『葬送のフリーレン』は2020年から、山田鐘人先生(原作)とアベツカサ先生(作画担当)のコンビによって週刊少年サンデーで大人気連載中の漫画作品です。
2021年漫画大賞など、多くの賞も受賞されており「泣けるファンタジー作品」とまで呼ばれ、大きな話題となりました。
さらにテレビアニメ化も決定しており、2023年9月末での金曜ロードショー枠で放送される第1話を皮切りに放送中です。
本記事ではマハトの強さや魔法の恐ろしさを紹介。
また、デンケンやグリュックと過ごしてきた長い過去を辿りながら迎えた最期(死亡)にも迫ります。
本作品の人物相関図は「葬送のフリーレンの人物相関図!登場人物・キャラクターの一覧を解説」の記事をご覧ください。
目次
黄金郷(おうごんきょう)のマハトとは
黄金郷のマハトは魔王直属の幹部「七崩賢」の1人である上、その中でも最強の座に君臨してきた大魔族です。
「黄金郷」の二つ名もマハト自身が使う恐ろしい魔法から取られています。
赤い長髪から生えている“2本の長いツノ”が特徴的なイケメンです。
黄金化させた城塞都市で50年間も封印され続けた
本編の時代ではアウラと同じく生き延びていたマハトですが、アウラとは違って自ら侵略などは行わず、結界により封じられた黄金郷にある城塞都市の中で穏やかに1人で過ごしてきました。
城塞都市の防護結界は大陸魔法協会の創設者でもあるゼーリエと彼女の部下たちにより張られたものですが、マハト自身は無理に結界を破ろうなどという考えもありませんでした。
このように好戦的でなく、あくまでも穏やかに生き続けることを望んでいた点が「アウラとの大きな違い」とも言えますね。
人類との共存を望みながら殺戮を続ける理由とは
マハトは大魔族でありながら社会性が高く、理知的な性格です。
魔王が生存していた時代では命令を受けていたことで人間たちの村を滅ぼすこともしていましたが、基本的には「無益な争いを好まない性質」でもあります。
しかし「人間との共存」を真の望みと主張しながらも殺戮を続けてきたのには「魔族と人間における思想の違い」が大きな原因となっています。
「人間を殺すこと」こそがマハトにとっての「人間に対する好意の表現」であるため、必要とあれば容赦なく殺す上、武器まで持たせながら生き残った人間同士に殺し合いまでさせる程の残酷さまで併せもっています。
即ち、マハトを始めとした魔族たちにとって「人間を殺すこと」は”人間の三大欲求”と同じことなのです。
同じ望みを持ちながら魔王やフリーレンと分かり合えなかった理由
マハト望む「人間との共存」という望みは魔王やフリーレンとも共通しています。
それでも、この2人とは分かり合えなかった理由には望みや目的に到達するまでの「手段や思考の違い」が大きかったのです。
まず、魔王は人間との共存を果たすために「人間と魔族による戦争」を起こしましたが、それは好戦的でなく無益な戦争などを望まないマハトの思考に反するものでした。
そのため、表面上では魔王に従いながらも、後に自分の主から「魔王が勇者ヒンメル達に倒されたこと」を聞かされた時も動揺や悲壮感を見せることなく、軽く受け流しています。
また、自分たち七崩賢を束ねる”全知のシュラハト”に対しても普通にタメ口で話していましたが…
これらの様子を見る限り、マハトは魔王やシュラハトへの忠誠心をもっていなかったことが分かります。
また、原作86話でデンケンと同行した上で話し合いを実行したフリーレンから「マハトの望みと行動における矛盾点」を指摘されてしまいます。
それでもマハトは自分の思想などを全く悪いとも思わず、逆に「自分の何がいけないのか分からない」と彼女に対して聞き返す始末でした。
この時点でフリーレンからも「決して分かり合えないこと」を悟られてしまいます。
ただ、マハトが魔王やフリーレンと分かり合えなかったことが悪いとも言い切れません。
現代社会でも、同じ会社で働く社員同士で売上や実績を上げたい等の目標を立てた場合でも「”思考や方法の違い”で敬遠や衝突し合ってしまうこと」なども、よくあることですからね…。
マハトの強さと魔法 | 黄金化による呪いの恐ろしさと破られた理由
ここではマハトが七崩賢の中でも“最強”と言われる理由と魔法について解説します。
フリーレンを敗北させた程の強さを誇る
