エヴァシリーズで葛城ミサトの元・恋人として登場した「加持リョウジ」。
加持もまたTV版・旧劇・新劇場版、それぞれでキャラクター性や立ち位置が微妙に変わっていましたが、その辺りも把握しておくと更に面白くなります。
本記事では、加持リョウジについて紹介。
さらに「旧作では誰に殺されたのか?」や新劇場版でのミサトや息子(加持少年)との関係性についても迫ります。
本作品の人物相関図は「シン・エヴァンゲリオン劇場版の人物相関図!登場人物・キャラクターの一覧を解説」の記事をご覧ください。
目次
加持リョウジ(かじ りょうじ)とは
加持リョウジは特務機関ネルフ特殊監査部所属の諜報員で、元々はドイツ支部の所属でした。
しかし、エヴァ弐号機の搭乗者アスカの随伴者として一緒に来日してからは“アスカの保護観察役”として、そのまま日本支部に配属されます。
加持リョウジのプロフィール
生年月日 | 1985年6月17日 |
年齢 | 30歳 |
血液型 | A型 |
身長 | 180cm |
階級 | 一尉 |
所属 | 特務機関ネルフ特殊監査部、 日本国政府内務省調査部、ゼーレ |
加持はミサトやリツコと同年代であり、彼女たちとは大学時代からの付き合いでした。
加持リョウジの声は声優「山寺宏一さん」が担当
加持リョウジの声を担当している声優さんは「アクロスエンタテイメント」に所属している山寺宏一さんです。
山寺さんは声優養成所を卒業後に、同じ養成所の先輩が旗揚げした舞台と並行する形で活動を始め、1985年に発売されたOVA作品『メガゾーン23』の中川真二役で声優デビューを果たしました。
山寺宏一さんの代表作(キャラクター)は、以下のとおりです。
- 『カウボーイビバップ』スパイク役
- 『蒼天の拳』霞拳志郎役
- 『ソードアート・オンライン』茅場昌彦役
- 『ソードアート・オンライン』茅場昌彦役
加持リョウジのTV・旧劇と新劇の違い
シンジやアスカとは少し違う形で、加持もまたTVと旧劇、さらに新劇場版でキャラクター性や立ち位置、彼自身が迎えた展開や結末も微妙に変わっていました。ここでは、それぞれの違いを紹介していきます。
テレビ版で三重スパイと軽い男の二面性を強く出していた理由
アスカを連れて日本支部に配属されてからはリツコやマヤ、さらにシンジまでナンパするなど、日常パートでは“軽い男”を演じてきた加持ですが、これはあくまでも「自分が三重スパイであることを隠すための仮面」でしかありません。
さらに、このようにネルフ側の人間たちを欺くことで自分のスパイ活動をやりやすくするように仕組んでいたのでしょう。
コミック版ではシンジに対して亡き弟を見ていた可能性も高い
結局は三重スパイである事実が発覚した加持ですが、それでもエヴァ搭乗において苦悩するシンジを立ち上がらせる役割も果たしてくれました。
さらにコミック版では自分の父親(碇ゲンドウ)に殴りかかろうとシンジを必死に止めてくれた場面も追加されたことで、シンジや同世代のファン達からも“頼れる兄貴”と見られるような立ち位置にもなりました。
これらの行動において、おそらく加持はシンジの姿に「亡き弟の姿を見ていた可能性」も高かったと思います。
碇シンジの詳細に関しては「【エヴァ】碇シンジのTV・旧劇と新劇場版の違い | レイやカヲルとの関係」の記事を参照ください。
旧劇場版ではアスカやミサトとの過去シーンのみ登場した
旧作ではテレビ版の時点で“死亡”という形で退場してしまったため、旧劇場版ではアスカやミサトとの過去シーンのみの登場となりました。
それでも『シト新生』で新たに描かれたアスカと一緒に日本へ向かう場面では「アスカの抱える苦悩」を、『まごころを、君に』でのミサトとの性行為の場面では「ミサトの抱えていた寂しさ」を分かり易く表現するために欠かせないシーンだったはずです。
アスカの詳細に関しては「アスカのTV・旧劇と新劇場版の違い | シンジやマリとの関係」の記事を参照ください。
新劇場版では謎を抱えた雰囲気が和らいでいた
新劇場版ではアスカでなく、マリの保護観察役として登場した加持ですが「謎を抱えた雰囲気」がテレビ版の頃よりも和らいだ印象でした。
特に『エヴァ破』でミサトに対して長所と弱点をストレートにつく台詞や、スイカ畑でシンジに対して「葛城を守ってくれ」と真顔でお願いしてきた場面においては、裏表のない大人の男性という印象も抱かせてくれました。
もちろん謎や事情を全く抱えていないわけではありません。
水族館でシンジに対して”ミサトの過去”やセカンドインパクトについて話しながら「生き残った者の義務」について諭していましたが『シンエヴァ』まで公開した今になって考えて直してみると、これにはその後に起こるニアサードやシンジに降りかかる悲劇、さらには自分の死期まで悟っていたようにも思えます。
