『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』は『ガンダムUC』の1年後の時代を舞台に描かれ、2018年12月に上映されたシリーズ作品です。
さらにテレビシリーズ『水星の魔女』第1クール最終話の後、2023年3月にテレビサイズ化する形で『閃光のハサウェイ』や『サンダーボルト』に続く形で放送されました。
本記事では『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』の人物相関図を作成してみました。
既に劇場版の方で視聴済みの人達は復習用に、これから初めて本作品に触れる方々にはキャラクターたちの関係性を把握するための予習に役立てていただけると幸いです。
『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』の人物相関図
『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』は『ガンダムUC』の原作小説の追補ストーリーとして執筆された「不死鳥狩り」をモチーフに、新たな戦争も取り入れながら”1本の映画”として制作されました。
“奇跡の子供たち”と呼ばれた3人の主人公やヒロインを中心に展開される戦争や人間関係が魅力的な作品です。
奇跡の子供たち
まずは、本作品の主人公であるヨナ、リタ、ミシェルの3人から紹介していきます。
この3人は一年戦争の幕開けともなった“ジオン軍のコロニー落とし”を事前に察知したことで多くの人々を救ったために大衆から「奇跡の子供たち」と呼ばれるようになりました。
(この時代の3人の年齢はまだ8歳で、プライマリースクールの2年生でした)
しかし、コロニー落としそのものを止められたわけでなく、その後は3人とも家族を失って戦災孤児となります。
そして、一年戦争終結後にはニュータイプ能力の素養を見込まれた上で、地球連邦軍のオーガスタ研究所で強化人間の処置を受けていました。
ただ、3人の中で実際にニュータイプ能力を発現していたのはリタだけであり、他2人はリタを通して、コロニー落としのイメージを見せられだけに過ぎなかったのです。
また、3人が15歳に成長したグリプス戦役(『Zガンダム』の時代)が終盤に入った頃、ヨナとリタを救うため、ミシェルがルオ商会の養子となった時から3人は離れ離れとされながら別々の運命を辿り始めていました。
ヨナ・バシュタ
年齢 | 25歳 |
階級 | 少尉 |
搭乗機体(MS) | ディジェ ナラティブガンダム ユニコーン3号機フェネクス |
CV | 榎木淳弥(本編) 中村文徳(8歳の頃) |
本作品の主人公の1人で、地球連邦宇宙軍に所属するMS(モビルスーツ)パイロットです。
“マーサ捕獲作戦”にてディジェに搭乗する形で初の実戦を経験後、ミシェルにより「ナラティブガンダムの専属パイロット」に指名された上でシェザール隊に編入する形で「不死鳥狩り」に臨みます。
しかし、パイロットとしての能力は中の上程度であり、精鋭揃いのシェザール隊のメンバー達よりは劣ります。
また、シェザール隊も作戦の真意まで聞かされていない関係により、隊長(イアゴ)から強く問い詰められることもありました。
イアゴやミシェルに対しても素っ気ない態度で対応することも多いため、彼らからの怒りを買うこともありますが、作戦における“フェネクスの捕獲”に対しては誰よりも強い執念をもっています。
それはヨナの過去が原因であり3人揃って研究所にいた15歳の頃、ミシェルから提案された「自分たちが研究所から逃れて救われるための方法」に乗ったことが発端です。
この時にミシェルからの提案を受け入れ、不本意ながらもリタを見捨てた(救えなかった)ことへの「強い悔恨と罪悪感」が、ヨナの中にある「リタやフェネクスへの執念」を強く燃やしているのです。
ヨナがニュータイプ能力を開花させられた理由とは
ヨナはリタと違ってニュータイプの素養をもたず、基本的にはオールドタイプのパイロットです。