マハトの絶大な強さは本物であり、あのフリーレンをも600年前の戦いで敗北させています。
さらに、本編の時代で再会した時もフリーレンに勝つイメージを湧かせていません。
これまで自分の魔力を抑えながらの戦いでクヴァールやアウラ、そしてレヴォルテの部下などを倒してきたフリーレンにそこまで言わせるだけでもマハトの強さが絶大であることに納得できますよね。
マハト魔法 | 黄金化の本当の恐ろしさとは
マハトが七崩賢の中でも最強と言われる最大の理由は、彼自身が使う「ディーアゴルゼ」という魔法にあります。
これは「万物を黄金に変える魔法」とされており、かけた瞬間、人を始め建物や地面まで、すべてを「黄金化」させてしまいます。
その有効範囲も非常に広いため、マハトが長年過ごし続けてきた城塞都市ヴァイゼごと黄金化させてしまったのです。
本編でも、自分やデンケンとは離れた場所でソリテールと戦い続けていたフェルンやシュタルクまでも黄金化させてしまいました。
また、マハトの黄金化は「呪い」とも呼ばれており、一度黄金化させられた人や町は基本的には元の姿や状態に戻ることが不可能とされています。
そんな「ディーアゴルゼ」の恐ろしさとは、単に呪いや黄金化させられること以上に「回避や防御も不可能な点」にあります。
つまり、生半可な強さや魔法で無闇にマハトとの接触や戦闘を行なっても、黄金化の魔法をかけられた時点で終わりとなってしまうわけです。
フェルンの魔法能力の強さやシュタルクへの想いは『フェルンの能力・強さはフリーレンより上?世界最強の魔法使いになる可能性あり』の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参照ください。
使用者(マハト)だけは自身の意思で解除できる
当初は解呪が不可能と言われてきた「ディーアゴルゼ」ですが、一部の例外も存在します。
それは使用者(マハト)だけは黄金化させられても「自分の意思で元の姿や状態に戻ることも可能」であることです。
原作96話でデンケンとの師弟対決を繰り広げた中、マハトが戦闘を終わらせるために放った「ディーアゴルゼ」をデンケンが自分にかけていた「ミステイルジーラ」という呪い返しの魔法ではね返されたことで、マハト自身が黄金化させられます。
(ちなみに「ミステイルジーラ」はゼーリエの魔法ですが、デンケンが彼女から譲ってもらっていました)
この時点で多くの読者たちがデンケンの勝利を確信したのも束の間…
マハトが自分の意思で黄金化の呪いを解いたことで簡単に復活してしまいます。
そのため、下手な封印や状態変化などもマハトには通用せず、マハトに勝つ方法とは「完全に倒すこと」しかありません。
フリーレンの解析でマハトの魔法(呪い)を破られた
ここまで解説してきたことで“完全無欠”と思われてきた「ディーアゴルゼ」でしたが、フリーレンの解析が完了したことにより初めて使用者(マハト)以外の者に破られました。
フリーレンにより破られた影響で、ソリテールと戦いながら黄金化させられたフェルンやシュタルクも元の状態に戻れたのです。
マハトの魔法には及ばないものの、それでも解呪できる有効範囲もそれなりに広いと捉えられます。
シュタルクの真の強さや過去は『【葬送のフリーレン】シュタルクについて解説 | フェルンに嫌われている?』の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参照ください。
マハトの長い過去 | デンケンやソリテール達との関係性
魔族でありながら、マハトはデンケンを始めとした複数の人間たちと出会う上、長年にわたり深く交流してきた過去があります。
ここではマハトが過ごしてきた過去の人生に迫ります。
魔王の配下だった頃から人間を好きになる
魔王がまだ生きてきた頃まではマハトも命令を受ける度に人間の村を滅ぼしながら、そこに住む人達も容赦なく殺害してきました。
そうした中で「人間への好意」という感情が芽生えた始めた後、人類について研究している変わり者の魔族の少女・ソリテールと出会います。
そのソリテールと「悪意」や「罪悪感」などの感情について語り合いますが、彼女とも意見がいまいち噛み合わずに終わってしまいます。
