機動戦士ガンダムシリーズは日本のSFロボットアニメの金字塔として40周年を迎えた現在でも、2022年から2023年にかけて放送された『水星の魔女』の影響で多くの新規ファンを獲得しています。
今回は『機動戦士ガンダム-閃光のハサウェイ-』の主人公として登場したハサウェイについて紹介。
また、鬱病や恋愛を始め、”反地球連邦政府運動”の組織のリーダーとなった末に死亡する結末を迎えたことなど、ハサウェイの人生が大きく狂わされた原因についても迫ります。
『閃ハサ』の人物相関図は「ガンダム閃光のハサウェイの人物相関図!登場人物・キャラクターの一覧を解説」の記事をご覧ください。
目次
ハサウェイ・ノアとは
ハサウェイは一年戦争後に結婚したブライト艦長とミライの息子として生まれてきました。
また、ハサウェイの後には妹のチェーミンも生まれています。
ハサウェイのプロフィール | 少年期から数奇の出会いと運命を辿り始める
年齢 | 7歳(Zガンダム)→13歳(逆襲のシャア)→25歳(閃光のハサウェイ) |
出身地 | 地球 |
血液型 | A型 |
別名 | マフティー・ナビーユ・エリン |
搭乗機体(MS) | ジェガン(逆襲のシャア) メッサーF02型(閃光のハサウェイ) Ξガンダム(閃光のハサウェイ) |
地球連邦軍で歴代ガンダム作品で艦長を務めてきた英雄ブライトの息子として生まれたハサウェイは『Zガンダム』本編で母親(ミライ)や妹(チェーミン)と共に初登場を果たし、当時はまだ7歳でした。
(初登場時には”アムロとミライの再会シーン”として描かれており、この時点でアムロとも出会っています)
父親のブライトが宇宙でアーガマやラーカイラムの艦長としてティターンズやアクシズ、そしてネオジオンと戦う中、ハサウェイはミライやチェーミンと共に地球のニューホンコンで暮らしてきました。
しかし、13歳に成長した時に母親たちと離れて1人きりで上がった宇宙で体験した「クェスとの出会いと死別」により鬱病を発症してしまいます。
シャアの反乱後のハサウェイの生活
無断での出撃ではあったものの、ハサウェイもまたアムロやチェーン、そしてクェスと同じ戦場に出ており、その時にクェスとの死別で放心していましたが、アムロとνガンダムにより起こされた”アクシズショック”の状況も離れた場所から見届けていました。
その後に連邦に保護され、無断で出撃した罪を不問とされた上、父親(ブライト)の采配によって地球へ降りて“植物監査官の候補生”として活動させてもらえることになりました。
この時期は『逆襲のシャア』から『閃光のハサウェイ』までの”空白の12年間”となりますが、この長い年月の中で地球でケリアやマンサン教授と出会って交流を深める中、マフティー・ナビーユ・エリンの実質的な黒幕であるクワック将軍とも出会い「マフティーへの加入」を決意したわけです。
マフティーのリーダーとしてテロ活動を続けていく
クワック将軍との出会いがキッカケでケリアと共にマフティーに加入したハサウェイは“組織のリーダー“として、同じメンバーのガウマンやエメラルダ達と共に「反地球連邦政府運動」を続けていきます。
しかし、その活動内容は“連邦の要人や閣僚たちの暗殺”が中心であり、そのやり方はテロリストと変わりません。
さらに、ハウンゼンで出会ったギギやケネスとも、これまで出会ってきた人達(アムロやクェス)とは、また違う形で人間関係を築いていきますが、2人からは後に「ハサウェイこそが“マフティー”」と勘づかれてしまいます。
そんな2人との奇妙な人間関係が、テロ活動を続けるハサウェイを破滅への道へ誘っていきますが…
この時点でのハサウェイ自身は知る由もありませんでした。
ハサウェイの声は声優「小野賢章さん」が担当
『閃光のハサウェイ』でハサウェイ役を担当している声優さんは「アニモプロデュース」に所属している小野賢章さんです。
小野さんは4歳の頃から子役デビューされ、多くの舞台やTVドラマに出演されてきました。
さらに『ハリー・ポッター』の吹き替えなどもこなしており、TVアニメでは2006年に放送された『ツバサ・クロニクル』のカオス役で声優デビューを果たされました。
小野賢章さんの代表作(キャラクター)は、以下のとおりです。
- 『黒子のバスケ』黒子テツヤ役
- 『終わりのセラフ』百夜ミカエラ役
- 『文豪ストレイドックス』芥川龍之介役
- 『スパイファミリー』ユーリ役