ナラティブガンダム搭乗時に他パイロットたちと大きく違うタイプのスーツを着用していたのも、本機に搭載されたNT-Dを発動させるために必要なことだったのです。
とはいえ、NT-D発動後はユニコーンに搭乗し始めた頃のバナージと同じく、ヨナ自身は“パーツの一部”という扱いとされ、自分の意思で操作できなくなる時もありました。
しかし、サイド6の学園コロニー(メティス)でゾルタンと交戦中、フェネクスで助けてくれたリタとの接触によりナラティブに搭載されたサイコフレームを介することで、ヨナにもニュータイプ能力が一時的に開花されたこととなります。
また、終盤で乗り換えたフェネクスの性能をフル活用しながらゾルタンのシナンジュやネオ・ジオングを倒せたのもサイコフレームを介しながら、リタとミシェルの力を借りることが出来たためとされています。
バナージに救われたことで死亡せずに済んだ
劇中ラストまでヨナが死亡せず生き残れたのには「バナージに救われたこと」が大きな要因にもなっています。
ゾルタンからの攻撃で損壊させられるナラティブから脱出しながらフェネクスのコクピットへ飛び乗ろうとした時の助太刀や、ゾルタン戦が終わりフェネクスのコクピットから放り出されたヨナを拾い上げてくれた人物もバナージだったのです。
リタ・ベルナル
階級 | 少尉 |
搭乗機体(MS) | ユニコーン3号機フェネクス |
CV | 松浦愛弓 |
主人公の1人かつ、本作品のヒロイン枠の少女です。
ヨナやミシェルとは15歳の頃までは同じ地球で一緒に過ごしてきた幼馴染であり、3人の中で唯一ニュータイプ能力をもっていました。
リタのニュータイプ能力は幼少期から目覚めており、劇中の序盤でヨナやミシェルに見せた”ジオン軍のコロニー落とし”による映像もリタの能力により予見されたものです。
ヨナやミシェルと離れ離れとされた後も密かに被験者としての人体実験を受け続けており、宇宙世紀0095年にその能力を見込まれた上でフェネクスのテストパイロットに選ばれたものの、その機動実験中に暴走事故を起こしながら行方不明となっていました。
それから2年後、ヨナたちの前に再び現れたもののヨナやミシェル、さらにジオン共和国のモナハン大臣からも捕獲の標的とされてしまいます。
しかし、そんな状況の中でもゾルタンに殺されそうになるヨナを助けてサイコフレームを介して接触しながら「Ⅱネオ・ジオングを倒すことの協力」をお願いしてきます。
実は8歳の頃から「自分たちに将来降りかかる厄災や結末」を予見しており、ゾルタンのⅡネオ・ジオングを倒すためには「自分たち3人が必要」であることも悟った上でヨナへの協力申請を行なっていたのです。
リタが死亡した時の年齢は23〜24歳辺り?
本編の開始時までは”生死は不明”と扱われてきたリタですが、実際には本編の時代では既に死亡していたことが終盤になって明かされます。
リタはフェネクスと共に消息を絶っていたため、劇中では回想シーンのみ且つ、まだヨナやミシェルと一緒に過ごせていた8歳や15歳の頃の姿のみでの登場でした。
その一方で後半では実際にフェネクスのコクピットに乗り込もうとするリタの後ろ姿だけは見られており、本編でのヨナたちの年齢から逆算すると、当時のリタは23歳ほどと思われます。
その後に起きた暴走事故で宇宙を彷徨う中でリタ自身の身体が耐えきれず、リタはフェネクスの中でそのまま死亡した可能性が高いです。
(フェネクスの速さに振り回されるリタがどんなに粘っても、以って1年ほどがやっとだったはずです)
リタ死亡後もフェネクスが宙域を動き回れているのは、死亡および肉体を失ったリタの魂や思念がフェネクス本体のサイコフレームとの融合を果たしていたためでしょう。
肉体や生命力を失ってもフェネクスやサイコフレームを介してヨナに接触できたのもまた、リタの思念がフェネクスの中に強く残り続けていたためと思われます。
ミシェル・ルオ
年齢 | 25歳 |
旧姓 | アベスカ |
CV | 村中知(本編) 横溝菜穂(8歳の頃) |