自分の求める答えを得ることができずにソリテールと別れた後からは、再び自分の答えを探しながら彷徨います。
その結果、北部高原の中では最大の人口を誇る城塞都市ヴァイゼに辿り着きます。
グリュック直属の配下となり人間との交流を始める
マハトは辿り着いた城塞都市ヴァイゼの町外れにある森林地帯で、ヴァイゼを統治するグリュックという人間の男性と出会います。
これまで殺し続けてきた人間たちと同じように、マハトは両手剣でグリュックの部下たちを殺害していました。
そのままグリュックも殺そうしますが、その瞬間に生き残ったグリュックから「ある交渉」をもちかけられます。
「自分(グリュック)なら、マハトの知りたい感情について教えられること」を説明されたことに対して、マハトも納得した上で承諾しました。
この瞬間に交渉が成立し、それからマハトは「人間(グリュック)直属の配下」となりながら、グリュックから出される任務や命令を着々とこなしていきます。
ちなみにグリュックから主に命じられた仕事や任務とは「暗殺稼業」であり、マハトはグリュックにとって厄介となる一族の者たちを殺し続けてきた一方、パーティー会場で女性の出席者からの希望で一緒に踊ることもありました。
また、人殺しという面では魔王の配下だった頃と同じように見えますが、グリュックの配下となってからは”暗殺”というやり方に変わっている点が微妙な違いです。
即ち、グリュックからの命令で受けた仕事では周囲の者たちに気づかれないよう、静かに殺していくやり方に変わったわけですね。
デンケンの師匠となり魔法を教えた
マハトがグリュックの部下として働く中、まだ少年期の頃に両親を亡くしたデンケンとも出会っています。
デンケンはグリュックと親戚同士の仲であり、マハトはグリュックから頼まれたことで「デンケンの師匠」となり魔法を教え始めました。
デンケンの才能や魔法能力はかなり高く、マハトが教えた魔法なども順調に習得していったようです。
本来は成人したデンケンと共にヴァイゼやグリュックを守る用心棒として働けていたなら、それはマハトにとっても「人間の感情を知ること」における更なるプラス要素になっていたはずです。
しかし、結果的には自分が育ててきた弟子(デンケン)との戦いで倒されてしまうのは皮肉としか言えませんね。
デンケンの強さや魔法、妻やマハトとの過去は『【葬送のフリーレン】デンケンの年齢や魔法 | 妻やマハトとの過去』の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参照ください。
城塞都市ごと黄金化することで主(グリュック)とも決別する
デンケンと結婚したグリュックの娘(レクテューレ)が病に倒れて死亡したことにより、デンケンの方もヴァイゼから去ってしまったため、マハトにとって心を開ける人間が再びグリュックだけとなってしまいます。
しかし、この2人の主従関係も30年という期間を伏し目にして終わりを迎えます。
グリュックと共に過ごしてきたことでまだ完全にとは言えないものの、マハト自身が知りたかった「悪意」や「罪悪感」が分かり始めてきたことを伝えると、年老いたグリュックもそのことをどこかで感じ取っていた様子であり、自分がこれまで犯してきた罪を償おうと抵抗することなく、マハトの魔法で黄金化されながら別れの言葉を伝えます。
マハトがグリュックへの感謝とお別れの言葉を告げ終えた瞬間、ヴァイゼの街ごと黄金化させてしまいました。
ゼーリエとの戦闘後、防護結界で封印されたまま時を過ごす
マハトが自分の魔法で黄金化させた街中でゼーリエが現れます。
そして、ゼーリエからの「街(ヴァイゼ)を元に戻せ」という要求を却下したマハトがゼーリエとの戦いを始めます。
大魔法使いゼーリエは、これまで殺してきた人間たちとは桁違いな強さ故、マハトでも簡単に倒すことができません。
また、その戦いの最中にゼーリエの部下たちもヴァイゼに到着したことでマハトの方から退いたため、ゼーリエとの勝負は決着がつかぬまま終割りました。
しかし、ゼーリエたちの目的はマハトの抹殺でなく、あくまでも「黄金化された街を元に戻すこと」でした。
その目的を達成できないことを悟ったゼーリエが部下たちと共に強力かつ大規模な防護結界を張ることで、マハトを黄金郷から出られなくさせたのです。
