漫画、アニメ、映画、と今や誰もがその名前は聞いたことがあるというほど人気作となった『呪術廻戦』。
そんな『呪術廻戦』の作中にあるまだ明かされていない謎の一つに、両面宿儺(りょうめんすくな)と伏黒恵(ふしぐろめぐみ)の関係性があります。
物語の序盤で、宿儺と伏黒の直接対決は早々に実現しますが、その戦いをして以来、宿儺が伏黒を生かそうとする言動が散見できます。そしてついには、伏黒が死にかける事態に陥った際に宿儺が救出に現れるシーンが登場します。
果たして、宿儺はなぜ伏黒を助けるのでしょうか。
目次
宿儺が伏黒を助けるのはなぜ?
宿儺が伏黒を助ける決定的な場面が登場するのが単行本14巻です。
伏黒が重面春太(しげもはるた)と対峙した際に勝機がないと見るや、伏黒は調伏(ちょうぶく)の儀によって自らの命を危険に晒し、八握剣異戒神将魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょうまこら)を呼び出します。
そのまま重面が魔虚羅に殺されて伏黒の死が成立するかと思われた時、伏黒と重面のところへ駆けつけたのがほかでもない宿儺でした。
果たしてなぜ宿儺は、伏黒を助けたのでしょうか。
理由① 伏黒にはまだ明かされていない秘密の力がある
具体的な理由は、明かされていませんが、宿儺の発言からは伏黒を一目置いていると思われる発言が度々登場します。
伏黒と宿儺が初めて戦闘することとなった際には、宿儺は今のように伏黒のことを特別視しておらず、弄ぶように戦っていました。この戦いは虎杖が身体の自由を奪い返したことで決着がつかないまま終わるのですが、そこで一戦を交えて以来、宿儺は伏黒のことを特別視するようになります。
伏黒には現在が明かされている力量以上の何らかの力を持っていることを宿儺は感じ取ったのではないでしょうか。
その証拠に、単行本13巻にて、本能のまま戦い続ける殺戮人形と化した甚爾(とうじ)は陀艮(だごん)を倒した後に、常に強者に立ち向かっていく性質から、伏黒を真っ先に狙う挙動を示しています。
手負いだったとはいえ、その場には、禪院直毘人、七海建人、禪院真希の3人も居合わせていながら真っ先に伏黒のところへやってきたのは、伏黒のポテンシャルがあってこそだったのではないでしょうか。
魔虚羅を呼び出した伏黒に宿儺は『魅せてくれたな 伏黒恵!!』とセリフを吐いたように、間違いなく宿儺は伏黒の実力を認めていると考えて良いでしょう。
理由② 宿儺の復活に利用しようとしている説
宿儺は、ただ強者であるが故に伏黒を生かそうとしているわけではありません。
漏瑚に復活の手立てを語られた際はそれを断り、『俺には俺の計画がある』と断っています。宿儺はすでに復活のための算段が付いているようなのですが、どうもこの計画に伏黒が大きく関係していきそうです。
計画の存在を明かした直後には、漏瑚との条件から『渋谷の人間を皆殺しにしてやろう 一人を除いてな』と、誰か一人を例外として生かそうとしていることが明かされます。
ここでははっきりこの一人が誰かを明かしませんが、漏瑚との戦いの直後に調伏の儀によって現れた魔虚羅ところに現れ、伏黒に対し『死ぬな』『オマエにはやってもらわねばならんことがある』という言葉をかけています。
このことからも、皆殺しから除外しようと考えていた一人とは”伏黒恵”であり、話の流れから推測するに宿儺の復活の計画には伏黒が必要不可欠と考えて良いでしょう。
宿儺の地雷は伏黒恵になった
宿儺が伏黒を特別視しているのは明確なのですが、この関係は戦況にも大きく関わってきています。
渋谷事変を経て夏油の身体を支配している羂索(けんじゃく)の計画に対して、虎杖たちが阻止するべく奮闘するような構図になっていながらも、その羂索ですら宿儺の思惑を警戒している素振りを見せるシーンが登場しています。
伏黒を殺すことを夏油が止めている
問題のシーンが登場するのは、京都姉妹校交流会での一幕。
羂索が呪術高専の所有する6本の宿儺の指と、特急呪物である“呪胎九相図”を盗み出す計画の回想シーンにて、花御(はなみ)が『宿儺の器以外は、殺して良いのですね?』と羂索に質問しています。
この際、羂索は以下のように語っていました。
『いいけど。あまりオススメはしない』
『宿儺の動きがさ、少し私のイメージとズレる』
『これは推測でしかないんだけど、おそらく学生の中に宿儺にとっての地雷がいる』
当時はまだこの真意がはっきりと誰かはわかりませんでしたが、後に登場した宿儺による伏黒の救出シーンの登場で、ここであがっている地雷が伏黒であることが明確となりました。
作中のラスボスのような立ち位置に居る羂索ですら渋る宿儺と伏黒の関係を思うと、もしかすると『呪術廻戦』における真のラスボスはやはり宿儺になってくるのかもしれません。
宿儺が伏黒恵を使って何をするのか考察
さらに踏み込んで、宿儺は伏黒を使って何をするのかを考えてみましょう。
宿儺が言っている伏黒の“やってもらわねばならんこと”とは一体何なのでしょうか。
