『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』は宇宙世紀を舞台とした新たなシリーズ作品として月刊ガンダムエースで連載されていた小説作品です。
原作の完結後にはOVAやTVシリーズとして、アニメ化も果たしました。
本記事では、マリーダの正体や過去を紹介。
さらに、最後の死亡時に残した名言の意味やキャラクターとして高い人気を誇る理由にも迫ります。
本作品の人物相関図は「機動戦士ガンダムUCの人物相関図!登場人物・キャラクターの一覧を解説」の記事をご覧ください。
目次
マリーダ・クルスとは
マリーダは、ネオジオン残党「袖付き」の中で、ミネバの護衛を任務とする“ガランシェール隊”に所属している強化人間です。
ただ、過去シリーズ作品に登場したフォウやロザミア達とは、また違うタイプの強化人間であることも大きな特徴です。
(その辺りの詳細は正体も含めて、後の項目で説明します)
マリーダのプロフィール
生年月日 | U.C.0080 |
年齢 | 18歳 |
階級 | 中尉 |
搭乗機体(MS) | 量産型キュベレイ(ガンダムZZ) クシャトリヤ バンシィ クシャトリヤ・リペアード |
マリーダは出生から過去において壮絶な人生を送らされてきた中、ジンネマンから救い出されたことをキッカケにガランシェール隊に配属されました。
ガランシェールの艦長および部隊長でもあるジンネマンを「マスター」と呼んでは、自身が与えられた任務を冷静にこなしていきますが、この2人はまるで本当の親子かと思わせる程の固い絆や信頼関係で結ばれています。
マリーダの性格 | 大人びた冷静さと精神面の不安定さを併せもつ
ミネバの護衛やクシャトリヤに搭乗してのMS戦を始め、普段は冷静かつ着実に任務をこなしていくマリーダですが、強化人間ゆえに精神面の不安定さも併せ持っています。
特に、戦闘中にユニコーンのようなガンダムタイプを見た途端、取り乱しながら「ガンダムは敵」と叫び始めるのです。
これにはマリーダ自身が、かつてのマスターであったグレミーにより擦り込まれたためであると同時に、自身のマスター無しでは精神の安定を保てなかったためです。
マリーダの声は声優「甲斐田裕子さん」が担当
マリーダの声を担当している声優は「賢プロダクション」に所属している甲斐田裕子さんです。
中学生時代の演劇がキッカケで芝居の楽しさを抱くようになり、海外ドラマ『シナリオライターは君だ!』の吹き替えで声優デビューを果たされました。
甲斐田裕子さんの代表作(キャラクター)は、以下のとおりです。
- 『蒼穹のファフナー』生駒祐未役
- 『とらドラ!』狩野すみれ役
- 『とある科学の一方通行』黄泉川愛穂役
- 『真・一騎当千』呂蒙子明役
マリーダの正体 | プルのクローン体で強化人間
マリーダの正体は、第一次ネオジオン戦争の終盤で運用されたプルシリーズ(エルピー・プルのクローン体)の1人として造られた強化人間です。
その11体目ゆえに「プルトゥエルブ」というコードネームで呼ばれていました。
グレミー率いるニュータイプ部隊に編成されていた
マリーダはプルシリーズの1人として、ハマーンに反旗を翻したグレミー率いるニュータイプ部隊に編成されました。
そして『ガンダムZZ』終盤から他のプルシリーズ達と一緒に量産型キュベレイに搭乗する形で、プルツーの搭乗するクィン・マンサの随伴機として出撃していたのです。
マリーダ達が搭乗させられた量産型キュベレイには試作機の3倍もの量のファンネルが搭載された上、背部にもアクティブカノンを装備されていました。
これらの装備による火力アップと、マリーダ達のサイコミュ能力を組み合わせた戦法により、ハマーン正規軍やジュドー達ガンダムチームにも圧倒的な戦力を見せつけています。
しかし『ガンダムZZ』最終話の冒頭場面で、キャラ・スーンのゲーマルクと相討ちする形で退場となりました。
『ガンダムZZ』ではマリーダ自身の顔までは出ていなかったものの、クローンとして造られた以上、当時はプルやプルツーと同じ容姿だったはずです。
プルシリーズの中で唯一の生き残りだった
キャラとの相討ちにより全滅したかのように見られたプルシリーズでしたが”プルトゥエルブ”ことマリーダだけが奇跡的に生き残っていました。
