『葬送のフリーレン』はマンガ大賞2021の大賞を受賞した作品で、ほろ苦い心情描写などが話題となり、今までに無い泣けるファンタジーとして人気の漫画です。
週刊少年サンデーで原作者・山田鐘人先生と、作画担当・アベツカサ先生によって2020年から連載が開始され、2021年10月現在で既刊5巻が発刊されています。
この記事ではフリーレンの旅の目的について解説しながら、今後のストーリー展開の見どころを考察します。
この記事にはネタバレがあるから注意してね。
葬送のフリーレンあらすじ
魔王を倒した勇者一行の“その後”。
魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。
彼女が”後”の世界で生きること、感じることとは--
残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは--
物語は“冒険の終わり”から始まる。
英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー!
出典:小学館公式サイト 単行本書籍紹介より
葬送のフリーレンの面白さのポイントは、これまでのハイファンタジー漫画に無かった、魔王討伐後の冒険を綴った物語なことです。
そして、主人公のエルフと仲間たちの異種族間の寿命に関する感覚のズレが重要な点でもあります。
無限に近い寿命を持つ主人公のフリーレンが、過去にたどった魔王討伐の旅を新世代の冒険者と旅をしながら振り返る、楽しくて少し哀しさを覚えるストーリーが感動を呼んでいます。
泣ける話は1巻がオススメでしょ。
フリーレンの旅の目的は「魔法の収集」なのか?
長い寿命を持つ主人公のフリーレンの目的は趣味の魔法の収集でしたが、人間たちとの関わり合いで徐々に目的が変わっていきます。
人間とは違ったタイムスケールで目的が変化していくフリーレンの旅は混乱しやすいため、表にして時系列順で並べてみましょう。
魔王討伐後〇年 | フリーレンの目的 | 備考 |
-10 | 魔王討伐 | 10年かけて魔王討伐を完遂する。 |
0 | 魔法の収集 | 50年後に仲間たちと再会する約束を交わす。 |
50 | 魔法の収集と半世紀流星を見る | 勇者ヒンメルとの寿命による死別。 |
50 | 魔法の収集と「人間のことを知る」 | ヒンメルの死で人間を知る目的が追加される。 |
70 | ハイターに借りを返す | 魔導書解読の片手間でフェルンに魔法を教える |
74 | 魔法の収集とヒンメルの足跡を回る | ハイター死去。フェルンを弟子にして二人旅を始める。 |
78 | アイゼンの手伝い | 大魔法使いフランメの手記の捜索を頼まれる。 |
78 | フランメの手記の捜索 | アイゼンはフリーレンと、死んだヒンメルを対話させようとする。 |
78 | 魔法の収集と魂の眠る地へ行く | ヒンメルとの対話のため北部エンデを目指す。 |
魔王討伐から80年近くたってるのね。
フリーレンの目的と変遷
魔王討伐を終えたフリーレンは、ちょっとそこまでのつもりで100年くらい中央諸国を回り、趣味の「魔法の収集を続ける」と仲間に告げて旅立っていきました。
再会して小さな冒険が終わった後にリーダーのヒンメルが老衰で死去したことにショックを受けて、人間とエルフの寿命の違いにあらためて気が付いたフリーレン。
彼女の気ままな趣味の魔法の収集の旅は、思い出の中で仲間が何を思っていたのかを理解して、現実の旅路で人との触れ合いを知る旅へと変遷していくのです。
勇者ヒンメルとフリーレンとの関係性については【葬送のフリーレン】ヒンメルがかっこいい | フリーレンへの恋愛感情はあった?で紹介しています。
新たな旅の目的は「魂の眠る地」を探すこと
フリーレンは追想の旅を続ける中で、新たな旅の目的地として「魂の眠る地」を探すことになります。
魔王討伐から78年が経過した頃、フリーレンは元パーティーメンバーだったハイターの養女フェルンと一緒に、かつての仲間でドワーフ族のアイゼンの元を訪ねました。
年老いたアイゼンが久しぶりに再会したフリーレンを出迎えると、フリーレンは寿命が残り少ないアイゼンに手伝うことがないかと聞き出します。
フリーレンの問い掛けに対して、思い出したように千年以上前の「大魔法使いフランメの手記」を探す依頼をしたアイゼン。3人はフォル盆地というフリーレンにゆかりのある土地へと足を運びます。
「魂の眠る地」ってなんだろ。
ドワーフの戦士アイゼンの依頼と大魔法使いフランメ
「大魔法使いフランメの手記」の捜索を依頼したアイゼンは、依頼の理由がハイターと生前に文通をしていて示し合わせていたものだとフリーレンに打ち明けます。
ヒンメルの葬式でフリーレンが口にした「人間を知ろうと思う」という言葉を、アイゼンが直接ヒンメルに届けてやらなければ可哀そうだと思ったことがきっかけでした。
師匠フランメとフリーレンの約束
フリーレンは人間だったフランメとの千年前のやり取りを思い浮かべながら、今日フリーレンが人を知ろうと思っているのを見透かしていたように準備していたことを思い出し、手記を保護するための結界内へと歩みを進めます。
「大魔法使いフランメの手記」の捜索に、あまり乗り気でないフリーレンを気にかけたフェルンは、大魔法使いフランメがフリーレンの師匠だとアイゼンから聞かされて驚きました。
フリーレンは魂の眠る地で死者との再会という目的を持つ
フランメの手記を手にしたフリーレンは、フランメが魂の眠る地(エレオール)で死者との対話をしたという内容を目にします。その場所は大陸北部の街エンデにある、旧魔王城のある土地です。
ハイターとアイゼンに良い意味で騙されて、フランメにやっぱり帰ってきたかと諭されているように感じているフリーレンは、ヒンメルの魂との再会のために魂の眠る地へ行く事を決意しました。
葬送のフリーレン今後ストーリーはどう展開する?