主人公の1人にして、本作品の黒幕でもある女性です。
グリプス戦役の終盤時、ヨナやリタを救うために自分からニュータイプであることを名乗り、ルオ・ウーミンの次女(養女)となりました。
そして本編の時代ではニュータイプを演じながら統計学を応用した占いで数々の危機を事前に言い当てることで多くの人々を救ってきました。
ミシェルの占いによる功績は養父(ルオ)やマウリ中将からも信頼される一方、研究所時代に自分が提案した策略が失敗したことで結局リタを救えなかったことを、内心では強く後悔し続けています。
そのような過去の辛さや養父の現状から“サイコフレームへの執着”をもち始めては、部下のブリックに対してもラプラス事変時のユニコーンの性能を調べさせていました。
しかし、本編ではその執着から抱いた目的のために多少の犠牲も仕方ないと冷酷に割り切ってしまう態度や行動が原因で、ヨナやシェザール隊から強い反感を買ってしまいます。
ヨナに対する好意も抱き続ける一方、過去に自分が犯した過ちによってヨナの方からは強く憎まれており、ミシェルもまた自分が「不死鳥狩り」に参戦させたヨナに対して冷たく当たっていました。
それでも終盤に入ってからは本心にある“人への優しさ”も見せ始めるようになります。
戦場に出撃したヨナにサイコフレームを送り届けようとする中、ブリックにはシャトルに同乗しないことや自分だけでも脱出して逃げるように言い聞かせます。
そして、Ⅱネオ・ジオングから放たれた攻撃からヨナを守るため、自ら盾となる形でブリックと共に死亡しました。
死亡後のミシェルの魂がフェネクスに乗り移る
ヨナを守るために死亡したミシェルですが、その死亡後にはリタに続く形でミシェル自身の魂もフェネクスへ乗り移り、そのフェネクスに搭乗したヨナを勝利に導きました。
しかし、ゾルタンのⅡネオ・ジオングを倒してヨナをフェネクスから放り出した後には、リタの魂やフェネクスと共に宇宙の彼方へと飛び去ってしまったのです。
ミシェルの本当の目的とは「ヨナとリタの再会」だった
本編でミシェルの目的が「人類の死の克服」と、それを成すことで「嘘も偽りもない世界の実現」であることをシェザール隊の艦長や隊員たちの前で告げていました。
その目的の実現にはサイコフレームが必要であると捉えたため、ミシェルはサイコフレームへの執着をもつようようになったのです。
確かに、ミシェルが本編で告げた目的を達成できた場合には冷凍保存されている義父(ルオ)との再会も可能だったかもしれません。
しかし、ミシェルがシェザール隊に告げた内容はあくまでも通過点でしかなく、本当の目的はもっと単純なものでした。
ミシェルの本当の目的とは「サイコフレームで”死を克服できる世界”を創り上げること」により、死別させられた「ヨナとリタを再会させること」だったのです。
また、ミシェルの理想とする世界では死者との再会はおろか、自分が会いたいと思う死者に対して許しを請うことも可能とされています。
そしてミシェルは自分がゾルタンからの攻撃の犠牲となる前に、リタに対して「ずっと謝りたかった」とも言っていました。
しかし”ヨナとリタの再会”や”リタへの謝罪”まで実現できた後先のことまでは深く考えていなかったようです…。
シェザール隊
「不死鳥狩り」のために結成された地球連邦軍の部隊であり、クラップ級宇宙巡洋艦”ダマスカス”を母艦としてヨナやミシェルと共に活動してきました。
現在の連邦軍の中でも腕の立つ軍人たちにより精鋭部隊ですが、自分の得意分野に秀でる一方で協調性に欠けるMSパイロットたちをイアゴ隊長が取りまとめています。
イアゴ・ハーカナ
階級 | 少佐 |
搭乗機体(MS) | ジェスタA班仕様 |
コールサイン | S001(シェザール・ワン) |
CV | 中井和哉 |
シェザール隊の隊長で、子供や後輩を守ろうとしないキャラクターばかりな本作品の中で「ヨナや部下を守ろうとする数少ない”真っ当な大人”」という立ち位置の男性でもあります。
始めは編入してきたばかりのヨナに対して辛くあたる行動もありますが、それは憎しみなどでなく、あくまでも「ヨナの経歴や事情に対する同情や心配」から行ったものです。