しかし、この時点では自分のマスターであったグレミーも死亡していた上、この後から戦闘以上に苦しい人生を歩まされてしまいます。
マリーダの過去 | 子供が産めない理由とは
マリーダの過去はOVAの3話や4話でも明かされましたが、アニメ版では細かい内容までは暈された表現方法で描かれていました。
しかし原作小説(4巻)の方では、アニメ版で暈された説明内容においてもハッキリと執筆されています。
過酷な売春を強いられた中でジンネマンに助けられた
マリーダは第一次ネオジオン戦争後も漂流を続ける中、悪質なジャンク屋に拾われてしまったことが不幸かつ壮絶な過去のキッカケとなります。
そのジャンク屋により、まだ10歳程の年齢しかないマリーダは非合法な娼館(売春宿)へ売り払われてしまいます。
そのような店に売られた以上、本人の意思に関係なくお客を取らされては不本意な性行為をさせられる日々を送りますが、そのような生活を続けさせられる中でジンネマンと出会い、彼に引き取られる形で助けられました。
子供を産めない身体にされた理由とは
マリーダが子供を産めない身体にされた理由とは、売春生活の中でろくに避妊もさせてもらえないまま、お客たちとの性行為を強要を続けさせられる中で、妊娠と中絶を何度も繰り返してきたためです。
ジンネマンに助けてもらえたことが不幸中の幸いと言いたいところですが…
時は遅く、ジンネマンにより助け出された時には、既に「子供を産めない身体」にまでされていたようです。
パラオから脱出したバナージによってネェル・アーガマへと連れられた時、レイアム中佐からの報告内容では「女性としての機能が働いていない」という言い方に変えられていましたが、
これは同じ女性としての心遣いであると同時に、10代以下の視聴者への配慮によるものとおもいます。
マリーダが死亡時に残した最後の名言の意味とは
リディの攻撃からネェル・アーガマを庇う形で死亡したマリーダですが、その死亡時に複数もの名言を残してくれました。
ここではマリーダの名言の一部を紹介しながら、それらの台詞の意味や効果について迫ります。
マリーダがジンネマンを”父”や”光”と呼んだ理由とは
マリーダの残した死亡時の名言の中でも、ジンネマンに対して話した台詞を真っ先に挙げるファンも多いかと思います。
マリーダ「あなたは私の光…もう一度、私を生んでくれた光でした」
マリーダにとって娼館での生活はMS(モビルスーツ)で戦場に駆り出されていた頃以上に苦しく、まだ生きてはいながも殆ど死んでいる状態と変わらなかったはずです。
そんな苦痛な生活から救い出してくれたジンネマンは、マリーダにとって本当に救いの“光”に見えていたと思います。
さらにストーリー前半ではジンネマンを”マスター”と呼んでいましたが、バナージ達との戦闘を経てからは「お父さん」という呼び方に変わっていました。
ちなみに、マリーダの名前もジンネマンが死亡した愛娘“マリィ”の名から取ってつけられたものです。
お互いに血は繋がっていなくても「マリーダ」という名前として新たな人生を与えてくれたジンネマンは、マリーダにとって正に父親のような存在だったのです。
マリーダの名言がリディやミネバをも動かした
マリーダの強い想いがこもった名言はジンネマンだけでなく、バナージを始めとして、リディやミネバにも充分に伝わっていました。
バナージへの強い嫉妬や劣等感により一時的に狂気へと変わってしまったリディに対しては、彼の中にある「生真面目さ」を指摘しながら、リディを正気へと戻してくれます。
さらに、ジンネマン達と一緒にネェル・アーガマにいたミネバに対しても、自分ができる最後のアドバイスとして「お心のままに…」と告げています。
これは勿論「自分の気持ちに正直になって動くこと」を願っての台詞だったと思います。
そして、この台詞があったからこそ、ミネバもバナージと共にメガラニカへ向かった上、最終話ラスト場面でも自身の正体を堂々と明かした上でラプラス宣言を実行できたようにも感じています。
ミネバのラプラス宣言やバナージ達との関係性については「【機動戦士ガンダムUC】ミネバの声優・演説の意味|封印やバナージとの結婚についても考察」の記事を参照ください。
マリーダの死亡と名言で最も救われたのはバナージ
マリーダ自身の死亡や名言により、最も救われたのがバナージだったと思います。