未だ明かされていない式神を利用しようとしている説
伏黒の得意とする術式といえば“十種影法術(とくさのかげほうじゅつ)”です。
これは影を媒体として、あらかじめ調伏した式神を召喚する術式。
名前に“十種”とあるように10種類の式神が存在し、渋谷事変を終えた時点では、玉犬・鵺・大蛇・蝦蟇・脱兎・満象の6種類を伏黒は操れることが判明します。
そしてここに未調伏であることが明かされた魔虚羅が加わるわけですが、それでも7種類しかその正体は明らかになっていません。少なくともあと3種類の未調伏の式神が存在するようです。
魔虚羅は歴代の十種影法術師が全員調伏できなかったほどの存在であり、かつて五条悟と同じ六眼を持ちの無下限呪術を使う五条家当主の死因ともされる作中の最強クラスの存在です。宿儺もタイミング次第では負けていたかもしれないという存在の魔虚羅は、一見伏黒の扱えない式神の中でも最強ではないかと予想できます。
しかし、もしかすると、残る3種の式神のいずれかは魔虚羅を凌駕する実力の持ち主である可能性もあるでしょう。
それを裏付ける台詞として、魔虚羅と対峙した宿儺は「味見」と称しています。もし魔虚羅以上の存在となるとそれこそ本当に作中でも最強の存在となりえる式神が、実は魔虚羅の他に控えているのかもしれません。
そして宿儺の目的といえば、自身が自由になること。
魔虚羅以上の力を持っているのであれば、宿儺を完全復活させる力を持った式神が存在していたとしてもおかしくないでしょう。
そして、宿儺がいずれはその式神を利用しようと考えているのであれば、諸々の言動がしっくりきます。
宿儺の計画の鍵は、虎杖蘇生の条件
さらに具体的な宿儺の計画を考察する上で、ヒントとなりそうなのが、虎杖が一度死んだ際に虎杖と宿儺の間で交わされた条件にありそうです。虎杖を蘇らせるために宿儺が出した条件は以下の2つです。
- 宿儺が「契闊(けいかつ)」と唱えたら、虎杖は宿儺に1分間身体を明け渡す
- 虎杖はこの約束を忘れる
そして、その条件を警戒する虎杖に対して宿儺はもう一つ「その1分間誰も殺さないし傷つけない」という約束をしています。
後の漏瑚との会話にて、虎杖の肉体の主導権を握るための縛りを設けるという提案に対して『必要ない』の一言で片付けています。以上のことから、宿儺はいずれ1分間のうちに誰も殺さないし傷つけないけども、自身の復活のために何かを行おうとしていることがわかります。
ではこの1分間で何をしようとしているのでしょうか。
『呪術廻戦』の虎杖の目的でもあり、宿儺にとっても完全復活に必要な手立として宿儺の20本の指全てを取り込む、というものがありますが、漏瑚との会話から指自体は欲しているものの、そこまで固執してはいないことが分かります。
宿儺は喉から手が出るほど欲しいというよりも、遅かれ早かれ、指が集まることを悟っているようにも見えます。むしろ宿儺はそれより先の、指が全て集まった際にいかにして虎杖から自由になるのかを見据えているようにも思えます。
ここからは完全に推測となりますが、宿儺はいずれくる1分間で伏黒の呼び出せる未登場の式神の力を借りて、虎杖の身体から自由になろうとしているのではないでしょうか。しかも、条件の中では誰も殺さないし、傷つけないという条件があることから、その式神を調伏させるために1分間の自由を獲得するわけではないはず。
だとすると、伏黒自身に未登場の式神を調伏させた上で、宿儺はその力を利用するのではないでしょうか。
そもそも、虎杖との条件に登場したキーワード「契闊」は、あまり聞きなれない言葉ですが、実際に存在する熟語です。
契闊(けいかつ)とは、別れてから長い間会わないことを表す言葉。そんな言葉をキーワードとするぐらいなので、この1分間という一見短い時間こそ、宿儺にとって虎杖のもとを長く離れることに繋がる重要な時間ではないでしょうか。
そして伏黒が調伏させた式神を利用するということは、何らかの方法で伏黒を服従させていないと成立しない策略です。宿儺には何かしらの伏黒を服従させる手段があるのか。はたまた、宿儺に服従する呪詛師である裏梅(うらうめ)に「準備を怠るな」と宿儺が伝えていることから、この裏梅の準備こそ伏黒に関係することなのかもしれません。
まとめ
宿儺が伏黒を助けようとしているのは、伏黒のことが大切というよりも、宿儺自身の復活、もしくは復活以降の計画のために伏黒が必要なためであり、結局は私欲であることは確実です。
いずれにしても、伏黒が生かされていると安堵するよりも、伏黒に危険が迫っていると考えた方が良いでしょう。
裏梅が渋谷事変以降何をしているのか。
伏黒の残された式神はどんな能力を持っているのか。
そして宿儺は何を企んでいるのか。
これらが明らかになることで、宿儺が伏黒を懸命に生かそうとしている理由の答え合わせができそうです。
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