さらに始めから自分がサードインパクトの犠牲となることを想定していた上でミサトや高尾、そしてシンジを生き残らせて後を託すつもりで行動してきたようにすら見えましたね。
新劇場版ではミサトとの間に息子(加持少年)を授かった
旧作との違いで最も大きかったのが、新劇場版ではミサトとの間に一人息子(加持少年)を授かったことでしょう。
しかし正式に結婚や入籍をしたわけでなかった上、ミサトが妊娠した時にはシンジによってニアサードを起こされた状況でした。
加持がサードインパクトを止めるために動く時、ミサトの同行を認めなかったのも彼女だけでなく身籠っている子供を犠牲にできなかったためであることは明白です。
そのため、加持少年は父親の顔を全く見ないまま育ってきた上、母親(ミサト)の存在も知らされていませんでした。
それでも加持少年がシンジからも「いい奴」とまで呼ばれる程、健全に育ってきたのは第三村でケンスケ達から良くしてもらいながら暮らせてきたためでしょう。
『シンエヴァ』でミサトが自分の子供に対して母親らしいことをしてやれなかったことで悔やむ仕草も見せましたが、それは加持も同じ気持ちだったはずです。
それでも『エヴァ破』の中でシンジ達に対して少しだけ“父親らしいこと”をしてあげられたことが、せめてのもの救いだったのかもしれません。
『シンエヴァ』では渚カヲルを導く役割も果たした
『シンエヴァ』本編でケンスケから教えられる形で加持が既に死亡したことが判明したものの、終盤ではゼーレの司令官となっていたカヲルを導く役割も担ってくれました。
自分の手でシンジを幸せにしてあげられなかったことを悔やむカヲルに対して「カヲル自身が本当に望んだ幸せの形」を諭してくれたのです。
最終的にシンジがガイウスの槍を用いる形で、レイやアスカと同様にカヲルも救ってくれたわけですが、カヲルを救うにはシンジだけでなく、加持による助言や導きも必要だったはずです。
加持リョウジが三重スパイだった理由・目的
加持が三重スパイとなった理由として、少年期に遭遇した「セカンドインパクト」や、その後に味あわされた“弟との死別”が挙げられます。
少年期の被災や弟との死別が原因で真相を知りたくなる
加持もまたセカンドインパクトで両親を失ったことで、弟や同世代の少年たちとの過酷な生活を強いられてきました。
加持の過酷な過去はコミック版7巻で、一度は完全にエヴァ搭乗を辞退したシンジに対して、自ら話したことで判明しました。
軍人たちの基地に忍び込んでは食糧を盗んで生きながらえることで何とか生き延びたものの、加持が当番の日に侵入した中で見つかり捕らえられてしまいます。
軍人たちからの拷問に耐えきれなかった加持は仲間たちの居場所となるアジトを話した結果、弟も含めて皆殺しにされてしまったのです。
この悲劇が原因で「セカンドインパクトの真相を知りたい」と思うようになっていきました。
さらに、その後は親戚に引き取られた上に大学にまで通わせてもらえるようになったことで、スパイや諜報員として働けるための勉強を重ねていきますが、その大学内でミサトやリツコと出会ったこともまた、加持にとっては大きな転機ともなったわけですね。
真相に近づくためには複数の組織に所属する方が得策なため
セカンドインパクトがネルフとゼーレにより起こされたことは加持も早い段階で理解していたはずですが、ここでポイントとなるのがミサトやリツコとは違い「ネルフとゼーレ両方に所属しながら動いてきた点」にあります。
おそらく加持自身もネルフとゼーレ、どちらか片方に所属して普通に働くだけでは真相に近づけないことを早い段階から悟っていたはずです。
それならばスパイや諜報員としての能力を活かす形で両方に所属して出入りできるようにした方が情報を盗むことにおいても効率が良いですからね。
ミサトとの違い | 加持の目的は真相を知ること
加持がネルフやゼーレに所属して三重スパイとなった理由や目的は、あくまでも「セカンドインパクトの真相」を知ることです。
同じセカンドインパクトの被災者であり、この大災害が原因でネルフに入った人物として、加持の元・恋人だったミサトが挙げられますが、ミサトの場合は“復讐”や”父親の仇”という目的が強く表れていた印象でした。
しかし加持の場合はミサトと違って、ゼーレや碇司令、使徒でなく「弟や仲間たちを売ってまで1人だけ生き残った自分を許せなかった」のです。
そのためにテレビ版21話でも自分の命や危険も顧みず、迷わずに冬月の救出にも乗り出せたはずであり「真相を知りたい」という目的を達成できた後には、自分の死をも考えていたはずです。
もしも、この回で銃殺されずに済んだ場合でも、おそらくはミサトへの留守電メッセージを残した後に、自ら命を絶っていた可能性も高かったのではないでしょうか?