ストーリー初期では生身でも機体で向き合う時にも争うばかりの2人でしたが、パラオでの会話から2人の関係性が大きく変わっていきました。
「正しさが人を救うとは限らない」など、バナージに対して戦争の非常さを教えたこともあれば、いつか来るであろうチャンスを活かすため「迷わずガンダムに乗れ」と背中を押してくれることもありました。
その末、アンジェロがローゼンズールで放ったサイコフィールドの中に閉じ込められたバナージを救ってくれたのも皮肉にも“マリーダの死亡”をバナージ自身が直感したためです。
さらにコロニーレーザーを止めるため、ユニコーンのサイコフレームと完全に一体化したバナージを引き止めてくれたのもマリーダでした。
マリーダ「どんな絶望の中にも、希望は生まれる」
最後には、バナージのことも“光”に例えて呼びかけながら、今後はミネバと共に人類たちの未来を照らしていくように諭します。
確かにバナージを救ったのにはリディやミネバからの声、さらに父親(カーディアス)の魂もありましたが、マリーダからの声こそがバナージを再び現実に引き戻してくれた最も大きなキッカケを与えてくれたように感じます。
バナージのその後に関しては「【機動戦士ガンダムUC】バナージが死亡しなかった理由|その後やミネバとの結婚も考察」の記事を参照ください。
マリーダが人気の理由 | 多くのファン達から支持された要因
マリーダは、その魅力的なキャラクター性により『ガンダムUC』の中だけに留まらず、歴代シリーズ作品に登場してきた女性キャラ達にも負けない人気を誇ります。
ここでは、そんなマリーダの人気や魅力について迫りたいと思います。
美しい顔立ちにより可愛さとカッコ良さを併せ持つ
マリーダの魅力として真っ先に、その美しく整った顔立ちによる美貌を挙げるファンも多いと思います。
OVA版の2話でバナージと話す時には、その顔立ちを堪能できる故、素直に「綺麗」または「かわいい」と感じられますよね。
さらに、ミネバ奪還やクシャトリヤに搭乗しての戦闘シーンも含んだ任務中には「カッコよさ」も感じられるわけです。
これらの魅力により、バナージやミネバと同じ10代のファン達からは「綺麗で頼れるお姉さん」のような印象を抱きながら憧れを抱いた人も多かったはずです。
大人びた顔立ちや性格とのギャップもかわいい
マリーダは顔立ちに加えて、普段の性格も大人びています。
しかし、ジンネマン達と再びネェル・アーガマに入って保護されていた時には、これまでとは真逆な行動や台詞も言うようになります。
OVA版の6話では自分に課せられた薬の不味さに根を上げてバナージに協力を頼んだ上、そのバナージから好きな物を聞かれた時に、真顔で「アイスクリーム」と答えました。
大人びた顔立ちや性格に加えて、これまでのマリーダとは想像すらつかない行動や台詞による大きなギャップもまた、ファン達を惹きつける要因となったはずです。
バナージの辛さに共感しながら慰める姿には母性まで感じられる
マリーダの魅力として、苦悩するバナージを慰めてくれる場面も外せません。
特にネェル・アーガマ内でバナージを抱きしめながら慰めると同時にアドバイスまでしてくれた姿には「母性愛」まで感じてしまい、まるで自分のお姉さんやお母さんから慰められているような感覚に陥らされます。
マリーダもまた”プルトゥエルブ”として勝手に作り出された挙句、卑劣なジャンク屋や娼館のせいで壮絶な人生を送らされてきた故に、バナージの辛さにも共感しながら、しっかりと向き合ってくれたわけですね。
まとめ
今回はマリーダの性格を始め、正体や過去を紹介しました。
さらにジンネマンやバナージに対して死亡後に伝えてくれた名言の意味や、ファン達から絶大な人気を得ている理由についても迫ってみました。
出会ったばかりの頃はバナージと敵対していたマリーダでしたが、パラオでの会話や戦闘中での共鳴なども経たことにより、最終的には最もバナージとミネバを導いてくれたキャラクターだったと思います。
もしも普通の少女として生まれて、戦争とは無縁な生活を送れていたなら、恋人や友人たちと一緒に大好きなアイスクリームを堪能しながら幸せな生活も送れていたのでは…
そのように考えてみると、最後に死亡した結末に対しては本当に切なく、やるせなさも感じてしまいますよね。
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