しかし、その防護結界もマハトと旧知の仲であるソリテールの解析や魔法により破られてしまいました。
ゼーリエの強さや魔王を倒せない理由については『【葬送のフリーレン】大魔法使いゼーリエの正体や強さ | 最強でありながら魔王は倒せない?』の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参照ください。
マハトの最期 | デンケンとの戦闘や決着後に死亡した
最後はマハトが迎えた最期(死亡)の形について解説します。
デンケンからの攻撃魔法で重傷を負う
一度はフリーレンを匿う集落ごと黄金化させたマハトでしたが、その時点で解析を終えていたフリーレンの手で黄金化を解除されました。
その後はフェルンやシュタルクと一緒に元に戻ったデンケンとの”1対1″の勝負を再開させます。
これまでに習得してきた予備動作や人類の魔法の歴史など、全てを活かした上で挑むデンケンに対してもマハトの優勢が続きましたが…
別の場所(森林地帯)でソリテールと戦っているフリーレンの行動に気を取られます。
その隙を突いたデンケンから放たれた「ゾルトラーク(魔族殺しの魔法)」をマトモに喰らい、思いがけぬ大ダメージを受けてしまいました。
マハトの攻撃でダメージを負い続けてきたデンケンの方が先に倒れたものの、マハトにも戦う力が残っていない状態でした。
そのため、この時点で2人の勝負の結果は「相打ちによる引き分け」と捉えられがちですが…
種族や職業は違えど、かつて戦士アイゼンが自分の弟子(シュタルク)に対して教えた「最後まで立っていた奴が勝つ」という理論で見ると少し違ってきます。
この勝負の後に“死亡したマハト”と“生き延びたデンケン”
このような差や違いにより、本当の結果は「マハトの敗北」と見ることもできます。
アイゼンの強さや生死、ハイターやシュタルクとの関係性については『【葬送のフリーレン】戦士アイゼンは死亡している? | 強さと能力・シュタルクとの師弟関係』の記事で紹介しているので、こちらも参照ください。
最後は再びグリュックと言葉を交わしながら死亡した
原作103話でもはや助からないことを理解したマハトは、デンケンの前から姿を消して街中へと向かいます。
人気のない街中で「ソリテールの死亡」を実感しながらも、マハトから見える”ソリテールの幻”から「共存という思想が危険であること」を諭されながらも、マハトは淡々と否定し続けます。
そのようにソリテールとの会話を交わしながら歩いて辿り着いた先は、かつて自分が黄金化させたグリュックの前…
そこでマハトが自ら黄金化を解除したことで、元の人間の状態に戻ったグリュックと“最後の会話”を交わします。
また、一度は倒れたデンケンも立ち上がった状態で2人の前におり、マハトたちの会話を聞いています。
マハトはグリュックと過ごしたことに対する「楽しかった」という本心を話し、グリュックからの「悪友(とも)よ」というシンプルながらも弔いの言葉を受けながら、マハトの肉体が朽ち果てる形で最期を迎えました…。
ソリテールのかわいい魅力や強さ、研究の理由や結果については『ソリテールのかわいい魅力 | 魔力や強さはフリーレンよりも上?研究の理由や結果について』の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参照ください。
まとめ
今回はマハトの強さや彼が使う黄金化の魔法における本当の恐ろしさについて解説しました。
魔王やフリーレンと同じ望みを持ちながらも道を違えた上、弟子のデンケンに倒されて最期を迎えたマハトは少し不憫にも感じられますね。
確かに彼がやってきた人殺しや村を滅ぼす行為は許されないことです。
しかし少し視点や考え方を変えてみると、マハトもまた「人間との共存」が望み通りに運ばないことで苦悩させられた被害者だったようにも感じられます。
そういう意味ではグリュックの配下となって「人間との交流を深められた30年間」こそ、マハトの人生の中で最も幸せで充実した期間だったのかもしれませんね。
本作品の全巻ネタバレの詳細は「【葬送のフリーレン】原作の全巻ネタバレ解説 | 謎や伏線回収なども考察」の記事を参照ください。
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