加持リョウジは誰に殺された? | 死亡の仕方も旧作と新劇で異なる
加持もまた、旧作と新劇場版とで死亡の仕方が大きく変化したキャラクターの1人です。
旧作ではネルフ諜報員・剣崎キョウヤだった可能性が高い
旧作ではテレビ版21話で銃殺される形で殺されましたが、本放送および社会現象化した当時は「加持は本当は誰に殺されたのか?」という点で考察するファンも多かったです。
始めは加持と特に親しかったミサトやリツコの説が多く出ていましたが、後に庵野監督ご自身からの発表で、その考察が大きくハズレであることも判明しました。
庵野監督から語られた“加持を殺した人物”とは「ゼーレの手の者」や「ネルフ諜報員」と発表された上に「特定の誰かではない」とまでされています。
この時点でメイン級キャラとして活躍してきたミサトやリツコが候補から外されたわけです。
しかし”ネルフ諜報員”という回答により「剣崎キョウヤ」であった可能性が高くなりました。
剣崎キョウヤが加持を殺した可能性が高い理由
剣崎キョウヤとは、PS2やPSP用ゲームとして発売された『シークレット・エヴァンゲリオン』の主人公として登場したネルフ諜報員です。
碇司令の下で忠実に任務に勤しむ剣崎は、ミサトや加持と「同じ大学の友人同士」という設定によるオリジナルキャラでしたが、テレビ版4話では剣崎と似た容姿の諜報員も登場していました。
この諜報員が剣崎と同一人物とまでは断言できないものの、シンジ達が必死に使徒と戦い続けてきた間、剣崎もまた自分の任務を着実にこなしてきたはずであり、その末に碇司令から「加持リョウジの抹殺」という指令を受けた末に銃殺したケースも想像できます。
撃たれる側の加持も殺される間際に「遅かったじゃないか」と、まるで親しい人間に対する話し方でしたからね。
コミック版8巻ではリツコの髪型の影も描かれていた関係でリツコ説を確定させたファンも多かったようですが、リツコはあくまでも剣崎と同行しただけに過ぎず、ミサトへの留守電で残した「リッちゃんにも”すまない”と伝えてくれ」とは、自分のせいで諜報員でもないリツコまで動かしてしまったことへの謝罪だったのではないでしょうか?
先に紹介した庵野監督からの発表がされた時期には、このゲーム作品がまだ発売されていなかった時期だったため、当時は剣崎もまた「ネルフ諜報員の1人」でしかない上、特定のキャラクターとして扱われていなかったはずですからね。
新劇場版では自ら犠牲となり死亡した
新劇場版ではサードインパクトを止めるため、自ら犠牲となる形で死亡しました。
『シンエヴァ』でのミサトの回想でニアサード後の行動や、その末に迎えた結末も説明されていました。
ニアサードはカヲルが止めてくれたものの、本当の意味でサードインパクトを止めるには誰かが犠牲にならなければならず、その役を加持が受けたわけですね。
『エヴァQ』でシンジとカヲルがエヴァ第13号機に搭乗してドグマへ降りていく途中で戦闘機の残骸が発見されましたが、その戦闘機が『シンエヴァ』でのミサトの回想での“加持とのお別れシーン”で加持が乗り込もうとしていた機体と同じだったのです。
さらに『エヴァ破』の公開時や円盤で流れた次回予告の映像でも、加持が険しい顔つきで銃を向ける場面が出てきました。
これもまた、加持がサードインパクトを止めようとする中で遭遇した窮地や死に際として描かれた場面だったように思えます。
まとめ
今回は加持リョウジにおける旧作と新劇場版での違いを中心に紹介しました。
エヴァの男性キャラクターの場合、どうしてもカヲルばかりに人気が集中してしまっている印象も強いですが、加持が見せてくれた「大人の男らしさ」にはミサトやシンジだけでなく、多くのファン達も救われたはずです。
本来ならば、ミサトと普通に家庭を持って、すくすくと子供(加持少年)を育てていけることが最も望ましい形だと思います。
しかし、加持が残してくれた功績やデータがあったからこそ、最後のヤマト作戦も乗り越えられた上に新劇場版が分かり易い形でのハッピーエンドを迎えられたことにも一役買ってくれていたのだと思います。
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