ハサウェイの搭乗機と能力 | 最後に敗北した理由
ここではハサウェイの強さや能力を劇中で搭乗したMS(モビルスーツ)と合わせながら解説していきます。
ハサウェイのMS操縦能力は努力と吸収の早さ
ブライトとミライの血を継いで生まれただけあり、ハサウェイは少年期の頃からMS操縦における素質を発揮してきました。
ただ、ハサウェイの操縦能力は『逆襲のシャア』の頃に積んできた訓練の賜物です。
ラーカイラムでのシミュレーションではクェスと互角の成績(3機を撃墜)を出したものの、純粋なニュータイプ能力においては彼女よりも大きく劣っていました。
また、ローンまで組んで購入したモビルポッド操縦を始めたばかりの時は完全に振り回されていた状態です。
それでも短期間でモビルポッドの操縦に慣れた上、無断で搭乗したジェガンで出撃した初陣では、早くもギラドーガ1機を撃墜しました。
このような戦果を才能と捉える人も多く、確かにブライトとミライの血を継いで生まれたハサウェイには2人の才能も少なからずあったはずです。
しかし、ハサウェイの操縦能力は才能というよりは、これまでの“努力の賜物”と飲み込みの早さと似た“吸収性の早さ”の方が大きかったのではないでしょうか?
それから12年もの時を経て、これらの訓練や戦闘経験を積んできたことも活かされる形でΞガンダムの性能もフルに発揮できていたものと思います。
ハサウェイのニュータイプ能力を引き出した人物
ハサウェイにもニュータイプの素養があり『逆襲のシャア』や『閃ハサ』でも、そのような場面や描写も複数にわたって描かれました。
このようなハサウェイの能力の開花には、やはり「クェスとの出会い」が大きく、彼女と一緒に過ごしたことや、いきなり離れ離れにされたことが皮肉にもハサウェイの中で眠っていたニュータイプ能力を目覚めさせてしまったと言えます。
しかし、この能力の開花がハサウェイの精神を壊す引き金となってしまい「クェスとの死別」まで経験させられたことで鬱病まで発症させてしまったわけです。
父親(ブライト)の采配によって地球で”植物監査官の候補生”として数年は穏やかに過ごせたものの、結局はハウンゼンで出会ったギギの声からクェスの面影が蘇ったことで再び苦悩させられます。
そのため、ハサウェイがニュータイプ能力に目覚めたことは不幸な結果が多かったものの、それでもΞガンダムに搭載されたサイコミュとの相性も抜群に取れた点も否定できません。
少年期の頃から培ってきたMS操縦能力と潔さに加え、ニュータイプ能力の素質もレーンより上回っていました。
また、Ξガンダムやファンネルミサイルの性能をフル活用できただけでなく、レーンでは考えつかないような戦法まで実行できた結果、劇中で幾度ものペーネロペー戦に勝利できたわけです。
ハサウェイが最後の作戦と戦闘で敗北した理由
ハサウェイおよびマフティーにとって最後の作戦の場となったアデレート空港での戦闘の末、彼はケネスの発案で仕掛けていた“ビームバリア地帯の罠”にかかり、機体ごと捕らえられてしまいました。
この作戦中で繰り広げたペーネロペー戦でもハサウェイが勝利した一方、ケネスの作戦内容やレーンの行動の真意まで見抜けず、逃げるフリを続けるペーネロペーを追いかけ続けた結果、捕らえられる形で“自身の敗北”を招いてしまったわけです。
もしも、このアデレート空港の作戦でΞガンダムに搭乗していたパイロットがアムロやカミーユ、そしてバナージのような高いニュータイプ能力をもつ者であれば、ケネスが仕掛けていたビームバリア地帯に入ってしまう前に「危険を察知しながら侵入を踏み止まっていたはず」です。
しかし劇中でのハサウェイはそのような危険予測もできず、ペーネロペー撃墜ばかりに意識が向かい、追い続けてしまったわけです。
そのため『閃ハサ』の最終戦ではハサウェイのニュータイプ能力は決して高くなかったことと“冷静さや注意力の乏しさ”が浮き彫りとなる結果で終わりました。
さらに、ハサウェイには“マフティーのリーダー”となったことでの重圧や責任感も大きくのしかかっていた点や、これまでの作戦や戦闘でジュリアやエメラルダを始めとした大切な仲間たちを死亡させてしまったことへの“負い目”や“罪悪感”も大きかったかもしれません。
バナージのその後に関しては「【機動戦士ガンダムUC】バナージが死亡しなかった理由|その後やミネバとの結婚も考察」の記事を参照ください。
ハサウェイの死亡と結末について