その一方でミシェルから告げられた「不死鳥狩りの理由や真相」に対しては、彼女の“多少の犠牲は厭わない”という倫理観に納得できず、批判していました。
ミシェルの考えに対して納得できないながらも終盤では助太刀に来てヨナやミシェルの作戦や行動、そしてサイコフレームの可能性を信じながら加勢してくれました。
そんな中でⅡネオジオングの性能で自分の機体(ジェスタ)を操られてしまいます。
それでもヨナと同じく死亡することはなく、最後まで生き残りました。
イアゴもアムロのアクシズショックを目撃していた
歴戦のパイロットであるイアゴも実は4年前の第二次ネオジオン戦争に参戦しており、そんな中でアムロとνガンダムが起こした「アクシズショック」を目撃していました。
(コミカライズ版では、アムロと一緒に落下するアクシズに取りついた押し返そうとしたジェガンたちのうちの1機がイアゴの乗機であったことにも触れられています)
そのため、ミシェルの目的を完全に否定してわけでなく、イアゴ自身もまた「サイコフレームの可能性」を自分なりに信じていました。
シェザール隊の隊員たち
ここでは副隊長(フランソン)を始め、イアゴの部下として「不死鳥狩り」作戦に臨むMSパイロットたちを紹介します。
①フランソン | シェザール隊の副隊長 階級は大尉 搭乗機体はジェスタC班仕様 |
②アマージャ | 階級は中尉 搭乗機体はジェスタC班仕様 シェザール隊の中でも極めて言動が荒く、感情の起伏も激しい性格。 |
③デラオ | 階級は中尉 搭乗機体はジェスタB班仕様 後方からの狙撃を担当するB班に配属された。 |
④パベル | 階級は中尉 搭乗機体はジェスタB班仕様 巨漢だが穏やかな性格。 |
⑤タマン | 階級は少尉 搭乗機体はジェスタA班仕様 |
シェザール隊では各々の役割によってA〜Cの3つの班に分かれており、配属された班により搭乗機体(ジェスタ)の仕様やタイプも異なっています。
アバーエフ
階級 | 大佐 |
CV | 山路和弘 |
ダマスカスの艦長です。
「不死鳥狩り」に対しては作戦開始の時点から不信感を抱きながらミシェルに対して問い詰めるものの、なかなか教えてもらえずにいました。
しかし、サイド6コロニーでの戦闘で多くの犠牲者が出たことやミシェルの目的のために民間人の犠牲も厭わない思考に対しては、彼女に対して怒りを露わに出していました。
ルオ商会
アナハイム社と関わりをもつ地球の一大商社で、ニューホンコンを拠点に運営されています。
グリプス戦役(『Zガンダム』の時代)では、エゥーゴと手を結んだカラバの支援を始め、ティターズ解体にまで貢献していましたが、本作品では強化人間を巡ってティターズとの取引も行なっていたことが明かされます。
また、本作品の時代では会長(ルオ)が冷凍睡眠の状態となっていたため、運営そのものを実娘(ステファニー)と義娘(ミシェル)に一任されています。
ブリック・テクラート
職種 | 秘書 |
CV | 古川慎 |
ルオからの指示で長年にわたり「ミシェルの秘書」を務めている青年です。
実は”同性愛者”ですが、その性癖で女性が愛することがないために「秘書としてミシェルの側にいること」をルオから許されていました。
ミシェルのことを大切に思う一方で、ミシェルからも「兄のような存在」として高く信頼されています。
自分の仕事を始め、ナラティブガンダムやサイコフレーム使用においての機密事項を守るため、密かに調査を進めていたイアゴに対しても、本編の中で自分たちが借りているダマスカス艦内のスペース内への立ち入りを頑なに拒みました。
そのような仕事やミシェルに忠誠する一方、ヨナに対しては“ミシェルの本当の想い”を代弁することもありました。
また、最後までミシェルと行動を共にしており、Ⅱネオジオングの砲撃をヨナから守ることで、ミシェルと共に死亡しました。
ブリック役の古川さんは『水星の魔女』でも、シャディク役として出演されました。
