ライトノベルやコミカライズで長年に渡って多くのファンを獲得し続けている「無職転生-異世界行ったら本気出す-」のテレビアニメが2021年冬の新作アニメとして、ついに放送開始および配信開始されましたね!
そこで今回は、主人公ルーデウス・グレイラットに転生する前の「前世の男」のキャラクター性と本質を紹介しながら、転生後に残した秘められた能力とトラウマについても迫りたいと思います。
本作品の「人物相関図」に関しては以下の記事をご覧ください。
目次
「前世の男」とは?
まずは「前世の男」のキャラクター性から紹介していきます。
「前世の男」のプロフィール
まずは「前世の男」の簡単なプロフィールから見ていきましょう。
種族 | 人族(人間) |
年齢 | 享年34歳 |
クラス | クズニート |
職業 | 無職 |
趣味(好きなこと) | ・PCゲーム(主にエロゲ) ・美少女フィギュア制作 ・読書(主にラノベ) |
典型的な引きこもり&クズニート
ルーデウスとして転生する前の姿が、この「前世の男」です。
(本名は作品中でも明かされておりません)
現実世界では学校での残酷なイジメや会社内の人間関係に耐えられなくなり、長年に渡る引きこもり生活を続けていました。
その結果、34歳の無職童貞かつニートとなってしまいます。
伸びっぱなしの髪や髭、そして生まれつきによるメタボ体型と現実世界に多く存在する典型的な“引きこもり”と“ニート”であることを強く象徴しております。
完全に閉め切った自室の中ですることは、PCゲーム(主にエロゲ)やフィギュア制作、そしてラノベ読書と1人で出来ることばかり。
そうした趣味や娯楽そのものが、彼にとって生活習慣そのものになってしまったのです。
両親の死後に追い出された!
この「前世の男」も第1話から登場しているものの、この回の中では既に重傷を負った後の時系列であり、本人の瞳のドアップや彼自身の目から見えた大勢の手術医しか見られずに終わってしまいます。
第1話の詳細は以下の記事をご覧ください。
本人の死亡するまでの過程と原因は第2話の方の冒頭部分で描かれていると同時に、この時になって初めて素顔も見ることができましたね。
両親の葬式にも参列しないで相変わらずダラダラと過ごしている「前世の男」ですが、おそらく本人は“自分の両親の死”すら知らなかったのでしょう。
しかし本人の都合など関係なしに兄弟たち3名ほどが部屋に押し入ってきては、彼らから無理やり追い出されてしまいます。
兄弟たち「出て行け!クズニート!」
「前世の男」の方も彼らに対して殴りかかる形で抵抗しますが、完全な運動不足による筋力低下のために勝てるはずもなく、逆に一発で倒されてしまったのです。
さらに、この中の1人には金属バッドまで持つ男性もおり、PC画面に映っていたエロゲ画像に絶句すると同時に叩き壊してしまったのですから・・・この人達が抱いていた「前世の男」への不満や悩みも相当に大きかったはずです。
高校生を事故から庇って他界
両親の死と同時に身内から追い出された「前世の男」はお金どころか住み場所すら失い、雨が降り頻る夜の道をひたすら歩きます。
そんな中で見たのが高校生たちによる揉めあいと、居眠り運転により彼らに向かって走るトラックでした。
前世の男「おい!危ねぇぞぉー・・・」
始めはこの高校生たちに呼びかけるだけのつもりだったのでしょうが、身を乗り出して自分が身代わりにまでなってトラックにはねられてしまうのです!