機体ごと捕らえられたハサウェイは逃げることも出来ぬまま、ケネスが弾いた銃弾により死亡する結末を迎えました。
しかし、この時点で『閃ハサ』の物語が終わったわけでなく、その後には“情報操作”などによる「連邦の腐敗」なども見られています。
ハサウェイの処刑を行なった人物はケネス
ハサウェイの処刑および死亡させた人物は紛れもなくケネス推将でした。
ケネスは軍人として、そして人間としての責任も負う意味で、拘束したハサウェイに向けて自ら銃の引き金を弾いたのです。
しかし処刑後には、連邦側の情報操作により「父親(ブライト)がマフティー(ハサウェイ)を処刑した」という偽情報が流されてしまったわけです。
「ブライトが”ハサウェイを銃殺した”」という偽情報が流された理由
連邦側が流した偽情報のために、世間では「父親のブライトが”マフティーを殺した”」と認識されてしまいました。
この偽情報は、ケネスのミスによって「マフティーの正体」を知った連邦のメジナナウム大将が、その情報をマスコミに流したことが原因でした。
さらに連邦側は、この偽情報を使ってブライトに汚名を着せようとまで企んでいましたが、それが裏目に出てしまい、逆に情報操作した連邦側が世間からの非難を浴びせれる結果となりました。
また、連邦側はブライトに汚名を着せることで、彼が目指していた「政治家への道」を阻もうとまで考えていました。
一年戦争からラプラス事変にかけて、アムロを始めとしたニュータイプと共に戦ってきたブライトは自ら政治家になることで「ニュータイプを中心に改革を進めていく理想」を抱いていました。
(妻のミライとレストランを開くことも”政治家になるための勉強”とされています)
しかし、連邦の官僚たちにとっては政治家となったブライトにより“ニュータイプ優遇の社会”に変えられること以上に「これまで自分たちが隠蔽してきた不祥事」をブライトの口から世間に公表されることを恐れていた」というのが最も大きな理由でした。
ちなみにブライトは『閃ハサ』本編が開始される前の時点で軍に自分の退職届を出していたにも関わらず、2年間も放置され続けてきたそうです。
劇場版アニメでもハサウェイの銃殺と死亡は免れない?
原作を読破済みの人達の中には、劇場版アニメに対して「ハサウェイを最後まで生き残らせてほしい」という希望や願望を抱くファンも多いらしいです。
確かにハサウェイも戦争や数奇の運命に巻き込まれた被害者の1人であり、最後には銃殺刑で殺される結末では、あまりにも救いがありません。
三部作の構成で制作開始された劇場版がまだ第一部しか公開されていない現在であれば、次の第二部から少しずつ原作とは違うストーリー展開で進めていき、第三部の結末も変えることでハサウェイを最後まで生き残らせることも可能でしょう。
しかし、それは新訳Zで最後の場面だけを真逆に変えて無理やりハッピーエンドにさせたことと変わりませんし、それこそ多くのガンダムファン達が望まないはずです。
新訳Zの結末に対する非難の意見や評価が多く挙げられたことは制作側も熟知しているはずな上、せっかくアニメ化を果たせた『閃ハサ』だからこそ、本編も結末も原作に充実な内容で制作すべきと思います。
また、公式側から第二部では「原作になかった場面や展開も追加されること」が発表されたものの、それらはあくまでも“原作のストーリーや人間関係に支障が出ない程度“に留められるはずです。
そのため「ハサウェイの銃殺刑と死亡」は劇場版アニメでも免れることはできないと思います。
また、そのような”IF展開”は、今後のGジェネやスパロボ等のゲーム作品の方に期待した方が賢明とも言えます。
ハサウェイの恋愛事情 | ギギやケリアと結ばれずに終わった理由
悲劇的な結末を迎えたハサウェイは、女性キャラ達との恋愛関係でもかなり苦労してきた男性の1人です。
ここで、深い関係性にまで進展しながらもギギやケリアと結ばれなかった理由について迫ります。
ギギと惹かれ合いながらも結ばれなかった理由
ハサウェイは『閃ハサ』本編開始時に搭乗したハウンゼンで出会ったギギと惹かれ合いながらも、結局は恋人同士として結ばれないまま別れました。
確かにホテルの同室やガウマン達が始めた襲撃作戦の中、ハサウェイはギギのことも懸命に守りながら避難しましたが、この2人が惹かれ合ったのは恋愛的な感情ではなく「ニュータイプ同士による共鳴」に近いものでした。