シャディクの強さや能力、目的については「【ガンダム水星の魔女】シャディクの声優・目的と新機体 | ニカやミオリネとの関係性」の記事をご覧ください。
ステファニー・ルオ
地位 | 社長 |
CV | 夏樹リオ |
ルオ商会の社長で、実質的な最高責任者でもあります。
その手腕や器量は本物であり、グリプス戦役時に大きな被害を被ったニューホンコンを迅速に立て直していました。
その一方で本作品でミシェルが行う「不死鳥狩り」に対しては疑問も抱いており、フェネクスの入手を止めようとしてきます。
ステファニーこそがヨナたち3人の離散を招いた
15歳に成長したヨナたち3人の離反を招いた張本人こそが、実はステファニーでした。
彼女はグリプス戦役時、フォウの乗るサイコガンダムがもたらしたニューホンコンへの被害における“落とし前”をティターズのエスコラに要求していたのです。
そのエスコラがヨナたちが収容されたオーガスタ研究所で強化人間の実験にも携わっており、ステファニー自ら研究所に訪れては“奇跡の子供たち”のうち1人だけ(本物だけ)を引き取ろうとしました。
結果的には本物(リタ)でなく、自ら嘘をつきながら名乗り出たミシェルを引き取ることになりましたが…
それでも成長後のミシェルが始めた占いにより政財界からも多大な信頼を得られたため、ステファニーの采配や見る目はやはり間違っていなかったことになりますね。
ルオ・ウーミン
ルオ商会の会長で、ミシェルとステファニーの父親です。
しかし、本作品の時代ではコールドスリープ用のカプセル内で冷凍睡眠の状態となっているため、彼自身の意思で商会の運営すべてをミシェルとステファニーに一任しています。
『ムーンガンダム』ではルオが話す場面を見られる
ルオ商会やルオ自身の名前が初めて出てきた作品は『Zガンダム』でありながら、実際に姿を見せることはなく、ハヤトたちとの契約も実娘(ステファニー)が出てくる形で進めていました。
そして『ガンダムNT』で姿を見せた時には既に冷凍睡眠をしていたため、アニメ作品では自分から台詞を発する機会に恵まれませんでした。
しかし『ガンダムZZ』最終話の後から『逆襲のシャア』へつながる物語として描かれている『機動戦士ムーンガンダム』では、ルオ自身がローナン副議長(リディの父親)と”ラプラスの箱”について話す場面が見られます。
ジオン共和国
一年戦争で連邦に敗北したジオン公国が議会共和制という新たな体制に変更した国家です。
表向きでは国家としての自治権を認められる一方で、モナハン外務大臣が率いる一部の国家主義的勢力が”袖付き”を秘密裏に支援しながら、密かに「ジオンの再興」を目論んでいます。
本作品の時代では国家やミネバに隠しながら「フェネクス捕獲」のため、ゾルタン部隊を出撃させます。
ゾルタン・アッカネン
年齢 | 27歳 |
階級 | 大尉 |
搭乗機体(MS) | シナンジュ・スタイン Ⅱネオ・ジオング |
CV | 梅原裕一郎 |
ジオン共和国のMSパイロットで、かつてはフロンタルと共に「”シャアの再来”の候補者」として造られた強化人間の1人です。
表面上や戦闘中では自分が悪役を演じるかのように強気に振る舞いますが、内心では自分が「失敗作」と呼ばれることに対する“強いコンプレックス”を抱いています。
コロニー内での発砲などの常識外れな行動も「己の強さを周囲に見せたいため」であるものの、サイド6の学園コロニー(メーティス)でのナラティブガンダム戦では、ゾルタンの発砲により多くの死傷者を出す結果となりました。
その行動のせいで極秘裏に進めてきた任務や機体が表沙汰に出てしまったことにより、自分が殺されることを察知しただけで部下のエリクを銃殺してしまいます。
さらに、その時の衝動が原因で「強化人間を“戦争の道具”として弄ぶ世界への復讐心」を強く燃やしながらⅡネオ・ジオングでサイド6コロニーを壊滅させた上で、地球へ落とそうという破滅的な行為を始めてしまいます。
ゾルタンの義眼と両瞼の傷について
ゾルタンの瞳の色が左右で違っているのは“過去の実験の失敗で患った失明”が原因です。