気づいた時には起き上がることすら出来ない程の重傷を負っており、目を少し開いた先には何名もの手術医がおり、救急隊員からも必死に呼びかけられます。
前世の男「ああ、死ぬのか?俺・・・まあ、いいか。どのみち人生詰んでたからな!でも、せめて童貞ぐらい卒業したかった・・・」
アニメ版の方ではそれが遺言となって、この世を去ってしまいました。
記憶を残しながらルーデウスに転生
トラック事故により自分は完全に死んだものと諦めていたはずの「前世の男」でしたが・・・
目を覚ました先には見知らぬ北欧美人(ゼニス)と自分をあやそうとしてくる茶髪の男性(パウロ)がおりました。
パウロ(父親)の詳細は以下の記事をご覧ください。
そしてメタボ中年だったはずの自分が可愛らしい赤ちゃんの姿に変わっていることにも驚かされます。
しかし前世での記憶が全て残っている彼は、すぐに自分が「ルーデウス・グレイラット」として”剣と魔法”が存在する異世界に転生されたことをすぐに理解します。
ルーデウス(幼年期)の詳細は以下の記事をご覧ください。
今度こそ本気出して生きることを決意!
現実世界では本当にゴミクズのように生きてきた「前世の男」ですが、彼自身もそうした引きこもり生活の中で人生をやり直したいと何度も思い続けてきたのです。
前世の男「だから俺は本気出して生きていく・・・次は後悔しないように!」
転生した時に固めた強い決意は本物であり、1歳のうちから魔術教本を読み始めて、2歳というあまりにも早い年齢で初級の水系攻撃魔術である「水弾(ウォーターボール)」を習得してしまいましたからね!
それでも不満も全くないわけではなく・・・彼が転生してきた異世界(六面世界の人の世界)は、あくまでもファンタジー世界。
現実世界では当たり前とされている電気やガスも通っていません。
前世の男「せめてパソコンぐらい触りたいじゃん」
スマホやパソコンなどの通信機器も、もちろん存在しておらず、大好きなゲームを遊べなくなってしまった事はそれなりに辛かったようですね。
「前世の男」引きこもりの原因ともなった辛い過去
長年に渡り引きこもり生活を続けてきたことで、誰から見ても明らかに”負け組”の部類であろう「前世の男」ですが、実は“勝ち組”に入れる可能性も充分に持ち合わせていたのです!
そこで本人の過去や境遇も追う形で、その辺りにも迫ってみましょう。
【前世の男の過去①】中学時代までは”優等生”だった
“ニート”や”引きこもり”という時点で完全に負け組の部類に入るように思われる「前世の男」ですが、実は”勝ち組”に入れる可能性も充分に持ち合わせていたことが判明しました。
彼には可愛い幼馴染の女性がいる上に、中学生の頃までは成績も良い優等生だったのです。
しかし頑張っている中でも「肝心なところで手を抜いてしまう」という悪い癖は生まれつき持っていたようです。
その悪い癖が高校受験の時にも出てしまい、志望校には見事に落ちてしまいました!
そのために滑り止めとして受けていた「不良たちが集まることで有名な高校」の方へと入学しますが、それこそが今後の”引きこもり”へと繋がる引き金となってしまうのです。
【前世の男の過去②】高校受験の失敗から”破滅の人生”に突入した
志望校に入れなかった「前世の男」は仕方なく「不良たちが集まることで有名な高校」の方へと入学しますが、アニメ版の第2話で見られたような酷いイジメに遭ってしまいます。
これはアニメの中だけに限ったことではありませんが、現実世界の学校内でも生徒のルックスや体型だけでクラス内でのイジメに発展してしまうことも珍しいことではありません。
しかし「前世の男」においては、そのルックスや体型とはまた別に「イジメに発展してしまう理由(原因)」がありました。
それは、入学式の中で同じく入学してきた不良生徒たちに注意したこと。
この行動で因縁をつけられた前世の男は、不良たちからイジメを受けてしまうのでした。
そのイジメの内容があまりにも酷すぎて、見るに耐えられなかった視聴者も多かったと思われます。