他シリーズ作品のキャラクター達で例えると、ファーストのアムロとララァの関係性に近いと思います。
さらに、この2人には“お互いの見え方”もかなり気まずいものがありました。
ギギがハサウェイの正体をマフティーと見抜いた一方、ハサウェイの方もギギの声や姿に「死別した初恋の女性(クェス)」を何度も見てしまっていたのです。
また、そのことでハサウェイの方が強く警戒してしまい、2人の心の距離があまり埋まらなかったことも原因と言えます。
さらに、ハサウェイの方はこの時点でマフティーのリーダーとして多くの仲間たちも抱える身です。
『逆シャア』の頃のように正規の軍人でも組織にも所属していないフリーな身であるなら、クェスの時みたいに自分の想いや感情に任せて動いていたでしょうが…
『閃ハサ』でマフティーとして活動する中でそんなことをすれば、一瞬の恋心や迷いだけでギギへの接近を繰り返すだけでも仲間たちの被害に繋がり兼ねませんからね。
そのため、一度は別れてウルル付近にまでギギの方から接近してきた時も、クェスの時とは違って極限にまで自制した結果、この時点で“ギギとの永遠の別れ“をしたわけです。
ギギとの出会いや再会がケリアとの別れも迎えてしまう
クェスやギギとは違い、一緒にマフティーに加入したケリアとは一度は”恋人同士”の関係性にまで進展しました。
ケリアは”植物監査官の候補生”として地球に降りた頃から「鬱病を抱えたハサウェイの主治医」として、大きな助けになってくれた女性です。
そのため、本来はこのまま結婚して結ばれるべきはずでしたが、ケリアの方が「非合法地球居住者」であることが大きな壁となっていたために結婚にまでは辿り着けませんでした。
さらに、その後に植物観察官としての教官(マンサン)を通じてクワック将軍と出会ったことがキッカケでマフティーに加入したわけです。
それでもケリアもハサウェイと一緒に加入して一緒に過ごしてくれたものの、彼を追いかけてきたギギと向き合うハサウェイの姿を見たことにより、ケリアの方から配置換えを申し出たことで完全に距離を置かれてしまいました。
この時のハサウェイは作戦などの方に精一杯で気づいていなかったと思いますが、この時点で「ケリアとも完全に破局した」ということです。
そのため、仮にハサウェイがアデレート空港での戦闘や作戦中、ケネス達に捕まらず生きて帰還できていたとしても、ケリアとの復縁はほぼ不可能だったはずです。
ハサウェイの人生を狂わせた張本人は母親(ミライ)
ハサウェイの人生を狂わせた人物として、真っ先に「クェス」の名前を挙げる人が多いと思います。
しかし、ハサウェイの人生を本当に狂わせた張本人は母親のミライだった感もあります。
クェスやギギは、あくまでもハサウェイが宇宙に上がってから出会った女性たちであり『逆襲のシャア』でミライがハサウェイを1人きりで宇宙に上げさせなければ鬱病の原因となった「クェスとの出会いや死別」を体験させられることもなかったわけです。
確かにミライさんの「息子に早く宇宙を体験させたい」という気持ちも分からなくもないですが…
それを実行させた時期とタイミングがあまりにも悪すぎたとしか言いようがありません。
劇中ではシャアによる隕石落としや戦争が激化してきた状況、さらにアデナウナー参謀次官が横入りしてきたせいで親子3人揃って宇宙へ上がれなくなった事情もありましたが、それならばハサウェイもひとまずは一緒に地球に留まらせておくべきでしたね。
まとめ
今回はハサウェイの人生(空白の12年間)を始め、搭乗機体も合わせての強さと能力を紹介しました。
また、マフティーのリーダーとして活動を続けた末に迎えた銃殺および死亡、そしてハサウェイの人生をこれ程までに狂わせた原因を作った人物についても迫りました。
確かにハサウェイ自身も戦争の被害者であり、連邦の腐敗を正したい思いで仲間たちと共に活動してきた気持ちも分からなくはありません。
それでも自分たちの活動によって無関係な民間人たちも巻き込んだ事実には変わりなく、ケネスにより処刑されたこともまた“当然の報い”であったことも否定できません。
そのため、ハサウェイが迎えた結末は完全に不幸だったわけでなく「ケネスの采配と“己の死”」という形でハサウェイ自身の辛い人生にも、やっと終止符を打ってもらえたとも捉えられますよね。
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