右目の赤い瞳は失明した後に「サイコミュを搭載した義眼」を移植されたのです。
また、両瞼の傷においても左右で大きな違いがあります。
片方が”本物の傷”であることに対して、もう片方は左右対称となるために入れた“タトゥー”でした。
また、身体にも同じ色のタトゥーを入れていることも判明しています。
精神感応により、ヨナを宿敵と認めた上で死亡した
サイド6コロニー内で出会ったばかりの時はヨナやナラティブガンダムのことを”二流のガンダム”や”ニュータイプのなり損ない”などと罵倒しながら蔑んでましたが、精神感応により「ヨナとリタの過去や事情」を知ってからは「雌雄を決するべき宿敵」と認めるようになりました。
そしてヨナが搭乗したフェネクスに敗北して死亡後、精神感応の世界に集まるヨナたちの前で“幼少期の姿”で誰かに手を引っ張られており、寂しげな表情をヨナたちの方を振り返りながら去っていきました…。
漫画版ではゾルタンの過去も明かされる
劇場版の上映と同じ2018年から月刊ガンダムエースで連載中のコミカライズ版では、アニメ版の方では語られずに終わった「ゾルタンの壮絶な過去」が明かされ始めています。
ゾルタンの過去編はサイド3コロニーに住む“ティート”という名の少年を中心に、父親(ボナヴェント)や世話係の女性(ブライアー)、そしてティートだけに見える友人(フラン)との人間関係が壮絶な内容で展開していきます。
おそらくは、アニメ版のゾルタン少年と同じ容姿のティートこそが後の本編で登場するゾルタンに成長していくものと思われますが…
過去編のストーリーもかなり奥深い内容で描かれているため、劇場版やTV版を視聴済みでも漫画版にも触れることでまた新たな発見も可能です。
ゾルタンの過去編はコミック8巻に収録されている32話から始まります。
エリク・ユーゴ
年齢 | 29歳 |
階級 | 中尉 |
搭乗機体(MS) | ギラズール(エリク専用機) |
CV | 遠藤綾 |
ゾルタン直属の部下として、彼につき従う女性パイロットです。
しかし、部下というのはあくまでも表向きの姿や行動でしかなく、実際にはモナハンからの命令で動く「ゾルタンの監視役」でした。
そのような立ち位置や関係性もあり、ゾルタンのことを影では「赤い彗星の失敗作」と蔑んでいます。
サイド6での戦闘が原因で、モナハンから秘密裏に証拠隠滅(ゾルタンを抹殺すること)の命令も受けることとなります。
しかし、その時の通信会話をたまたまゾルタンから聞かれてしまい、彼から“裏切り行為”と判断された上で頭を撃たれたことにより死亡しました。
モナハン・バハロ
地位 | 外務大臣 |
CV | てらそままさき |
ジオン共和国の外務大臣の座に君臨する男性で、一年戦争時の首相(ダルシア)の息子でもあります。
モナハン自身が、平和を志した父親とは正反対の“野心家”であり、ミネバには秘密裏に「ジオン再興」を目論んでいます。
本作品の時代でも、その目的に向けての行動を起こしており、それこそがゾルタン部隊を結成および出撃させての「フェネクス捕獲作戦」でした。
しかし、本編ではサイド6での戦闘が原因で切り札として残していたはずのゾルタンとⅡネオ・ジオングが明るみに出てしまったことや、彼らもまたヨナ達に敗北して倒されたため、本作品でのモナハンの作戦は完全に失敗する形で終わりました。
シャア再来計画の首謀者かつ”フロンタルの生みの親”でもある
モナハンが初登場した作品は『ガンダムUC』の原作小説版であり、彼こそが「ラプラス事変の黒幕」とされていました。
(アニメ版の方では未登場で終わっています)
さらに「シャア再来計画の首謀者」でもあり「フロンタルの生みの親」であることもまた、モナハンであったことが外伝作品『獅子の帰還』で判明しています。
フロンタルの正体や能力に関しては「【機動戦士ガンダムUC】フル・フロンタルの正体と能力 | シャアのクローン説を考察
」の記事を参照ください。
メガラニカとガランシェール隊