コミック版の方では見るからに”不良”のような身なり(髪型や髪色など)をした数名の生徒たちによる暴力行為や陵辱でした。
しかし、アニメ版の方ではクラスの生徒たち全員の前で全裸にされた上に校門に磔にされてしまったのですから・・・本人が受けた“心の傷”は本当に深かったことでしょう。
私から見ても本人が自ら訴えて訴訟を起こせば、裁判でも充分に勝てるレベルだったと思います。
しかし「前世の男」の場合はそこまですることが出来ないまま不登校になると同時に、長年に渡る引きこもり生活を始めてしまいます。
ただこれは、本人にとって「自分を守るため」に行った”籠城”と言えるでしょう。
第2話の詳細は以下の記事をご覧ください。
【前世の男の過去③】鬱症状を悪化させながら”引きこもり生活”に拍車をかける
高校で受けた酷いイジメによって鬱症状(またはそれに近い状態)にまで陥れられた後からは、長年にわたる引きこもり生活を続ける「前世の男」でしたが、そんな中でも両親から発破をかけられることもありました。
父親「勇気を出せ!頑張れ!」
しかし、これは鬱症状を持ってしまった者に対して“最も言ってはいけない言葉”です。
この「前世の男」も入学式の時に”勇気”を出して(卑屈な思いも強かったでしょうが)不良生徒に声を出して注意した結果、こうなってしまったのですから・・・。
そして受験の時には手を抜いてしまった落ち度もあったものの、中学時代までは学業にも頑張って取り組んできたわけであり、本人にとっては「今までも充分に頑張ってきた」という思いが強かった事でしょう。
そこまで頑張ってきたところで「頑張れ」などと言われても、言われる側からしてみれば「これ以上、何を頑張れと言うんだ?」という形で否定的な思いに駆られることは必然なことなのです。
【前世の男の過去④】実は引きこもり期間中に社会人デビューしていた!
アニメ版の方では高校生時代から34歳になるまでにかけて、ずっと引きこもり生活を続けていたように見られた「前世の男」ですが、コミック版の方ではそうした期間の中でも“社会人デビュー”していたことも明かされました。
本人が入った会社名や職種、そして通勤していた時期(年齢)までは語られなかったものの・・・結局はその会社の中でも同僚や先輩社員たちから見下されてしまい、高校時代に受けたイジメの“トラウマ”が蘇ってしまったようです。
そうなってしまっては仕事に身が入るはずもなく、その会社もすぐに辞めてしまい、これまでと同じ引きこもり生活に逆戻りしてしまったということですね。
「前世の男」の秘められた優れた能力
ここではクズニートとして長年に渡る引きこもり生活を続けていたからこそ、習得できた「前世の男」の中に秘められた優れた能力についても追求してみましょう。
エロゲで身につけた”口説きテクニック”
可愛い幼馴染へのほのかな恋心も抱いていながら、引きこもり生活によって彼女と会う事すら難しくなってしまった末、二次元の女性キャラ(主にエロゲのキャラクター)にのめり込むようになってしまいます。
アニメ版の方ではゲーム用パッドを握って格闘ゲームで遊んでいる描写の方がわずかに多く見られたものの、本人の最も好きなジャンルはやはりエロゲだったようですね。
今までにこなしてきた数々のエロゲで身についた“口説きテクニック”は、やがてルーデウスとして転生した後に思いがけぬ場面で役立つこととなります。
手先の器用さを生かした”フィギュア制作”
二次元キャラへの好意がエスカレートした末に、美少女キャラのフィギュア制作も始めるようになります。
ここでポイントとなるのが、「美少女キャラのフィギュア作りはガレキ(ガレージキット)作りになる」という点です。
基本的にガレキとは作ること自体が難しい上に全部分の塗装も自分で行えなければ、満足のいく完成品には仕上がりません。
それに加えてある程度の模型作りの技術や経験も必要とされるので、、プラモデルと同じ感覚では作れません。
