤを始めとした、サードインパクトが起きた時点で生き残っていた者たちがLCLに変えるで補完されたわけです。
これらを経て、人類を「1つの統合体に変えること」を達成させました。
しかし碇ゲンドウの目指していた補完とはゼーレとは大きく違っており「ゲンドウ自身が神になること」であり、それを成した上で「死別した妻(碇ユイ)との再会」を果たそうとしていました。
新劇場版の方ではゲンドウによる補完が実行されており、その結果、ゲンドウはユイとの再会を果たしました。
シンジ達の犠牲も全ては目的を果たすために必要だった
碇ユイとの再会という目的はゲンドウにとっての“願望”でもあり、その目的や願望を果たすためには本編で見られてきた“多くの犠牲”もまた必要なことだったのです。
第9の使徒に侵食されたエヴァ3号機にアスカが搭乗していることを知りながら、初号機に搭載されたダミープラグを使ってまで殲滅させてしまい、そのことでシンジを激昂させますが、この時にゲンドウは願望について教えていましたが“冷酷な判断”や”残酷な犠牲”もまた、目的や願望を果たすために必要不可欠なことだったのです。
碇ゲンドウが息子(シンジ)に冷たかった理由
劇中では息子のシンジに対して冷たい対応の方を多く見せてきたゲンドウでしたが…
それは決してシンジのことを心から憎んでいたわけではありません。
ゲンドウの中にも「シンジに対して敢えて冷たく接してきた理由」があったのです。
ゲンドウ自身がシンジを傷つけないため距離を置いてきた
ゲンドウの方からシンジと距離を置いてきたことにも重要な理由があり、それは「自分は息子(シンジ)を傷つけることしかできない」と自覚していたためです。
旧劇場版では、そのことも口に出しては本人のいない中でも「シンジへの謝罪」までしていました。
確かにゲンドウは自分の目的や願望ばかり優先するあまり、まだ幼いシンジの身柄を先生(アニメ版)や親戚の家(漫画版)に預けたきり、自分から会いに行くこともありませんでした。
しかし、シンジの方からは本心では“父親(ゲンドウ)の愛情”を求められていたのです。
シンジに対する嫉妬心も少しは抱いていた?
貞本版(漫画版)ではネルフ本部が戦自からの侵入や無差別攻撃によって多くの職員たちが殺される中、シンジも殺されそうになるところでゲンドウが助けました。
この時、本人に対して誰よりも愛する妻(ユイ)からの愛情を一心に受けてきた「シンジが憎い」とまで告げてしまうのです。
この台詞はもちろん完全に本心だったわけでなく、シンジを早く初号機の元へ行かせるための策略だったものの…
それでもゲンドウの心の中には少しは「シンジに対する嫉妬心」もあったはずです。
この辺は現実世界の夫婦とも共通しており、どんなに愛し合いながら結婚した男女でも子供が生まれてからは、どうしても「子供が最優先の生活」に変わらざるを得なくなります。
ユイの場合もシンジが生まれてからは夫(ゲンドウ)よりも子供(シンジ)の方を優先的に気にかけており、ゲンドウも頭では理解していながらも心の何処かで生じた“寂しさ”から”嫉妬心”へ変わっても不思議ではありません。
最終的には似た者同士で和解した
外見や性格が全く違うように見えがちな父親(ゲンドウ)と息子(シンジ)ですが…
ストーリーの進行に合わせて、実は「似た者同士」であることも判明しました。
ゲンドウとシンジにおける共通点として挙げられるのが「極めて内向的な性格」であることと「対人関係が大の苦手」である点です。
さらに、この親子が似た者同士であることをいち早く見抜いたのが葛城ミサトでした。
TV1話で自分がネルフ本部に連れてきたシンジのことを、リツコとの会話の中で「お父さん(ゲンドウ)にそっくり」と言っていたのです。
そして漫画版と『シンエヴァ』のラストで、似た者同士であるゲンドウとシンジは最終的に和解した末に別れています。
碇シンジの詳細に関しては「【エヴァ】碇シンジのTV・旧劇と新劇場版の違い | レイやカヲルとの関係」の記事を参照ください。
碇ゲンドウの最後と結末 | 旧作と新劇場版、漫画版との違い
最後は碇ゲンドウが迎えた最後や結末について、旧作と新劇場版を比較しながら紹介します。
旧劇場版では破滅的な最期を迎えた
綾波レイに見限られた末、ゼーレの目指すサードインパクトが勃発した中、倒れた自分の前に現れたユイの前でゲンドウはシンジへの本心を話しますが、それは一方的な思い込みでしかないことをユイから指摘されました。
しかし、そのことに気づいた時にはもう遅く…
シンジへの謝罪を済ませた後、エヴァ初号機に食いちぎられて死亡するという破滅的な最期を迎えてしまいました。
97年に旧劇場版が初上映された当時、ミサトやリツコの死亡に対しては「可哀想」と思うファンが多かった一方、ゲンドウの死に対しては「当然の報い」と解釈した人の方が多かったようです。
確かに自分の目的や願望を果たすため必死に動いてきたとはいえ…
そのために他人の命や人生まで奪う権利など誰にもありませんからね。
新劇場版では妻(ユイ)との再会を果たした
新劇場版ではサード以降もフォースやアディショナルインパクトまで起こしたゲンドウですが…
最後のアディショナルインパクトもシンジの初号機がエヴァ第13号機と組み合った状態で起きたため、シンジの意思も反映される形で発動しまったのです。
それでもマイナス宇宙で碇ユイとの再会を果たすという、ゲンドウ自身の目的が果たされた点が旧劇場版との大きな違いです。
漫画版ではシンジに”今後の生き方”を示した
漫画版のクライマックスは旧劇場版のストーリーに沿って展開されましたが、アニメとの大きな違いとして「シンジに対して”今後の生き方”を示した上で別れた」という劇的な結末を迎えました。
1つは「生きること」そして、もう1つは「自分の足で地に立って歩くこと」を教えた後、ユイと共にシンジと別れたのです。
地に立って歩くことはTV版の26話(最終話)でも取り上げられてましたが、漫画版では『シンエヴァ』とは違う形でユイと再会できたこと、そして最後の場面でシンジに生き方を教えた上で別れられた点が大きな救いでしたね。
まとめ
今回は碇ゲンドウにおけるTVや旧劇場版、そして新劇場版での違いを始め、真の目的やその果てに迎えた結末について解説しました。
また、多くのファンたちから考察されている「渚カヲルがゲンドウのクローン」とされている理由についても迫りましたが、あくまでも1つの可能性と捉えていただけると幸いです。
本編でゲンドウが目的のために出してきた多大な犠牲や被害は決して許されるものではありませんが…
ゲンドウにも“孤独”という過去や生い立ちが重くのしかかっており、そのよいな辛さや悲しさもまた、彼を人類補完計画やアデショナルインパクトまで起こさせる原因にもなっていたはずです。
怖くて気難しそうな容姿とは裏腹に、その本心は寂しがり屋であり、自分に光や希望を与えてくれた妻(碇ユイ)にも先立たれては、リツコとの愛人関係を築いてしまう行動にも少なからず納得してしまいますよね。
赤木リツコの詳細に関しては「赤木リツコの最後と太鼓シーン・綾波レイや碇ゲンドウとの関係 | 旧作(TV)と新劇の違い」の記事を参照ください。
コメント