ミネバやバナージを始めとした『ガンダムUC』の主要キャラクターたちで構成されており『ガンダムNT』の時代ではジオン共和国に匿われながら活動を続けています。
連邦やジオン共和国による「不死鳥狩り」を阻止するため、バナージやタクヤが加入したガランシェール隊も出撃します。
ミネバ・ラオ・ザビ
年齢 | 17歳 |
誕生日 | U.C.0079 9月2日 |
CV | 藤村歩 |
一年戦争時代にドズルとゼナの一人娘として生まれた“ザビ家の末裔”です。
ラプラス事変の終結後は表舞台から姿を消し、メガラニカ内にあるビスト邸を拠点としながら、連邦やジオン共和国の動向を監視しています。
同じジオン国のモナハン外務大臣とは表面上では利害関係が一致しているものの、根本的には相入れないまま、お互いの腹を探り合っている状態です。
(実際に『ガンダムNT』本編でも、モナハンのことを強く疑いながら話していましたからね)
そんなモナハンの行動や目的に疑念を抱き続ける中、フェネクスを連邦やジオン共和国の手に渡ることを防ぐため、ジンネマン率いるガランシェール隊に出撃要請も出しています。
ラプラス事変後のミネバの目的とは
『ガンダムUC』のラスト場面でラプラス宣言を行なったミネバは、連邦との「サイコフレームの研究を封印する協定」も締結していました。
このような行動には『ガンダムUC』本編でユニコーンとバンシィ・ノルンが見せてきた“人智を超えた能力”を危険視したためであり『ガンダムNT』の時代では2機ともメガラニカ内に隠している状態です。
しかし、この2機とも本作品の時点では解体はおろか封印すら完全に済んでもいない状況です。
ミネバにとっては「ユニコーンやサイコフレームの完全なる封印」こそが自分の目的かつ“一生の課題”であることを自身の口から呟いていました。
ミネバのラプラス宣言やバナージ達との関係性については「【機動戦士ガンダムUC】ミネバの声優・演説の意味|封印やバナージとの結婚についても考察」の記事を参照ください。
バナージ・リンクス
年齢 | 17歳 |
搭乗機体(MS) | シルヴァバレト・サプレッサー |
CV | 内山昂輝 |
『ガンダムUC』の主人公で、ラプラス事変ではユニコーンに搭乗してフロンタルのネオ・ジオングを止めた上、リディと共に発射されてしまったコロニーレーザーを食い止めて宇宙や仲間たちを救いました。
ラプラス事変終結後からは友人のタクヤと共にガランシェール隊に加入し、連邦やジオン共和国の動向を探りながらジンネマン達と共に活動を続けています。
ミネバの意思やサイコフレームへの危険視により、本作品の中ではサイコフレームを搭載されていない機体(シルヴァバレト)に乗り換え、援護射撃を行う形でヨナがフェネクスに乗ることに協力くれました。
劇中ラストでバナージがヨナを救出した意味とは
バナージは劇中ラストで、ゾルタンに勝利したヨナを背後から抱える形で救出しています。
この場面にも実はバナージ自身がラプラス事変の中で体験した「サイコフレームとの完全なる融合」に対する恐怖や“死亡の危機”とも深く関係しています。
確かにヨナはフェネクスに搭乗しながらリタやミシェルの魂と協力しながらゾルタンの機体たちを倒すことに成功した上、意識の中でリタとの再会も果たしました。
しかし、その代償としてヨナの身体や精神もまたフェネクスの中に取り込まれることにより、リタと同じ運命や結末を迎えてしまう危険性も高かったのです。
そのような危機をバナージも『ガンダムUC』の結末で体験しており、かつての自分と同じ危機を迎えているヨナを助けることで「ヨナを再び現実世界に引き戻した上”1人の人間”として生き続けさせること」に貢献しました。
その結果、ヨナもまたバナージと同じく現実世界へ戻れた上、イアゴ達の元へ戻れたのです。
バナージのその後に関しては「【機動戦士ガンダムUC】バナージが死亡しなかった理由|その後やミネバとの結婚も考察」の記事を参照ください。
タクヤ・イレイ
年齢 | 17歳 |
CV | 下野紘 |
バナージの友人で『ガンダムUC』では、ミコットと共にネェルアーガマで整備士の手伝いとして働いていました。