それ故に、ここ近年で発売されている「ガンプラ」を始めとした色分けパーツ成型によって塗装ナシでもカッコ良い完成度に仕上がる商品を中心に作られている人には、かなり敷居の高い商品であると言えるでしょう。
「前世の男」も始めは意気込んで始めたものの、たまたまネット上でアップされていた他の人が作り上げた高レベルな作品を見た時点で、途中で投げ出してしまっていたのです。
ここでもまた、高校受験の時と同じく悪い癖が出てしまいましたが、難しいガレキ作りを途中まで進めていたのは事実。
、そうして見ると「手先の器用さ」もそれなりにあったのでは、ないでしょうか。
1,000冊ものラノベ読破による”読書力”
ルーデウスとして転生されてからは、グレイラット家の長男として新たな生活を始める中で、電気やガスがないこととは、また別の違和感を抱き始めます。
それが「グレイラット家には本が5冊しか置かれていない」ということでした。
前世の男「1,000冊近い本を持ってた俺には信じられない話だ!最も全部ラノベだったが・・・」
私から見れば、自室の中だけに1,000冊ものラノベを置けていただけでも羨ましい限りではありますが・・・引きこもり生活の中で読み続けたラノベの影響もあって「本を読む習慣」は、しっかりと養わされていたと言うことですね。
「前世の男」の能力を使ったルーデウスの実力
ここからは、「前世の男の能力が異世界での新生活でどのような形で役立っているのか?」という点にも迫ってみましょう。
“口説きテクニック”で師匠を慰めることに成功
ルーデウス(幼年期)の家庭教師として訪れてきた時点で、既に”水聖級魔術師”の地位に君臨していると同時に高い魔術能力を誇るロキシー先生ですが、かなりポンコツな一面も併せもっております。
それ故に修行の最中にも思いもよらないミスを犯してしまって弟子(ルーデウス)の前で落ち込むこともあります。
そんな師匠(先生)に対して、ルーデウス(幼年期)が取った言動とは・・・
ルーデウス(幼年期)「先生は今、失敗したんじゃありません。経験を積んだんです!」
彼の方もまた、前世のエロゲで培った”口説きテクニック”を発揮しますが、これで慰めることに成功してしまうのです。
ロキシーの詳細は以下の記事をご覧ください。
人形作りで魔力総量の底上げを実現
スマホやパソコンと同様、転生されてきた世界には前世で作ってきた「美少女フィギュア」も、もちろん存在しません。
それでもルーデウス(幼年期)に生まれ変わってからは、お庭の土を材料にしながらフィギュアを自作するようになりますが、今度は単なる娯楽としてだけでなく「魔力総量の底上げ」としての役割も果たしていたのです。
そして作り過ぎて部屋の中に多く集まってしまった後には魔法で一掃してしまえるため、置き場所や収納スペースに悩まされることもないので、まさに一石二鳥と言ったところでしょうか。
ラノベ読書で培った”読書力”が魔術勉強のキッカケに!
0歳の時点で魔法の存在を知ったルーデウス(幼年期)ですが、いくら本気で魔術を学ぼうと思ったところで、まずは魔術教本を読んでみるところから始めなくてはいけません。
ルーデウス(幼年期)が自主的に魔術教本を読み始めたキッカケには、パウロがいつも寝る前に読み聞かせてくれたこともあるのでしょう。
しかし、それ以上に大きいのが前世で1,000冊ものラノベ読書をも成し遂げた中で身についた「本を読む習慣」が大きかったのではないでしょうか。
「前世の男」が転生後にも残ったトラウマ
ここからは能力面とはガラリと変わって、ルーデウス(幼年期)として転生してからも残ってしまった”トラウマ”について迫ってみます。
外を見るだけで前世の辛い過去が甦る!
ルーデウス(幼年期)として転生してからは魔術や剣術の修行に加えて夜の座学や魔力総量アップにと懸命に努力を続けていきますが、それでも部屋の窓から外を見ただけでも前世の頃に味合わされた辛い過去の記憶が脳裏に蘇ってしまうのです!