『葬送のフリーレン』が連載されているのは週刊少年サンデー。
オシャレな絵柄の少年誌なので、熱血バトル展開が似合わない誌面です。
それゆえに、ハイファンタジー漫画としての戦闘に頼ったストーリーは不向きでアクションに向いた作風ではなく、作品の持つ抒情的な空気感が大事な作品だと考えられます。
10年前の魔王討伐のように気が付いていたら世界を救っていた旅を追体験することになるこの冒険は、新しい世代の仲間と楽しみながらたどる追憶の旅が続いていくのではないでしょうか。
バトル展開となるのか?ファンは賛否両論
週刊少年サンデーでの連載の他にていき配信されている漫画配信アプリ「サンデーうぇぶり」で、感想コメントを読んでみると、葬送のフリーレンのバトル展開には賛否両論な意見が書き込まれています。
Twitterでも同様に葬送のフリーレンのストーリー展開についてのツイートが散見されるので、一部をご紹介してみましょう。
葬送のフリーレンにバトル要素は向いていない
葬送のフリーレンの戦闘シーンやバトル展開は面白くないという意見があり、他誌で連載中のバトル漫画のような盛り上がりと比較すると薄い印象を受けます。
週刊少年サンデーにもバトル漫画の名作は多々あるものの、汗臭い展開を嫌う編集部のカラーが色濃く出ているのがうかがい知れます。
フリーレン5巻まで行ったけどバトルが続くと良い話エピソードよりあんまり面白くないな…早くバトル終われよみたいな
— あめゆじゅ (@mofufu9080) September 23, 2021
葬送のフリーレン(4) (少年サンデーコミックス)https://t.co/Qg5AbvmK7y
うおおお、フリーレンの新刊だああ。
さて最近のフリーレンの話なんですが、ここ数話バトルシーン多めです。フリーレンのバトルシーンはあまりおもしろくない事に定評があるので、早く終わって欲しい。日常よ戻ってこい。— 派手パンダ (@hade_panda) March 17, 2021
葬送のフリーレンのバトル要素があっさりしていて好き
前項と反する内容となりますが、淡々と進むロジカルな戦闘に上品さがあって好きな読者もいる事が分かります。
美麗なキャラクターによって小ゴマでかっちりと描写されている戦闘シーンを好む人もいて、絵柄や展開に関する読者の好みは賛否両論であり、千差万別となるようです。
フリーレン、ふつうの漫画だと大ゴマで何ページか裂きそうなバトルを小ゴマ1つで片付けるのほんといいんだよな
— 寝てる (@hisanan) September 22, 2021
フリーレン、淡々としたバトルがかなり理路整然と描かれてるから癖になるんだよな。凄く上品なマンガだよね
— カムリ (@Kamuri_syenberk) March 16, 2021
「大陸北部」の旅がどうなるか
大陸北部へと展開していくストーリーの中で伏線となりそうな要素についていくつか考えてみましょう。
・エルフのモンク、クラフトの再々登場
・七崩賢の残党との戦い
・勇者の剣というフラグ
魔王が討伐されたとはいえ、伏線はいくつかあるのでバトル展開のストーリーは今後増えてもおかしくないのではないでしょうか?
ヒンメルやフリーレンの魔王討伐から80年近くの時間が経過しているので、七崩賢の残党や家族というものを理解できない魔族の中から、新たな魔王として名乗りを上げるものが出てきても面白いですね。
勇者ヒンメルが抜けなかった本物の勇者の剣が、いまだに剣の里で眠りについている事も、伏線として回収されるのかもしれません。
ヒンメルとの対話で完結するのか
結論としては、ヒンメルとの対話が終わってもフリーレンの旅は続くことになるのではないかと考えられます。
フリーレンの目的の一つが「人を知ろうと思う」ことで、ヒンメルとの対話はアイゼンに与えられた要素の一つだからです。
ハイターからフェルンを託され、アイゼンからはシュタルクを連れて旅をするように頼まれたフリーレンが、ヒンメルとの対話で何を託されるのか。また、フリーレンが旅の目的の一つ「人を知ろうと思う」の先でヒンメルに何を伝えるのか。
人と人でさえ難しいこの命題はフリーレンの永い寿命を持ってしても簡単に答えの出るものでは無く、対話によって得たものをどうするのかという命題が残り、フリーレンの旅はさらに続くことが予想されます。
まとめ
フリーレンの旅の目的の変遷をたどりながら、これからのフリーレンの旅路について考察してきました。
あっさりとしたバトル漫画として捉える人も、泣けるファンタジーとして作品を捉える人も、フリーレンの今後の旅路が気になるところで、追憶の旅がハッピーエンドであるように祈りながら続きを楽しみたいものです。
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