そのように”自分にできる役割”を果たそうとする精神はラプラス事変以降も生き続けており『ガンダムNT』の時代ではガランシェールJr.の航行士として、バナージやジンネマンと共に活動しています。
スベロア・ジンネマン
年齢 | 53歳 |
CV | 手塚秀彰 |
『ガンダムUC』から引き続き、ガランシェール隊のキャプテンとして、ミネバの指揮の元で動き続けます。
『ガンダムNT』の時代ではガランシェールJr.の艦長として、航行士(タクヤやフラスト)と共に、フェネクスが連邦やジオン共和国の手に渡ることを阻止するために出撃します。
その他
最後は、連邦の政財界の大物やマーサ叔母様、そして研究所でヨナ達の実験を行なっていた者たちを紹介していきます。
マウリ・レホ
階級 | 中将 |
CV | 玉野井直樹 |
地球連邦軍参謀本部の中将で、本編の序盤で接触したミシェルからの指示を受けたことで「不死鳥狩り」作戦の立ち上げに助力した男性です。
劇中ではミシェルとの接触のみ描かれていましたが、義姉(ステファニー)とも強い繋がりを持っています。
マーサの情報をミシェルに提供した人物でもある
アニメ本編では触れられていませんでしたが、ミシェルに「マーサの居場所」を提供していた人物こそが、実はマウリ中将でした。
本編では、マウリが部下と共にミシェルの前から去った後に「マーサ捕獲作戦」が実行される順番でストーリー展開が進行していましたが…
ミシェルはマウリから、その情報を得た上でヨナも出撃させながら、マーサの捕獲に乗り出していたわけです。
マーサ・ビスト・カーバイン
CV | 塩田朋子 |
ビスト財団の党主だったカーディアス・ビストの妹であると同時に、アナハイム社の社長夫人でもある女性です。
『ガンダムUC』では、持ち前の権勢や才覚をフル活用しながら“マリーダの再調整”や“連邦軍の利用”に加えてバナージ達がいるインダストリア7にネェルアーガマを差し向けた張本人であり「ラプラス事変の黒幕の1人」として高い存在感を放っていました。
しかし最終的にはそれらの罪を問われ、ブライトにより身柄を拘束された上、法の元に裁かれる結末を迎えました。
そして『ガンダムNT』の時代では身柄を拘束されたまま輸送される中、ヨナも含めたルオ商会の部隊を率いるミシェルに捕まり「フェネクスの情報」を提供させられました。
エスコラ・ゲッタ
階級 | 大佐 |
CV | 広瀬彰勇 |
本編から10年前(グリプス戦役)の時代に、ティターンズに所属していた男性です。
(ヨナやミシェルの回想シーンのみに登場しており、本編の時代では登場していません)
ヨナ達に強化人間の実験を強要させていたオーガスタ研究所の施設長でもあり、研究所を訪れてきたステファニーからつきつけられた”落とし前”として、ミシェルを差し出した張本人でもあります。
マルガ
CV | きそひろこ |
オーガスタ研究所の上級研究員で、エスコラと協力しながら強化人間の実験に勤しんできた女性です。
一度脱走して捕らえたヨナたち3人の足を切ろうと言い出すエスコラに対して「切っても研究に支障はない」と冷静かつ冷酷に反応していました。
2人のこのような会話を盗み聞きしていたミシェルを奮い上がらせており、ミシェルが過去に起こした行動(自分がルオ商会の養女になること)の引き金にもなりました。
まとめ
今回は『機動戦士ガンダムNT』の人物相関図と共に、各キャラクター達の紹介もしてみました。
ガンダムシリーズの劇場版は数多く制作されてきましたが、完全オリジナル作品としては『ガンダムF91』以来、実に27年ぶりだった上、多くのガンダムファンたちから支持され続ける『ガンダムUC』の続編という位置づけとしても充分に成功した作品だったのではないでしょうか?
また、ラプラス事変やシャアの反乱だけでなく”奇跡の子供たち”と呼ばれるヨナたちの視点から一年戦争やグリプス戦役の時代とも関連させた点も大きく、宇宙世紀シリーズが好きなガンダムファン達にもまた新たな発見をさせてくれたはずです。
コメント