そうした症状はお庭から外を見た時には、幻覚症状まで患ったかのように、更に強くなってしまいます。
ルーデウス(幼年期)が3歳や4歳ほどにまで成長すると、ブエナ村の中では彼と同年代ぐらいの男の子たちが外で元気に遊び回っている光景も見られるようになります。
第2話でその子たちが自宅前の外側で、拾った棒を持ちながら遊んでいる姿を見かけただけでも、お庭から眺めている自分に対して携帯電話を向けて撮られそうな光景に見えると同時に強く怯え始めてしまうのです。
今いる世界には電気やガスはおろか、スマホやガラケーも存在していないことを頭では理解できてはいるものの、前世で受けてきた“過去のトラウマ”に対しては克服できないまま生活してきました。
ロキシーのおかげで辛い過去の克服に成功!
ロキシーとの魔術修行を重ねていきながら5歳の誕生日を迎えたルーデウス(幼年期)ですが、その翌日には”卒業試験”として外へ出なければならないことを告げられた途端に、一気に怖気づいてしまいます。
ゼニス「何故か外へ出たがらないのよねぇ。魔物が怖いのかしら?」
怖がりながら側にいるパウロやゼニスへと縋りつきますが、彼らも「自分たちの息子が何故か外には出たがらないこと」に対しては心のどこかで心配していたようであり、この時までは口に出していなかっただけのようです。
ゼニス(母親)の詳細は以下の記事をご覧ください。
心は34歳でも外見はまだ5歳の子供であるルーデウス(幼年期)のそんな姿を見たロキシーからは、単に「馬が怖いんだ」と誤解されたまま馬(カタバッチョ)に乗せられてしまいます。
しかし、自分たちが出て行こうとする家の正門を見た途端に、前世での校門の光景が甦ってしまいます。
そのことへの恐怖感に耐えられないルーデウス(幼年期)は思わず両目を閉じてしまいますが、数秒後に開けた時には既に外に出ており進んでいる状況でした。
この時点で「何も臆することなど無かった」と悟ります。
さらに自分たちとすれ違う村人たちがロキシーに対しては挨拶と同時に、農業のことに貢献してくれていることへのお礼まで言ってくるのです。
ルーデウス(幼年期)「それに比べて転生してから5年・・・俺は家から出ずに何を恐れていたのか」
家庭教師として訪れてから2年ほどでブエナ村にしっかりと馴染んでいるロキシーの姿を見たことで、転生してからも引きこもり続けてきた自分を恥じるようになります。
ロキシーのおかげで異世界でも「初めて外に出ること」を達成できたと同時に、ルーデウス(幼年期)の中にいる「前世の男」にとっては、前世の頃から数えて実に25年もの長い年月をかけて、やっと”過去のトラウマ”との決別をつけられた瞬間だったのではないでしょうか。
「前世の男」の存在価値を考えてみる
最後は本作品の中における「前世の男」の存在価値について、少し考えてみたいと思います。
これまでの異世界アニメにはあまり居なかった存在
現代までにかけて、実に数多くの異世界転生モノをテーマとして作られたライトノベルやアニメ作品が作られて世に送られ続けてきました。
そうした流れや状況は今後も作品自体のテイスト等を変えながら更に続いていくと思われます。
Web連載の時期から追い続けている熱心な原作ファンだけでなく、アニメ版から入ったばかりの新規ファンの人達がもしも「本作品の魅力的な部分は?」と質問されたとしたら、おそらく答えとして返す内容としては以下の2点を挙げる人が多いのではないでしょうか。
- 主人公ルーデウスの誕生(転生)から他界までを長きに渡って綴られる壮大な群像劇である。
- 3大ヒロインとして君臨しているロキシー・シルフィエット・エリスを始めとした、魅力と個性に溢れたキャラクター達。
確かに物語を彩る上で魅力的な主人公やヒロイン達は必要不可欠な存在です。
しかし本作品のサブタイトルにもある通り、本筋はやはり「ルーデウスとして転生してきた『前世の男』の“やり直し”をかけた物語」として描かれている印象も強いのです。
ここで同じ(テーマや世界観は異なりますが)転生モノとして描かれている「幼女戦記」の主人公ターニャ少佐と比較してみましょう。
“幼女”という可愛らしい外見で幾多もの戦争を駆け抜けるターニャ少佐も前世の現実世界の時では男性(エリート会社員)として生きてきました。
しかし転生後には口から出る声だけでなく、心の中の声も同じターニャ少佐だったのです。
それに対して「無職転生」の方ではルーデウスの中に記憶を残すと同時に、心の中の声は「前世の男」の時のままで進んでいきます。
一見はそれほど大きな違いのようには感じられないかもしれませんが、こうすることによってファンや視聴者たちが抱く共感も大きく差が出てくるものです。
それによりルーデウスの成長だけでなく、無意識のうちに「前世の男」の方も見事にやり直して、今度こそ理想の幸せを獲得できるように応援してしまう人もいる事でしょう。
ルーデウスを”表向きの主人公”とすると「前世の男」の方は“影の主人公”としての価値が充分に大きいのではないでしょうか。
そのため「無職転生」は、この2人の主人公がいるからこそ成り立っており、どちらかが欠けてしまった時点で物語として成り立たないということですね。
声優さんの演技力もあってこその”異質感”
「前世の男」の存在価値の大きさには、彼の声を担当されている声優(杉田智和さん)の演技力も一役買っているようにも感じられます。
元々ルーデウスたちのような”表面上に見えているキャラクター達”とは違って「前世の男」だけは異世界の中では、あくまでも“心の中の声”として台詞を語ります。
声の演技だけで他のキャラクター達とは完全に異質であることを表現するためには、あくまでも”感情を露わに表現し過ぎない”ように心がけて演じていくのでしょうが、そこばかりに集中してしまうと逆に”単なる棒読みな話し方”になってしまい、感情の方が全く込められていないように聞こえてしまう可能性も大きいと思われます。
杉田さんの場合は、そうした加減性を上手く調節しながら台詞を発しており、抜群な演技力も相まって視聴者に対しても「異質な存在」であることを大いにアピール出来ているように感じられるのです。
まとめ
今回は主人公ルーデウスの転生前の姿(人物)である「前世の男」のキャラクター性を始めとして、過去や能力を紹介すると共に、その「存在価値の大きさ」についても迫ってみました。
- 物語の中では”引きこもり”であると同時に「クズニート」として登場した。
- 可愛い幼馴染の女性がいることや中学生時代までは成績優秀な生徒であったため、このまま”勝ち組”に入れる可能性も大きかったと思われる。
- 高校受験の失敗と校内で受けた残酷なイジメにより、長年に渡る引きこもり生活が始まってしまう。
- 両親の葬式にも参列しないまま、残された兄弟たちから追い出されてしまう。
- 最後にはトラックから高校生たちを庇う形で死亡してしまう。
- ルーデウスとして転生されてからも、前世での記憶はそのまま残された。
- 引きこもり生活の中で培ってきた能力(PCゲーム・フィギュア制作・ラノベ読書)は、ルーデウスとして新たな生活を始める中でも思わぬ形で役立っていく。
- 転生されたことで「この世界では本気出して生きていこう」と決意する。
- 魔術や剣術の修行には一生懸命に励む一方、前世で受けたトラウマからは逃れられずにいたものの、ロキシーのおかげで外に出ることに成功する。
- 「前世の男」もまた、ルーデウスたち主要キャラとは少し違う形で”大きな存在価値”を誇っている。
前世では本当に辛い人生を送ってきた「前世の男」ですが、ルーデウスに転生することでせっかく”やり直す”ことが出来るのだから、自身でも決意している通りに、今度こそ本気出して幸せに生きてほしいものですよね!
本作品のアニメ動画や見逃し配信の詳細は以下の記事をご覧ください。
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